ハリス医師のTEDトークを見て、もっとACEについて知りたい、

対策を知りたい、その対策の実践状況を実際に見てみたい、学びたい…

そんな希望が自分の中で日に日に大きくなっていきました。

 

幸い、フィリピンの現場の活動も落ち着いて、そろそろ

日本人の駐在スタッフも必要としない状況になってきたので、

いつか活用したいと思っていた外務省のNGO海外インターン

シップ制度に申請して、採択されました。

 

申請手続きは割と簡単に進んだのですが、採択後の受入れ団体探しの方が

なかなか決まらず難儀しました。

 

でも、あきらめなければ、世界に1人は、分かって下さる人と

出会えるものです。

 

アメリカの、ACEコネクション・ネットワークのデイナ・ブラウンさんが

私のメールを読み、ネットワーク内で心当たりの人に声をかけ、受入先を

紹介してくださいました。

 

扉が開いた

 

彼女から返信をもらったとき、そう感じました。

 

探して、歩き回って、遠回りもしたけれど、

ようやく先に進む扉が見つかったのだと感じました。

 

デイナさんは、恩人です。

 

その後、私はアメリカで彼女と会うことになるのですが、

彼女は私の生涯の師と呼べる存在になりました。

 

会ったこともない、聞いたこともない、見ず知らずの外国人からの

1本のメールを無視せず、温かい対応を示す彼女の対応もその一つですが、

その後アメリカでの彼女の活動や、人となりを知るほど、

目で見える、言葉で聞かせる情報以上に、彼女から

自分はいろんなことを教えられている気がしました。

 

人の痛みを見逃さない感受性

不正義に対する怒りをごまかさない正直さ

絶望的な混沌とした状況の中でさえ、希望を見出す強さ

深い知性と清濁すべてを包み込む大きさ

 

良き師を得られたことは、インターンシップに

行ってよかったと思えることの一つです。

 

そして、それはデイナさんだけではありませんでした。

 

2か月のインターンシップ期間中、60名以上の人と会い、

話を聞かせてもらったのですが、中でも忘れ難い8人の方がいます。

 

既にブログで書いた人もいますが、まだの人もいます。

ぜひご紹介したいので、おいおい書いていきますね。

 

これが、きっかけとなったハリス医師のTEDトークです。

 

 

万人の子どもに対し、小児科医が1人しかいない。

 

サンフランシスコの中でも、最も貧しい

と言われる地域で、小児科医として

活動を始めた彼女はある傾向に気づきます。

 

それは、ADHD(注意欠如・多動症)の

疑いで連れてこられる子どもたちの成育歴に

トラウマとなるような体験が見られる

ことでした。

 

このままの対応でいいのか 

 

答えを求めていた時、ハリス医師は

同僚からACEの研究論文を紹介されます。

 

ACE研究は、1998年、米国疾病予防

センターのロバート・アンダ医師と、

カイザー・ペルマネンテという医療機関の

ビンセント・フェリッティ医師によって行われた

子ども時代の不幸な体験 

Adverse Childhood Experience:ACEの研究です。

 

ハリス医師のTEDトークでACEを知り調べていくと、

ACE Connection Networkというサイトに出会い、

そこで更にACEのことを知りました。

 
ACE Connection Network

http://www.acesconnection.com/pages/about

 

ACE研究

 

南カリフォルニア、サンディエゴの17,336名の

被験者を対象に、暴力やネグレクト、

両親の離婚などの不幸な体験を10個挙げ、

子ども時代に体験したものの数と

健康状況の関係を調査した研究

 

<不幸な体験の有無を問う質問:ACE Questions

※注意※ 実際にその体験をした方にとって、

追体験するような、辛い気持ちになる質問が

ありますので、取り扱いは慎重に。

特に子どもにする前はACEに精通した小児科医、

精神科医と相談されることをお勧めします。

 

18歳になるまでに、次のような体験をしましたか?

 

■親や家にいる他の大人から、傷つけられたり、

侮辱されたり、けなされたり、落ち込むような

ことを言われたりしましたか?

 

■あなたの親や家にいる他の大人がつかんだり

たたいたり、何かを投げつけたりすることが

ありましたか?

あるいはたたいてあざになったりけがをしたり

したことはありますか?

 

■あなたが5歳以上になった後でも、性的理由で、

あなたの体や大事な部分に触ったりする大人が

いましたか?

実際に口、アナル、ヴァギナなどのセックスを

されましたか?

 

■家の中の誰も自分のことを愛してくれていないとか、

大事に、特別に思ってくれていないと感じる

ことがありましたか?

また、あなたの家族はそれぞれのことを見ていない、

近く感じない、助け合わないような関係でしたか?

 

■食べるものがない、着るものがない(汚い)、

誰も守ってくれない、そんな風に感じたことは

ありますか?

または、両親が酒を飲みすぎたり、ハイになりすぎて、

あなたの世話をしなかったり、必要な時に

病院に連れて行ってくれなかったりしたことは

ありましたか?

 

■両親は離婚、別居をしましたか?

 

■母親もしくは継母が、つかんだり、たたいたり何かを

投げつけたりされていましたか?

もしくは、蹴られたり、たたかれたり、拳や何か

他の固いもので殴られたりしていましたか?

何分も殴られ続けていたり、銃やナイフなどで

脅されたりしていましたか?

 

■同じ家に、酒を飲むと問題行動を起こす人、

アルコール依存、ドラッグをやる人はいましたか?

 

■家の中に、鬱症状、精神疾患の人、あるいは、

家族に自死した人はいますか?

 

■家の中に服役した人はいますか?

 

虐待、虐待の目撃、ネグレクト、家族のうつ病、

あるいはその他精神疾患、アルコール等の依存症、

投獄、親の離婚、喪失などの体験が、その後に

どんな影響を与えるのか…。

 

調査の結果、浮かび上がった事実は、

驚くような内容でした。

 

■被験者の64%、大人の大半が一つ以上ACEを持っていた

■一つ以上ACEを持つ人の87%は、複数のACEを持っていた

体験の数や量が多いほど、慢性疾患、精神疾患の

発症率も高い

 

また、不幸な体験を4つ以上持つ人と、

体験がゼロの人とを比べた結果、

以下のような差が見られました。

 

喫煙者の割合                                        2   

虚血性心臓病になった割合                2

肺気腫、慢性気管支炎の割合            4

アルコール依存症の割合        7

薬物依存の割合                                     10

自殺を試みた割合                                 12

平均寿命                                                  20年短い

 

社会生活の面では、ACE率が高い程、暴力問題の

加害者、被害者になりやすく、結婚回数が多く、

骨折の割合、薬の服用、鬱、自己免疫疾患の

リスクが高く、欠勤が多く、犯罪に

手をそめるリスクも高いという結果が出ました。

 

ACE研究は、トラウマ体験が、子どもたちの

脳の発達を阻害し、脳の神経経路の形成に影響を与え、

免疫システムを損なわせ、学習、行動、健康に

大きな影響を与えるのだということを

示していました。

 

でも、この研究は、被験者の74.8%が白人、

75.2%は大卒以上の学歴を持ち、100%が仕事を持ち、

保険に加入することができていた、いわゆる

安定した中所得層以上を対象にした結果です。

 

貧困世帯、貧困地区の状況は、これよりさらに

厳しいのでは・・・と思いました。

 

2018年の15日~35日の2か月間、

外務省のNGO海外スタディ・プログラムを

活用させてもらい、アメリカで

インターンをしてきました。

 

貧困と幼少期の逆境体験の世代間連鎖をどう

断ち切るのか-米国の実体と取り組みから学ぶ

 

こんなテーマで。

 

これから何度かに分けて、向こうで

見聞きしたことや気づきを綴っていきます。

よかったら読んで下さい。

 

「なんでインターン?」

 

ソルト・パヤタスは、2011年からライフスキルの

育成を掲げ、フィリピンで子ども図書館の運営、

読み聞かせ、お絵かき、お母さんたちへの

ライフスキルセミナーを実施してきました。

 

2016年からは、公立学校や教育省、経済学および

児童学の研究者の方たちと連携し、ランダム化

比較試験を導入した教育調査活動も始めました。

 

次は、いよいよ発展・普及の段階へ!

 

フィリピンの社会福祉開発省や教育省と連携して、

どんどん広げていこう!と思ったのですが…

 

その前に、したいことがありました。

 

それは、複数の困難を抱えた、支援の難しい家庭の

子どもたちへのアプローチ方法を学ぶことです。

 

胸にひっかかっていた

支援途中で消えていった子どもたち。

 
父から母親への暴力をいつも見ていたA君、
ドラッグ中毒の父を持つEちゃん、
養父からの性的虐待を受けたFちゃん、
 
中学卒業手前で、学校をやめていった
子どもたち
 

昨年1月にブログで紹介して、反響をいただいた

ケン君もその一人です。

 

ケンについて

https://ameblo.jp/shoppaize/entry-12242753850.html

 

 

 

貧困に加え、家庭に何らかの困難を抱える

子どもは、たとえ目の前に支援を受ける

機会があったとしても、そこにアクセス

できなかったり、ドロップアウトしやすい

といった傾向があります。

 

2015年に実施した、支援停止に至った

子どもの調査で、46%に家庭・学校・地域での

身体的あるいは口頭による暴力、いじめ、

家族の薬物やアルコール依存、早期妊娠

といった問題が見られました。

 

こういう子どもこそ救われてほしい…と

思う子ほど、フォーマル教育からも

ノンフォーマル教育からも遠ざかり、

問題が次世代へと受け継がれていく現実。

 

貧困の鎖の陰に、奥に、

もぐっていく子どもたちを、どこかで

「これは手に負えない難しい支援だから」

とあきらめ、そこから先、考えるのをやめて

次の受益者、次の事業地へと

移っていきがちです。

 

「○○人を支援しました!」

「〇〇%向上しました!」

 

と、成功体験だけを伝えて。

 

できることに集中する

支援して下さる方には、

支援によってできたことを伝える

 

それは当然のことで、悪いことだとは思いません。

支援効果がより大きい、

「社会的インパクト」がある活動を

追求することは、大事なことだと思います。

 

ただ、私自身は、

もっと先へ、もっと大きくに、

ということに、興味や希望を感じつつも

 

「でも、ちょっと待って、まだ…」と

言いたい気持ちでした。

 

自分はまだ、現場の大事なことを見れていない。

触れていない。

先に進む、その前にもう一度

ちゃんと向き合いたい。

 

そんな気持ちでいたときに、

アメリカ、カリフォルニア州の小児科医

ナディーン・バーク・ハリスという先生の、

TEDトークが目に飛び込んできました。

 

それが、インターン物語のはじまりです。

全ての職場に当てはまることなのだと思いますが、とりわけ
悩み苦しむ人や、問題を相手に仕事をする人は
日々の心のケアが欠かせません。
 
チームレベルで、個々人レベルで、
みんなで心のケアを意識しあえる職場って
具体的にどんなことをしているのでしょうか。
 
アメリカの、子どもの虐待やトラウマの問題を扱う団体で、
実際に行っている取り組みは、こんなのだそうです。
 
・トラウマに詳しい専門家を交えての、週に1度の相談会議
(難しいケースをためこまない)
 
・週に1度のマインドフルネスタイム
(ヨガとかダンスでもいいかも)
 
・月1のリフレッシュニュースレターの発行
(心と体がリフレッシュするような話題を集めた、簡単な読みものを配布する)
サンプル:http://www.acesconnection.com/fileSendAction/fcType/0/fcOid/475177373395863602/filePointer/475177373395863641/fodoid/475177373391534889/SCAN%20March%20Wellness%20Newsletter.pdf
 
・四半期に1度の、楽しい催し兼学びの時間
(学べて、かつ楽しい時間を共有する!)
 
・一人一人のスタッフがセルフケア計画を作る
(みんな忙しくて自分のことは後回しになりがち。自分のケアについて考えてもらう時間を、仕事中に設けるの、いいですね)
 
その他
・掲示板や目に入る場所に、ミッションやゴールなどを張る
・自然の中のレクレーションの時間を持つ
などなど
 
丁度昨日、フィリピン人スタッフが
「今度みんなでアウティング行きたいのですが」と相談を受けたところでした。
その後、「予算がないからダメ!」と上司に言われていたけれど・・・
 
再考の余地あり、です。
 
「遊びに、金と時間かけてられるか~」
って言う前に、ちょっと考えてみてもいいかもしれませんよ。
 
参考:http://www.acesconnection.com/blog/promoting-agency-and-employee-wellness

アメリカでは、トラウマの心と体への影響について理解を深めようという動きが、進んでいます。

 

ウィスコンシン州では、2018年の5月が「トラウマの影響を理解したケア」を社会に積極的に呼び掛ける月になりました。

5月22日は「トラウマの影響を理解したケアの日」です。

ウィスコンシンのスコット・ウォーカー知事夫妻は、Trauma-informedな社会をけん引するリーダーですね!

 

トラウマは、ほとんどの人が意識無意識に関わらず、持っているもの。

一部の当事者、研究者、専門家だけで知っていれば済むことではなく、

子どもも大人も、老若男女、社会のみんなで、そのメカニズムについて理解を深めて、

トラウマの元、有害なストレスを減らしていきましょうという運動。

 

みんなが知っていれば、知らないがために、悪意なく、トラウマを持つ人を

苦しめていた。お互い苦しめ合っていた。

なんてことが減ります。

私も、それを知ることで、自分の悩みの謎が解けて、ちょっと楽になりました。

 

そうすることが、病気予防にも、学力や仕事の生産性の向上にも、

犯罪予防にもつながって、結果的に、社会コストが減り、大幅な予算節約になることを知っている

賢明なリーダーが、これから次々と現れてくるのでしょう。

 

参考サイト https://urbanmilwaukee.com/pressrelease/governor-walker-with-trauma-informed-care-everyone-has-a-role-to-play/

 

 

 

 ACEsコネクションのメンバーの一人Louiseさんの薦めで、急遽、The Sexual Harassment Reckoning: A Policy Briefingという会議に出席させてもらえることになり、行ってきました。

 

 

 

現在、Equal Rights Advocacy(ERA)という、女性の不平等をなくすために活動する団体が、二人のカリフォルニア州議会議員と、州の関連法の見直しを始めています。この会議は、その中身を中間発表し、証言を集め、法整備が着実に進んでいくよう州議会や市長への働きかけを行おうと呼び掛けるという内容でした。

 

女優のMira Sorvinoさんの証言から始まり、女優、研究者、映像制作会社スタッフと、次々と胸が苦しくなるような話の連続でした。ほんの数年前の話から20年以上前の話まで。その時の衝撃、怒りや悲しみを思い出し、声につまり、泣き、声を荒げる人もいました。聞いている側にも、それが長い間ずっと消えず、その人を苦しめてきた痛みであったことが伝わります。女性だけでなく、幼い子どもたちの被害も伝えられました。

 

「私から、自尊感情も、自信も、知性も、受けてきた教育も何もかも、Humanity人間性そのものを奪った」

 

この言葉が、胸に深くささりました。単に体の一部を触られた、乱暴に扱われたということではない、深刻な人権侵害なのだということを、頭ではなく、心で受け止める時間になりました。

 

何の立場もない、誰を代表する立場でもない一インターンの私に、この場に出よと薦め、事務局とかけあい、開始1時間前に出席を可能にしてくれたLouiseさんの意図のひとつは、そこにあったのかもしれないと思いました。変化をどう作っていくのか、そこに関心を持つ私に、まず根底にある苦しみや悲しみをしっかりと受け止めよと。

 

会場はSAG-AFTRA。米国テレビ・ラジオ芸能人・映画俳優組合会館。集まったのは、性被害の体験者やその関係者、州議会議員、人権活動団体や個人など約150名。被害者を守るため、メディアは入れず、録音・撮影も禁止という中で、行われました。

 

SAG-AFTRAの会長Gabrielle Carterisさんからは「エンターテイメント業界だけの問題ではない、すべての業界で、労働環境を改善していかなければならない。」という力強い言葉。

 

ERAの事務局長Noreen Farrellさんと二人の女性議員からは、州法の修正案に関する説明がなされました。大雑把に書くと、修正はこの4点です。

 

Senate Bill 224

性的行為そのものだけでなく、性的行為を条件とした取引も禁止。直接的な雇用関係だけでなく、力関係に差がある関係全般を含む。

 

Senete Bill 1300

雇用者に防止環境の徹底を求めるもの。セクシャルハラスメントに関する研修、発生した場合の対応方法、申し立てを妨げるような被雇用者への働きかけの禁止など

 

Senete Bill 1038

報復の禁止

 

Assembly Bill 1870

起訴有効時限を1年から3年に延長

 

 

カリフォルニア市長、市議会に、法案の成立についての嘆願書を提出することや、ドキュメンタリーフィルム製作のための証言協力など、具体的行動の呼びかけもありました。

 

華やかな業界の裏にあるスキャンダルの暴露ということで関心が集まったのですが、これを、スキャンダルや個々人の悲しい歴史に留めず、社会全体の不平等を確実に変えていく運動とし、カリフォルニアで法を成立させ、全米に広げていく、その気概に会場は満ちていました。

 

私がブログやSNSで報告をすることについては、Farrellさんから、証言者に害が及ばない範囲で会議の内容を報告していいという承諾をいただきました。日本の状況はアメリカと比べどうだと聞かれ、MiraさんとFarrellさんに、New York Timesに日本の#Me Tooとして掲載された伊藤詩織さんの件や、国内から変えるのが難しい環境になっていることなどを聞いてもらいました。

 

時を待つのではなく、今できることをすぐ始め、動きながら学んでいく。

銃の蔓延の問題も、性被害の問題も、悲しみを悲しみのままで終わらせず、一つづつ確実な変化につなげようとしている人たちの動きを肌で感じました。

 

今回の会議でも、Education is Powerという言葉をたびたび耳にしました。

 

公正な社会を望むなら、私たちはみな学び、行動し続けなければならない。

知る、知らせていくことが重要

 

というような意味が含まれている気がしました。

 

Equal Rights Advocacy https://www.equalrights.org/

Mira Sorvinoさん http://www.etonline.com/mira-sorvino-excited-metoo-times-movements-honestly-my-daughters-94099

 
 
人の豊かな内面がにじみ出ているようなこのポートレートを見たとき、これを撮った人に会いたいと思いました。

 

 

今日それが実現しました。

 
カリフォルニア州立大学ノースリッジ校でジャーナリズムを教えている、David Blumentrantz先生です。
 
2016年、43名のホームレスの方々にインタビューし、その後、支援者、市、州の職員、弁護士、人権活動家たちなどに話を聞き、活動に参加し、それを学生や市民に伝えてらっしゃる先生です。
 
「~せねばならない!」、「これまでに…を…件助けました!」という話ではない、今、この写真の人たちに何が起きているのかという話をして下さいました。
 
先生が話してくださったことをまとめると、この3つになります。
 
一番目は、今、この危機的状態になるまで、ほぼ無策と言える程、この問題が長年置き去りにされてきたことへの憤りです。
ロサンゼルス全体で、ホームレスの人口は57,794名(2017年Los Angeles Homeless Services Authority)
おととしから去年にかけ23%の増加率です。危機が叫ばれ多額の予算が注入されてきたにもかかわらず、減じるどころか、これだけの増加率になってしまっている。確かに、これは分かります。
 
2番目には、支援者側の意識、市民の意識についてです。
寝泊りできるシェルターを、ということで、住宅支援は進められています。しかし、公的支援で与えられるシェルターの大半は、まるで監獄のようだと言います。人間らしさのない無機質な部屋で、先日も知り合いの住むあるシェルターの中で、殺人事件があったそうです。
 
私が会議やシンポジウムでこれまで聞いてきたシェルター支援の報告では、家庭的な心あたたまる環境で、生活再建を果たした母子家庭などのモデルケースでした。そのような状況が実現しているのはごく一部の民間支援のみだということです。
 
ほんの一握りのケースがまるでこれから全体に浸透していくと楽観してはいけない、現場での実践をしっかり見ていかねばならないのだと、教えられました。
 
シェルターの建設が思うように進まない背景には「NIMBY」があります。NIMBYとは、Not in my back yardの略。
シェルター作りに反対はしないけれど、うちの地域では作らないで、という意味。
ホームレスの人の中には、アルコールや薬物依存、精神疾患を患っている人がいます。何をしでかすかわからないそんな人たちは怖いから、そばに来てほしくない、というわけです。
https://www.youtube.com/watch?v=9QFwxWBM2v0
 
確かに、ホームレス全体の3割が精神疾患を患い、19%は薬物依存というデータもあります。
しかし、大半の人は、人に危害を加えるような状態ではありません。
またリカバリーやメンタルヘルスケアなど適切な対応を受けられれば回復や状況にあった行動もできるようになります。
 
ホームレスとホームレス支援に協力的な人、もう一方の、ホームレスは汚い怖い、だから自分たちの見えないところに消えてほしいという人、この分断が生まれています。
 
3番目の指摘は、対応の遅さです。

Doriさんという女性のケースでは、申請から8か月かかったそうです。
この方は、スパを経営し10名程の社員を抱える程成長していたのに、突然脳動脈瘤でこん睡状態に陥り、事業も家も失いました。その後、リハビリで運動機能、言語機能をある程度は取り戻したものの、今も記憶は完全には戻っていません。車が生活の場となり、約2年の車中生活の中で、男性に襲われる目にもあいました。昨年5月に力強いサポーターを得て住宅申請をし、その後8か月後の今年1月、ようやく部屋の鍵を手にしたそうです。
 
でもこれもラッキーなケース。皆が皆、Doriさんのようなケースに至っているとは言えません。
Doriさんのケースの詳細はこちらで読めます。http://daveblume.tumblr.com/
 
知るだけではだめなんだ。
本気で動く姿勢がなければ、問題は変わらない。
 
先生の言葉が胸に残りました。
また、たとえ莫大な予算がついたとしても、現場で何が起きているかをモニタリングしていかなければいけないことも教えられました。
 
先生の撮るホームレスの人たちの写真を見た幼い子が、その人はどんな人だろうと興味を持ち、
「ふうん、この人こんな人なんだあ」と言ったそうです。
 
これが、とてもとても、私たちに必要なことで、先生の写真は、分断の垣根を取り払う、魔法のような貴重な写真なのだと思いました。
 
David Blumentrantz先生、ありがとうございました。

先生のサイトはこちらです。

http://david-blumenkrantz.squarespace.com/

 

 

 
English follows.
 
今日はノースヒルズという地域で開催された「ノースヒルズ・ホームレス・コネクト・デー」というイベントに参加させてもらいました。
7時半に設営や搬入が始まり、私もお手伝い。
  
10時~1時、建物の中では相談、外では物資提供がなされ、たくさんの人が集っていました。
 
建物の中で行われていた相談の内容は、行政によるID発行、福祉情報、求職情報、NPOや民間団体による住宅、医療、カウンセリングなどで、外では、サンドイッチやスナックなどの食事、散髪のサービス、そして、日用品・衣類・靴やバックなど、フリーマーケットのように選べる状態でディスプレイされていました。
 
 
 
 
 
提供する人、される人、する人同士、される人同士、いろいろ混ざって・・・あちこちで会話の花が咲き、イベントの名前通り「つながり」が実現しているイベントでした。
 
私は、入口のところで、入場管理や案内をする係になりました。
 
「仕事の面接で新しい靴がいるんだ」と言っていた一人の男性が、ボランティアの人の助けを借りて、ちょうどいいのをみつけ、嬉しそうで、こちらまで嬉しくなりました。
 
California State University, Northridge(CSUN)からの学生ボランティア、Yvonne, Jacky, Alyssa, Perla, Emma
全体のコーディネートで走り回っていたLA Family HousingのPatrick
会場を提供したPenny Laneのスタッフ、Sachikoさん(日系3世)
役立つ物資をリュックごと提供するナイスアイデアのHope Mill,Inc.の設立者Pearl
ペットグッズを提供していたOperation Blankets of LoveのClarissa とMarc
女性の必需品と提供しているSisters on the streetsを紹介してくれたDannyさん
なぜか私に背中をかく孫の手をくれたVAGreaterLAのWillis
そして入口に立ち通しで、全員にもれなく明るく温かい言葉をかけていたボランティアのDebbie
みなさん、ありがとう。
 
今日参加したのは約120人。
まずは自分で足を運んでもらい、あたたかく受け入れられる雰囲気の中で、人や情報やサービスとつながってもらう、関係者が一堂に会するお祭りのような、こんなアウトリーチもあるんだなと思いました。
会場にソーシャルワーカーの方も何人かいて、自分の担当するホームレスの人を、さりげなくサポートしていたのも印象的でした。
 
住宅や仕事だけが問題ではなく、医学的な治療やセラピーが必要な人もいて、生活再建はそんなに簡単に進むものではないとは思います。でも、こうした場が、きっかけになっていけばいいなと思いました。
 
I joined the event of "North Hills Homeless Connect Day" at Penny Lane today. I met wonderful volunteers, staff of non-profit organization, faith group people, private service providers, staff from state and city.
 
With welcoming and friendly atomoshere people received free lunch, hair cut, clothes, shoes, bag, pet goods and foods, sanitary goods, underwares,and other daily commodities. In the building, people received information of housing, work, social services available, and took picture for identification card.
 
Around 120 people joined and they experienced literally "connect" with the services and the people concerned. I was glad to see when one male who looked for shoes for job interview could find nice ones with assistance of volunteers.
 
This event is held monthly in Los Angeles. Next place is at Hjelte Sports Center,16200 Burbank Blvd.
Debbie, Willis, Pearl, Sachiko, Patrick, Yvonne, Jacky, Alyssa, Perla, Emma,Thank you so much for giving me good inspiration.
 
 
Special Thanks to Debbie
お父さんやお母さんが、アルコール依存
週末はずっと飲んでる
飲むといつものお父さん・お母さんではなくなっちゃう
週末になるのが怖い
周りに安心を与えてくれるような人が誰もいない・・・
 
こういった状況は、ACE(子どもの脳と体に影響を与える不幸な体験)の一つ。
ACEは、その頻度や種類が多ければ多いほど、心と体に跡を残し、
その後の人生の可能性を大きく損なわせてしまうかもしれないものです。
 
今日のACEs Connectionから配信されたニュースは、
依存症の家族を持つ子どもへのケアに関するものでした。
 
HOPE AND HEALING FOR CHILDREN OF ADDICTION
www.acesconnection.com/blog/hope-and-healing-for-children-of-addiction
 
2月11日~17日は、依存症の子どもたちへの影響について知り、
子どもを守りましょうという啓発週間。

子どもを依存の被害から守る、こんな専門の民間団体があるのですね。

https://nacoa.org/

 

保育士さん、先生など、幼い子どもと接するお仕事をされる方対象のガイドラインです。
file:///C:/Users/emiko/AppData/Local/Packages/Microsoft.MicrosoftEdge_8wekyb3d8bbwe/TempState/Downloads/eac9a324c3de5700e5b2df7b4f8c6dc0-Early-Child-4web.pdf
 
安心できる大人
子どもが子どもらしくいられる時間を作ってあげられる大人
になりたいものです。
 

今日はZoomというWebテレビ会議ツールを利用して、

サンフランシスコ在住の臨床心理士、服部信子先生から

初心者向けのレジリエンスの研修を受けさせてもらいました。
 

こんな感じです。


 

先生なのに、「のんちゃんでいいよ」なんて、言って下さる信子先生。

親しみやすく、ユーモラスなお人柄で、その胸を借りて

のびのびと学ばせていただきました。

 

今回は、6月に日本で実施予定の研修のトライアルという目的もあり、

教えていただきつつ、僭越ながら私からも、質問、感想、提案をどんどん出し、

いつくか取り入れていただきました。
 

日本語で細かなところまで、きめ細かく教えていただけて、本当に有難い時間でした。

内容は、Trauma Resource Instituteという団体(信子先生の恩師にあたる

Elaine Miller-Karas先生がおられる団体)が開発されたトレーニング・

プログラム「Community Resiliency Model」が土台になっています。


ただその直訳ではなく、日本の今の状況に合った、普段の生活で

よく使う親しみやすい言葉で資料が作られているので、すーっと

頭に入っていきます。

 

何度も「そうそう」とか「なるほど!」と膝を打ちたくなる場面がありました。
こういうのを、Aha体験というのでしょうか。

私たちの心は機械のように一定ではなく、日々、

大なり小なりいろんな刺激を受け、その都度揺れ動く心を、

意識的に、ときに無意識にコントロールしながら生きています。
 

大きな事件や、耐え難い苦しみに遭遇したとき
日常の中でちょっとしたアンラッキーなことに遭遇したとき
愛した人を失ったとき・・・
いろんな苦い場面を通り越していくわけですが、
ときに、理性では制御できないと感じるような、

痛みや悲しみ、怒り、落ち込みに襲われることがありませんか?

 

そして、制御できないが故に

後で、なんであんな行動を取ってしまったんだ、と

苦しくなるほど恥ずかしくなったり、自分が嫌になったりして、

傷が更に深くなってしまうようなこと、ありませんか?

 

それ、トラウマかもしれません。

揺れ動く心を、コントロールしていくにはどうしたらいいのか、
トラウマになるようなことに遭遇したとしても、

心や体を、そのトラウマにハイジャックされることなく

操縦する力を取り戻し、

判断力を維持し、安心して幸せになる道を選んでいける

そのためにどうしたらいいのでしょうか。
 

周囲の人と分かち合って、寛容なコミュニティーを作っていくために

ひとりひとりがすぐ始められることを、このプログラムは、

人間の脳や体のメカニズムを伝えながら教えてくれます。

きっと、聞いたその瞬間から、すぐに他の人に伝えたくなると思います。

 

フィリピンのパヤタスで、教育支援に携わり、

ライフスキルを追い求めてきた私が、

たどり着いたのは、「レジリエンス」

 

貧困、暴力、犯罪、依存症、虐待、ネグレクト、鬱、いじめ、自殺・・・

 

幾重にも重なる困難の中にいる子どもたち

その助けになりたければ、その連鎖を止めるには

その家族、その支援者、そのコミュニティー全体の

問題対応力を高めるアプローチが必要です。

 

力の元になる、しなやかで折れない心の力を

自分自身を含め、みんなで作っていくための

心強いツールを得た思いです。

 

急がば回れ

木を育てるならその土を

はるか遠くの目標にたどり着くには、一人で近道を行かず、みんなで


医療、教育、福祉のフロントラインで、

悩みながら、一生懸命働く人たちにも響く内容だと思います。


6月、福岡でも実現できますように。
 

Trauma Resource Institute https://www.traumaresourceinstitute.com/home/ 

信子先生のサイト https://www.drnobu.com/