ACEと密接な関係がある、ホームレスの問題。
この支援に取り組む2団体を訪問しました。
1)San Fernando Valley Rescue Mission
家族のためのホームレスシェルター
対応:ケースマネージャー長Amanda May氏

シェルターの利用家族は約30家族。
9割が母子家庭。ケースマネージャーはインターンを含め4名。
一人あたりが担当する家族は平均5家族~10家族。
2年前からトラウマを理解したケアを導入。
ここでは子どもにはアートセラピー、パズルや遊びを通じたセラピー、
読み聞かせを実施し、母親には、グループセラピー、親講座、
ソーシャルスキルセラピー、親子でする活動として、
映画鑑賞や家族で楽しめるワークショップなどのレクレーションを
実施しています。
これらを、ケースマネージャーではなく、セラピーを専門に行う団体、
大学心理学部の学生などに委託して行っています。
入館から1か月は、6家族との共同生活を体験。
寝室のみ個室で、あとは共同スペースの共同生活を2か月目~3か月間、
その後家族だけのシェルターで生活し、その間、家と仕事を見つけ、
4か月~6か月で、家を持ち独立。独立後も連絡をとって
フォローアップしています。
DVを受けてきた人が80%以上を占める。専門のセラピストによる
メンタル、エモーショナルケアは欠かせません。
入居から約6か月の間に自立した状況を迎えることを目標にしています。
個々の家庭は毎週3つの目標を設定しています。
中には計画通りの進展を見せないケースもありますが、
難しいケースは一人の担当者で抱え込まず、ケースマネージャーの
毎週のミーティングで相談して対応しています。
病院、教育省、学校カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の心理学
専攻の学生)らと連携し、必要な支援を得ています。
長期的な経済的自立を可能にするため、貯蓄を推奨しています。
利用者の半数以上が自立を果たしています。
・学び:他の団体との違い
こちらの団体は、清潔さとあたたかみ、「HOME」を感じる施設でした。
別の多くのシェルターは、監獄のようにも見える殺伐としたもので、
シェルター内でのいざこざ、殺人事件なども起きています。
大多数のホームレス支援は、食事、衣類等の配給が中心となっています。
この環境を可能にしているのは恵まれた資金力。
民間企業からの寄付が安定しており、フレキシブルに使用できる点。
ケースマネージャー一人が担当する家族数が、他団体では10を超えて
いるのに対し、この団体は5~10と少ない状態です。
各家庭にきめ細かな伴走支援ができる、ケースマネージャーの
キャパシティを確保している点や、ケースマネージャーが必要に応じ
研修やセルフケアのための時間をとれる点なども、関係しているのではないかと
Amanda氏は指摘していました。この点は、他組織で働くソーシャルワーカーからの
聞き取りをして、実感し、納得しました。

2)North Valley Caring Service
アウトリーチ型支援
対応:スタッフ:Manuel Flores氏

ここでは週3回の朝食サービス、週1回の夜回り、月2回の地元低所得者向けに
食料品と生活物資の配給サービスを行っています。
約2週間、朝食サービスや夜回りの活動に、調査を兼ねたボランティアとして
参加させてもらいました。
学んだこと 学び:接し方
私はこの、こわもてのMannyさんやボランティアの人たちの
夜回りでの、ホームレスの人たちへの接し方に感銘を受けました。

最初の接触で壁をつくらないよう、個人情報を書き入れる登録用紙は
持って行かず、記録は一切とりません。
夜回りの目的は、食料配給や生活支援情報の伝達かと尋ねると、Mannyさんから
「違う。人としてつながることだ」との答えが返ってきました。
十分な資金で理想的支援をしている団体と、
限られた財源で、ボランティアを中心にアウトリーチ支援をする
団体の二つを見させてもらいました。
これらの訪問インタビューの他、連絡協議会や支援イベントへの参加、
ジャーナリストへのインタビューなどを行いました。その中には
社会環境を理解するのに無視できない事実があったので、紹介します。
1) 市民の不安感と差別感 「NIMBY -Not in my back yard」
NIMBYは、支援は必要だと頭では理解しているが、自分たちの近くに
来られるのは嫌だという住民感情。
理性・心情・行動のギャップは、低コスト住宅の建設を妨げる一因になっている。
2) 支援者のストレス
支援や教育現場での「オーバーストレス」「バーンアウト」の問題をあちこちで
耳にしました。ケアワーカーや非正規雇用の教師の給与は、ロサンゼルスの
高い住宅費や生活費を賄うのに十分とは言えません。
支援の仕事をしつつ、休日や仕事の合間の時間にタクシー運転手をするなど、
セカンドワークを持つケースが少なくありません。
インタビューをした男性は、元教師のタクシー運転手。
ストレスから薬物を使用するようになり退職。
現役ケースマネージャーで同じくタクシー運転手を兼業で行っている女性は、
30分の乗車中、休むことなく仕事の問題やストレスを語り続けていました。
被支援者のトラウマに向き合い、理想と現実の支援体制では救いきれない
ジレンマとの間で苦悩する、支援の最前線にいる人たちへの心のケア、
トラウマケアもまた、優先度が高いと感じました。