ライフスキルを高めるための手段として、
ソルトは、2010年から読書を推進しているのですが、
もう一つ、去年から力を入れているのが、
お絵かき。
日本の図画工作の時間にやっていたような活動、
子どもたちの脳を鍛えるのに、
とてもよいらしいのです。
本当にそうなのか検証しましょう、ということで
経済学や芸術学の研究者の方たちと一緒に
地元の小学校で、お絵かき授業を始めました。
1月4日、監修して下さっている聖徳大学の奥村高明先生が
現場に来て下さいました。
学校での実施状況の視察とコーディネーターの研修が主な目的
だったのですが・・・
合間の時間、先生が、絵の大好きな奨学生のG君に
手ほどきをして下さいました。
真剣な表情で、先生の手元を見つめ、
先生のアドバイスを聞いているG君の様子を見ていたら、
ちょっとジーンとしました。
このG君、小学生の頃から、ひときわ気になる子でした。
中途退学の可能性が一番高い子だったので。
成績は落第すれすれ、
家庭は極貧、
学校に行くのもつまらなそうでした。
彼の下に弟が二人。
お母さんは彼が赤ん坊のときに家出
お父さんは薬物販売に手を染め
家にいたりいなかったり。
一般的な父母の愛情を受けることなく
育ったG君。
おばあちゃんが親代わりになって
この兄弟を育てているのですが
3回食べられる日というのはなく
G君が小学生の時、
おばあちゃんはよく
「この子らを手放して、施設に渡そうと思う」と言って、
泣いていました。
ジャンキーな父と
自分たちの姿を見て哀しみ
その日食べるものがないと嘆く祖母の間で
ほぼ毎日。
いつも空腹だった彼。
学校に行くことに
意味を見いだせず
成長して大人になることにも
希望が見いだせず
辛かったと思います。
奨学金として彼に渡される毎日のお小遣いは
家族全員の食費に消えます。
彼はわかば図書館で出される給食を食べて
学校に行き、おこずかい全額、おばあちゃに渡します。
そんな生活が10年。
幼い頃は、好奇心いっぱいの瞳をきらきらさせて
笑顔の多かったG君も、成長につれ、
やがてあまり笑顔を見せなくなりました。
挨拶されても挨拶を返さない、
そんな青年になってきました。
話をすることも難しい時期がありました。
でも、ひとつだけ、彼を見ていれば
はっきりと分かることがありました。
それは、絵がすごく好き、ということです。
図書館に来ても、本を開けようとせず、
絵ばかり描いていました。
ただひたすら、もくもくと。
G君は絵を描き始めると、何も聞こえなくなるぐらい
夢中になってしまいます。
でもそんなふうに何かに夢中になって、
今を離れられる時間が、彼には
必要だったのかもしれません。
あの環境で、彼の心を救っていたのは、
恐らく、人ではなく
絵を描くことだったのかもしれないと、
思うのです。
彼以外にも、家庭内不和、離別、肢体不自由等々
安心して日々を過ごせない子どもたちの中に、
ひょっとして、絵に救われているのかな?
と思える子どもたちがいます。
子どもの脳の機能を高めるのに役立つ絵
そのことが、今回の事業で証明できたらいいなと
思うのですが、私は、別の点でも絵の効果に期待しています。
ぎりぎりの状態にいる子どもの
「心」を守る
居場所になってくれる
ところです。
絵をかいて、夢中になる
あの瞬間に、
可能性を感じています。
普段はパヤタスに住んでいるG君ですが、
「カシグラハンの学校でお絵かきの授業するんだけど
手伝ってくれる?」
と聞いたら、迷わずYES。
その週から来てくれるようになりました。
苦手な挨拶も
子どもたちの模範にならないといけないので
自分からするようになりました。
でも、コーディネーターになるのは
まだまだ先。
今は、見習い期間です。
手伝いにきたはずが、自分が描くのに
夢中になっちゃうG君です。
とほほ。
いつかG君が、同じような境遇にいる子どもたちに、
絵を描くことの楽しさを伝え、彼らの眠っている力を
引き出してくれる、そんな「パヤタスのお絵かきお兄さん」に
なってくれる日が来るかもしれません。
まだ道のりは遠そうだけど…。
今の彼の夢は、おばあちゃんや弟たちを支えるために、
ハイスクールを卒業して、働いて、稼げるようになることです。
インテリアデザインの道に進みたいというG君。
ジャンクショップで働きながら学校に行っています。
そして、週に2日半日、お絵かきクラスでボランティアです。
ソルト・パヤタスは、読み聞かせやお絵かきなど、
子ども図書館で行う活動資金を、寄付で
支えて下さる方を求めています。
http://www.saltpayatas.com/iroiro
どうぞよろしくお願いします!
















