大晦日の朝は5時に起き、須崎公園へ向かいました。
福岡・築港日雇労働組合主催の越年・越冬イベントに参加するためです。
参加のきっかけは、会員の犬伏さんのフェイスブックの投稿でした。
毎年、大晦日から正月にかけ、犬伏さんが投稿されるのは、
新春の挨拶でもなく、初詣でも、旅行でもなく、
いつも、冷たい冬の野外での炊出しのこと。
気になって、いつか行けないかなと思っていたところ、実現しました。
この催し、もともと港湾の日雇い労働者の方が対象だったのですが、
その後、港湾の仕事が激減し、代わってどんどん増えた
野宿生活の方のための越冬支援の催しになり、今では
その野宿生活者の数も減り、参加者の過半数は、野宿生活を脱し
住まいを得たものの、諸事情から生活の再建が難しい方、再建の途上に
ある方々になっているそうです。
(ただ、減ったとはいえ、福岡では今も約50名程が、路上生活を送ってらっしゃるとか)
見ていると、もてなす側、もてなされる側に、あまり明確な区分けがありません。
設営や運営は長年やっているボランティアの方が中心ですが、
作業の手伝いは皆さんやっています。
ざくっと表現すると、
「まあ、いろいろあるけど、年の瀬ぐらいはみんなで集まって、
ちょっとでも元気出して、新しい年を迎えよう。」
という思いが、至るところに感じられる催しでした。
私は、食事係に配属されました。
リーマンショック後は、約270名程集まり、150人分の大鍋2つ使う程だった。
それに比べたら、今はたった60名程…
ということなのですが、そう言われても、
普段一人か二人分しか料理を作らない私にとっては相当な量。
生まれてはじめてみるサイズの、業務用こんにゃくを見て
目が点になりました。
食事だけでなく、テント、ストーブ、布団、カラオケセットに、芸人さんたち、
公園管理者との交渉等、やることは多く、資金も必要。
20年近く、準備も資金も、大晦日から正月三日間の実際の労働も、
すべて支えているのが市民による無償ボランティア。
このことを世間はほとんど知らないし、ご本人たちも積極的に広報しません。
もう10年以上、自分の正月休みをこの活動のために使う方もいらして
しかも、黙ってもくもくとそれを続けておられているのを知り、
じーんとしました。
ということで、私は野菜を切るのが好きなので、豚汁、がめ煮(筑前煮)、
カレー、シチューや煮物等で使う根菜やお肉を、とにかく
切って切って切りまくって、お手伝いをすることにしました。
朝6時半から3時頃まで、屋外での立ち通しの作業は疲れましたが
個性的な先輩ボランティアの皆さんのおかげで、
かなり楽しく過ごせました。
近づくとぷーんと焼酎の匂いがする、「飲みながらボランティア」Kさん、
作った食事は、みんなに食べさせ自分は食べない「俺は食べないボランティア」Oさん、
紅一点、リーダーじゃないけどみんなから頼られている「なんとなく要なボランティア」Tさん、
「八百長じゃないけれど、いかさまなビンゴ」の司会、噂では「東大卒ボランティア」Sさん、
一番大変な冷たい水場の仕事を引き受け、てきぱきこなす「頼れるアニキボランティア」犬伏さん
皆さんから作業の合間に聞かせてもらう話には、
考えさせられるものもいくつかありました。
例えば・・・
・生活保護を受けられるのに拒む理由
今は以前より生活再生支援を受けやすくなっています。住宅支援も受けられます。
でも、高齢や障害などにより就職が難しい場合、個室がせっかく与えられても
その個室により、以前は自然にあったちょっとした仲間との接点が失われ、
孤立化、孤独化が進み、その結果、心を病んだり、アルコール依存に陥ったりして
深刻な問題に至るケースがあるのだとか。それだったら、「受けない方がいい」
という選択をしてしまう例もあるそうです。
・生活保護を受けて賭け事をする理由
これは、ずっと疑問に思っていました。
こんな理由もあるそうです。
競艇・競輪は100円から賭けられます。
水もお湯も無料。何時間いてもよく、他の場所より、
安価で、居心地がいい、不安や鬱々とした気持ちを
忘れられる場所になっているのです。
ふと、先日日本フィランソロピー協会の高橋会長から聞いた、
「日本の福祉は、やくざと風俗に負けた」という言葉を思い出しました。
生活困窮者、障害者の居場所や受け皿となっているのが、国家による
福祉政策ではなく、やくざや性産業になっているということです。
ギャンブルも加えられるかもしれません。
「別の居場所」や「再建のためのチャンス」など、
選択肢が増えていくといいなと思います。
ハンディがあっても、うまくいかないことがあっても、
人と違っていても、受け入れられ、再チャレンジでき、
誰かの何かの役にたつこともできる
そんな社会は、不安が減り、誰もが生きやすいのではないかと
いう気がします。
それにしても、
人とのつながりや、ささやかな喜びって
大事なものなのですね。
時には、衣食住より、そちらが優先されるときもあるくらい。
どんな大変な境遇でも、
明日も生き続ける気力を持つためには
欠かせないものなのだということを、
この二つの話で、改めて教えられた気がしました。
来年は、今年の私のように、また新しい人が、この催しに
加わっているといいなと思います。
新しい年良い年にしましょうね。
公園で出会ったネコ、帰り道のお月さまに癒されました。