「頭では分かってはいるんだけど、身体が言うことをきかない」

「理由が分からず、なんだか辛い」

そんな思いをされたことはありませんか?


また、そんな体験をして困っている人が、身の回りにいらっしゃいませんか?

「理性で抑えきれない」「体がいうことをきかない」という

過覚醒や低覚醒状況への効果的な対応方法を、

「ストレスに関わる脳と体の基礎知識」と「6つのレジリエンシー・

スキル」を通して学ぶ「コミュニティー・トレモ」という研修があります。

体に意識を向けることで、心と体のバランスをとり、

レジリエンシーと呼ばれるしなやかな心を育てるものです。

 

 

心理専門家向けの研修と、どこでも誰でも誰にでもできる、

一般向けの研修があり、通常の研修は丸2日間あるのですが、

今回は、「どんなものなのか知ってみたい」「興味がある」

という方のための、基礎情報とスキルの一部を体験する

短い内容になっています。

 

教えて下さるのは、トラウマ専門臨床心理士としてサンフランシスコで

活躍されている服部信子先生です。

今年1月、アメリカでインターンとして、子ども時代の不幸な体験と

脳や体への影響について学んでいた時、サンフランシスコで

開催されていたシンポジウムで、服部先生の師であるエレイン・

ミラーカラス先生の講義を聞きました。

 

文字が読めなくても、文化や宗教が違っても、ちょっとの知恵と、

これまで生きて体験した様々な感覚を基に、心を安定させ「大丈夫感」を

増やすことができるこのモデルは、資源の少ない場所や人に(私にも!)

役立つスキルだと感じました。

 

エレイン先生の紹介で服部先生と出会い、先生の来日期間に、

福岡でも講習会をしていただけることになりました。

 

コミュニティー・トレモは、心理専門家でなくても、教えて使える利点から、

学校、福祉団体、被災地域など、コミュニティー全体に取り入れる活動が、

アメリカと世界各地で広がっています。

 

・子ども、大人を問わず、対人支援に携わっている方
・より安心できる家庭、職場、地域社会作りを目指している方
・人との関わり合いを大切にしたい方

 

におすすめしたい講習会です。

福岡で初めての開催です。いっしょに学んでみませんか?

 

内容や講師に関しての情報、お申込みはこちらからどうぞ。

https://trmcrmjapan.wixsite.com/home

 

「大丈夫感」を育て、いつでも だれでも どこでも使える
レジリエンシー・トレーニング。

https://trmcrmjapan.wixsite.com/home/trm-1

6/25(月)、福岡での講習会の開催が決まりました。

 

トラウマに関心のある方
人に関わるお仕事をされている方
社員のメンタルヘルスに関心のある方
カウンセリングを学んでみたいと思っている方
日頃からストレスを抱えている方

 

間もなく詳細をアップしますので、どうぞお楽しみに。

講師は、​米国カリフォルニア州認定臨床心理士、
トラウマ・リソース・インスティテュート認定講師の服部信子先生です。

 

脳(心)と体にできた傷や痛み。
それらは、ずっと子どもを苦しめ、学習・行動・健康に影響を及ぼします。
 
でも、同じような環境でも、害を受けにくいケースがあります。
逆境に強い脳と体。それにはどんな共通点があるのでしょう。
 
Origins Training and Consulting の、ミニ基礎講座(無料)が
こちらで見られるようになりました。
 
 
 
少し時間が遡りますが・・・
 
帰国前日の3/27、ソルト・フィリピンのスタッフに、
アメリカでのインターン期間中に学んだ
「依存症とトラウマ」について、聞いてもらいました。
 
興味のあるパヤタス、カシグラハンの女性たちも
加わって、当日の参加者は20名程。
 
 
 
依存症は、身近で、胸の痛い問題です。
 
パヤタスやカシグラハンも
他のフィリピンの貧困地区と同じく、
麻薬患者や、販売人がそこここにいて
地域に暗い影を落としています。
 
アルコールを飲んで、暴力をふるう夫に
おびえる女性や子ども、
生活費や教育費に回せるお金を
ギャンブルに回してしまう人・・・
 
たくさんいます。
 
独身のスタッフが、どちらかというと、
知識として聞いている様子なのに対し
幼い子どもを持つLikhaのメンバーや、
この問題とずっと付き合ってきた
年配のお母さんスタッフたちが真剣に
聞いてくれていたのが、印象的でした。
 
What's wrong with you?
から
What happened to you?
という視点へ
 
全員ではありませんが、感想文に
この言葉が書いてあって
大切なことが伝わっていることが分かって
嬉しく思いました。
 
・痛みを理解すること
・背景に、何があるのかを考えること
・知らないことで、また、心無い反応で、
二重に傷つけてしまわないこと
・良い悪い、正しい間違っているという
判断をすぐ下してしまわず、
一呼吸置いて、その人の状態や気持ちを
受け止めてみること
・人に対してだけでなく、自分自身の痛みに
気付くこと
 
等々
 
日々の生活で、意識し続け
知識を、生活に刷り込んでいく取り組みが
必要だなと思います。
 
トラウマの理解が
少しづつでも、「心の持ち方の文化」として
定着していったらいいなと思います。
 

不幸の連鎖の背景には、子ども時代の不幸な

体験(ACE)やトラウマがあります。

 

そして、その発生源となるもの

それを強化するものは

 

社会

 

2か月の研修期間中、私は、3つの研修、

10のシンポジウムやイベントに出席し、

2週間ホームレス支援団体で活動に参加し、

全員で60名を超える医療教育、

ホームレス支援関係者、ジャーナリスト、

被支援者と会って、話を聞きました。

 

そこで得たことを3点にまとめるとこうなります。

 

ACEやトラウマを生み出す根元にあるものは

大人たちの不安、心と体にできた傷である。

 

・不安を減らし、安心感を増やしていくことが、

連鎖を生みにくくする

 

・不安を減らし安心を増やす手段として、

ACEトラウマに関する情報の普及、

心の安心感を取り戻し、高める

レジリエンスが有効で、既に米国では

ACE Connection Networkのような

市民主導の草の根の取り組みが広がり始めている。

 

安心感を持つには、事実に関する客観的な情報が

役立ちます。

 

それがないと、漠然とした不安や、根拠のない

自己や他者への、批判が続いてしまいます。

 

ライフスキル教育を推進展開していくにあたり、

より困難な状況にいる子どもたちが

置き去りにならないよう、私たちが取り組まねば

ならないことは、ACEやトラウマに関する

科学に基づいた知識を、当人、支援者、地域が

共通理解として持てるような情報提供を行うこと

そして、それを共通言語として、人と人との

つながりを見直し、今行っている活動を

再構築していくことだという結論に至りました。

 

結びにあたり、今回の調査に協力して下さった方々から

いただいた印象的な言葉を紹介したいと思います。

 

・「すべての層で安心できる関係性を(Relationship)

First 5LAPegah Faud博士より

 

・「善悪の判断から入らない、まずは事実を受け止めることから(Don’t be judgmental)

Echo Parenging and Educationの事務局長Goldbold氏より

 

・「ACEは貧困者だけではない、私たち一人一人の、そして全体の問題(It’s all people’s issue)

Origins Training and Consultingの代表 Andi Fetzner氏より

 

・「社会システムへの信頼を取り戻す(Trust to the system)

ACE Connection NetworkDana Brown氏より

 

・「人間としてのつながりを作るところから(Connection)

North Valley Caring ServicesFlores氏より

 
最後に・・・
 

人を木に例えて考えてみたら、すっきりしました。

 

土が、人間の成長に必要不可欠な「栄養」や

「安心できる物理的環境」や

「養育者との安心できる関係」

 

幹が「自己肯定感」

 

枝葉や実が、学力や、対人間コミュニケーション力、

目標設定・計画実行力といった、日々の問題解決に

つながる様々な社会的スキル

 

私たちがこれまで注目していたのは、

幹から上の部分でした。

 

でも、根っこに傷(トラウマ)がついていたら、

栄養は幹から上に行き渡りません。

 

根っこに傷がないか注意し、傷があれば

それを癒やし、栄養が通りやすい環境を作ることが

枝葉を繁らせることにつながります。

 

土壌の栄養と木をつなぐ根っこは、

安心感です。

わたしはその根っこのケアがどういうものか

アメリカでその入り口を学んだのだと思います。

 

困難があったとしても、どんな環境にいても

大丈夫、乗り越えられると思える、

心の安心感。レジリエンス。

 

枝葉を繁らせるライフスキル教育を、

「根っこ」を十分意識しながら、行う

 

そう考えたとき、今まで見たこと、

聞いたこと、考えてきたことが、すっと

一本につながった気がしました。

 

 

 

 

 

 

ACEと密接な関係がある、ホームレスの問題。

この支援に取り組む2団体を訪問しました。

 

1)San Fernando Valley Rescue Mission

家族のためのホームレスシェルター

対応:ケースマネージャー長Amanda May

 

シェルターの利用家族は約30家族。

9割が母子家庭。ケースマネージャーはインターンを含め4名。

一人あたりが担当する家族は平均5家族~10家族。

2年前からトラウマを理解したケアを導入。

 

ここでは子どもにはアートセラピー、パズルや遊びを通じたセラピー、

読み聞かせを実施し、母親には、グループセラピー、親講座、

ソーシャルスキルセラピー、親子でする活動として、

映画鑑賞や家族で楽しめるワークショップなどのレクレーションを

実施しています。

 

これらを、ケースマネージャーではなく、セラピーを専門に行う団体、

大学心理学部の学生などに委託して行っています。

 

入館から1か月は、6家族との共同生活を体験。

寝室のみ個室で、あとは共同スペースの共同生活を2か月目~3か月間、

その後家族だけのシェルターで生活し、その間、家と仕事を見つけ、

4か月~6か月で、家を持ち独立。独立後も連絡をとって

フォローアップしています。

 

DVを受けてきた人が80%以上を占める。専門のセラピストによる

メンタル、エモーショナルケアは欠かせません。

 

入居から約6か月の間に自立した状況を迎えることを目標にしています。

個々の家庭は毎週3つの目標を設定しています。

中には計画通りの進展を見せないケースもありますが、

難しいケースは一人の担当者で抱え込まず、ケースマネージャーの

毎週のミーティングで相談して対応しています。

病院、教育省、学校カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の心理学

専攻の学生)らと連携し、必要な支援を得ています。

長期的な経済的自立を可能にするため、貯蓄を推奨しています。

利用者の半数以上が自立を果たしています。

 

・学び:他の団体との違い

 

こちらの団体は、清潔さとあたたかみ、「HOME」を感じる施設でした。

別の多くのシェルターは、監獄のようにも見える殺伐としたもので、

シェルター内でのいざこざ、殺人事件なども起きています。

 

大多数のホームレス支援は、食事、衣類等の配給が中心となっています。

この環境を可能にしているのは恵まれた資金力。

民間企業からの寄付が安定しており、フレキシブルに使用できる点。

ケースマネージャー一人が担当する家族数が、他団体では10を超えて

いるのに対し、この団体は510と少ない状態です。

各家庭にきめ細かな伴走支援ができる、ケースマネージャーの

キャパシティを確保している点や、ケースマネージャーが必要に応じ

研修やセルフケアのための時間をとれる点なども、関係しているのではないかと

Amanda氏は指摘していました。この点は、他組織で働くソーシャルワーカーからの

聞き取りをして、実感し、納得しました。

  

 

2)North Valley Caring Service

アウトリーチ型支援

対応:スタッフ:Manuel Flores

ここでは週3回の朝食サービス、週1回の夜回り、月2回の地元低所得者向けに

食料品と生活物資の配給サービスを行っています。

 

2週間、朝食サービスや夜回りの活動に、調査を兼ねたボランティアとして

参加させてもらいました。

 

学んだこと 学び:接し方

 

私はこの、こわもてのMannyさんやボランティアの人たちの

夜回りでの、ホームレスの人たちへの接し方に感銘を受けました。

最初の接触で壁をつくらないよう、個人情報を書き入れる登録用紙は

持って行かず、記録は一切とりません。

夜回りの目的は、食料配給や生活支援情報の伝達かと尋ねると、Mannyさんから

「違う。人としてつながることだ」との答えが返ってきました。

 

十分な資金で理想的支援をしている団体と、

限られた財源で、ボランティアを中心にアウトリーチ支援をする

団体の二つを見させてもらいました。

 

これらの訪問インタビューの他、連絡協議会や支援イベントへの参加、

ジャーナリストへのインタビューなどを行いました。その中には

社会環境を理解するのに無視できない事実があったので、紹介します。

 

1) 市民の不安感と差別感 「NIMBY -Not in my back yard

NIMBYは、支援は必要だと頭では理解しているが、自分たちの近くに

来られるのは嫌だという住民感情。

理性・心情・行動のギャップは、低コスト住宅の建設を妨げる一因になっている。

 

2) 支援者のストレス

支援や教育現場での「オーバーストレス」「バーンアウト」の問題をあちこちで

耳にしました。ケアワーカーや非正規雇用の教師の給与は、ロサンゼルスの

高い住宅費や生活費を賄うのに十分とは言えません。

支援の仕事をしつつ、休日や仕事の合間の時間にタクシー運転手をするなど、

セカンドワークを持つケースが少なくありません。

インタビューをした男性は、元教師のタクシー運転手。

ストレスから薬物を使用するようになり退職。

現役ケースマネージャーで同じくタクシー運転手を兼業で行っている女性は、

30分の乗車中、休むことなく仕事の問題やストレスを語り続けていました。

 

被支援者のトラウマに向き合い、理想と現実の支援体制では救いきれない

ジレンマとの間で苦悩する、支援の最前線にいる人たちへの心のケア、

トラウマケアもまた、優先度が高いと感じました。

 

ACE Connection Networkは、ACE、トラウマ、レジリエンスに関する

情報の発信、実践者たちの情報交換を目的に20121月に発足しました。

 

主な活動は、ソーシャルネットワーク「ACE Connection」と、

情報発信サイト「ACEs Too High」の運営です。

 

ACE Connection

www.acesconnection.com/

 

ACEs Too High

https://acestoohigh.com/

 

この活動は、ひとりのジャーナリスト、

ジェーン・エレン・スティーブンスさんの活動から始まりました。

 

医療・科学技術の情報を中心に発信していた彼女は、2005

ACEに着目し、ACE研究や関連する研究についての情報を

紹介し始めました。

 

徐々に賛同者、協力者が増え、現在3000名以上の登録者を持ち、

スティーブンスさんを含む7名のコーディネーターが

全米からの情報をキャッチし、毎日発信を続けています。

 

登録は誰でも無料でできます。分科会の数は84にも及び、

サイトに登録すればその日から自動的にACEに関する情報が

配信されてきます。

 

カリフォルニア州ロサンゼルス郡では、トラウマやレジリエンスに

関する理解にもとづいた支援が、各分野で浸透し実践されていくよう

研究者やアドボカシー団体らが中心となり、郡内30の民間・公共の

支援団体と協力して、「トラウマとレジリエンス‐システム変革

アプローチ」の冊子を作成し、20177月に発表しました。

 
TRAUMA AND RESILIENCY:
 A SYSTEMS CHANGE APPROACH
Emerging Lessons and  Potential Strategies from the Los Angeles County
Trauma and Resiliency-Informed 
 Systems Change Initiative
http://www.first5la.org/files/Trauma.pdf


資金支援をしたのは州内の、5つの民間団体です。政府主導ではなく市民主導です。

 

150ページに及ぶ議論をまとめた報告書には、

「トラウマを理解した支援」「トラウマを理解したアプローチ」

「トラウマを理解したシステム・チェンジ」という言葉が何度も

登場します。

 

トラウマを理解したアプローチとは、クライエントに向かう際、

「あなたの問題は何か」という視点から「あなたは、

これまでどんな体験を経てきたのか」という視点に切り替えて

いくことだと言います。

 

参加したシンポジウム、研修で、私もこの言葉を何十回も耳にしました。

 

以下は、トラウマやレジリエンスを理解した組織やコミュニティーに

変化していくための、4ステップです。

 

 

5歳以下の子どもがすべて適切な養育環境で育てられることを目指す、

ロサンゼルスの非営利団体FirstLAのプログラムオフィサーで、

「子どものホームレスとトラウマ」に関するレポートを作成した、

Pegah Faed博士からは、トラウマを理解しレジリエンスを高める

環境を作るのに、最も重要な点は何かという問いに対し、

こんな回答をいただきました。

 

「全てのプロセスにおいて重要なのは、安心できる「関係性」です。

クライアントはもちろん、事業に関わる、システム・チェンジに関わる、

すべての関係者間の交流において、トラウマをよく理解し、

トラウマに敏感なコミュニケーションを定着させていくことが重要。

 

既に深いトラウマを抱えた人たちに接する時は、相手が慣れた、

安心できる場所に、こちらが赴かねばならなりません。

安心でき、透明性が確保された心地よい関係を、

彼らに感じてもらうことから、変化は始まるのです。」

 

これは胸に刻みたい言葉です。。。

 

この20年、ACEの研究に加え、脳科学や発達心理学の

進歩によって、有害ストレスやトラウマの反応メカニズムが

明らかにされてきました。

 

高いACEスコアを持っていたとしても、それが

人生のおしまいを意味するわけではありません。

 

脳の可塑性によって、トラウマの傷は癒されること、

働きかけによってもとの状態よりもストレスに強くなることが

分かってきています。

 

脳は環境に応じて絶えず変化し、特に、成長過程にある子どもの脳は

修復も早く、早期介入がカギと言われています。

 

有害ストレスの原因となるものを取り去り、レジリエンスを

高めていくことにより、脳はストレスによって引き起こされた変化を

再修正していきます。

 

ハーバード大学のCenter on the Developing Childは、たとえ

有害ストレスに晒されたとしても、周囲に、子どもが安心を

感じられる養育者(親以外でも可能)が存在すれば、

有害なストレスも、耐えうるストレスとなり、深刻な害を

回避することができ、その鍵となるのは、レジリエンスであると

伝えています。

 

 

レジリエンスについて、米国薬物乱用・精神衛生管理庁は、

このように定義しています。

 

「個人、家族、コミュニティによる、トラウマを癒し、

幸福感や適応力を強化し、将来のトラウマも防ぐ力」

 

レジリエンスを高める取り組みとして、ACE Connection Network

提唱するのは、マインドフルネス、運動、良質の栄養、十分な睡眠、

健康的な社会との交わりです。

 

トラウマとなるような有害ストレスを経験している子どもに対し

推奨されているのは、この2点です。

 

1.落ち着かせること。安心を与えること。

怒りや恐怖などで、制御不能なほど気持ちが高ぶっている

子どもたちの心を落ち着かせ、ストレス対応システムが

正常なレベルに戻るのを助ける。

 

2.健康的なストレス対処技術を伝えること。

トラウマ反応の引き金になっているものについて理解し、

回避し、ストレスを予防するスキルを含む。

 

また、養育者に対する支援が、子どもを守ります。

虐待する親(養育者)、依存症の親のように、問題行動を

行う親は、親も何等かの子ども時代の不幸な体験により

トラウマを抱えている場合が多いとされています。

 

親に対するセラピーと、子どもに対するセラピーを個別に行い、

かつ、親子が共同で何かを協力して作り上げる、楽しい体験を

するなどして、互いの関係を強化する活動によって、

安心感が高まるという研究結果も出されています。

 

このアプローチは、 Parent Child Interaction TherapyPCIT)※として、

家族のホームレス支援を行う団体の職員研修などで積極的に

推奨されています。

 

現在、ACE研究は、このような場面で活用されています。

 

・小児科医や公衆衛生診療所でACEスクリーニングが始まっている。

カリフォルニア州では2017年までの間に、小児科医が約2,000人に

ACEのスクリーニングを実施。

 

・テネシー州の医師は、薬物依存患者にACE研究を教えたところ、

自分自身のトラウマに目を向け、癒す動機づけに役立った。

 

・教育界においては、カリフォルニア州サンフランシスコ、

サンディエゴ、ワシントン州スポケーン、ワラワラの学校において、

ACEやトラウマのメカニズムについて学んだ教育者たちが、

学習活動、生活指導、メンタルヘルスケア、マインドフルネス、

ヨガなどを取り入れ、ある学校では、1年後、退学・停学者が

90%減少。

 

成績、試験得点および卒業率の増加も確認されている。

 

・米国では、2017年末までに、数百の学校が、ACE、トラウマ、

レジリエンスを理解し導入する試みを始めている。

 

トラウマやレジリエンスについて理解する人が増えれば

日本やフィリピンでも、こんな変化が起こってくるかもしれませんね。

 

PCITは「親子交流療法」として、日本でも現在9つの医療機関で

受けることが可能となっています。

エピジェネティクスとは「ゲノムの上」を意味し、

DNA配列(または突然変異)によって決定される

遺伝現象ではない、遺伝子の発現の変化を指します。

 社会的環境やその他の環境が、遺伝子を変えることを

示す研究です。

 

有害ストレスやトラウマが、遺伝子の機能を変え、

体と脳のあらゆる部分に長期に渡る変化を引き起こすことや、

変化が世代間で受け継がれることが、研究により

示されています。

 

下の図は、木の幹から上の部分で個人の不幸な体験を示し、

根より下で環境を示しています。

 

社会、歴史、経済的環境から受けるこれらの悪影響に、

私たちの脳や身体は、生理的に反応しています。

無意識におこる脳や身体の防衛反応が逆に健康を損ね、

健康的な社会生活を営めなくする行動パターンを

強化してしまう。それは遺伝子に埋め込まれ、

問題行動そのものが、世代間に受け継がれることも

あるそうです。

  

不幸な地域(社会)環境

l  貧困

l  差別分断

l  機会の欠如

l  経済的流動性の欠如

l  社会資本の欠如

l  不十分な住宅状況

l  暴力

 
 

トラウマの世代間連鎖については、アウシュビッツ強制収容所を

体験したユダヤ人、第一次大戦時代に民族迫害を受けた

アルメニア人の3世代を追った調査で報告されています。

 

また、依存症研究者として著名な ジュディス・ランダウ博士は、

幼少期に過酷な体験をした1世代目のアルコール依存症が、

4世代~5世代に渡り有害な影響を与える事を報告しています。

 

 

ACE:子ども時代の不幸な体験について、

もう少し踏み込んでいきましょう。

 

最初のACE研究が公表された1998年から20年。

昨年までの間に全米50州の様々な地域で、

調査が進んでいます。

 

トラウマになるような体験は、初期の

ACE調査で質問項目となった10個の状況や

体験だけではないことも、後の研究で

分かってきました。

 

例えば、このような体験も、発達に悪影響を与えます。

 

兄弟姉妹の虐待を目にすること

家の外で暴力を目にすること

母親による父親への虐待を目にすること

友だちや大人からのいじめ

紛争地帯やいつも危険を感じる地域に住むこと

経済的貧困、強制退去等で家族を失うこと等

 

州別データによると、ACE率が低い州でも、38%の子どもが

1つ以上のACEを体験し、16州では子ども4人に1人が

2つ以上のACEを持っています。

 

ACE研究の発祥の地カリフォルニア州で2014年に発表された

調査結果によれば、大人の61.7%が少なくとも一つはACEを持ち、

6人に1人は4つ以上のACEを持っています。

 

最も頻繁に発生しているACEは、

 

情緒面でのネグレクト(1位)

例:泣いても無視する、無表情等

 

親の別居または離婚(2位)

 

家族の薬物依存(3位)

 

となっています。

 

最もACE率の高い郡では、ACEを持つ大人の

割合は全体の人口の75%にも達しています。

 

ここまで多いと、ACEゼロの人も

「かわいそうね…」などと

他人事のように言っていられません。

 

この社会は、ACEを体験した人たちや

その人たちと関わり、大なり小なりなんらかの

影響を受ける人たちで埋め尽くされています。

 

ACEは一部の特殊な人々の問題ではなく、

社会システムのいろんなところに影響を

与えています。

 

2014年に発表された、フロリダ州の少年鑑別所の

64,329人を対象に行われたACE調査では、1998年の

オリジナルのACE調査よりもはるかに高いACE率が

確認されました。

 

ACEゼロ:2.8%(元のACE調査では34%)

ACE4以上:50%(元のACE調査では13%)

 

 

 

子ども時代の不幸な体験が、個人の行動、ひいては

社会全体の治安に影響を及ぼすことがデータで

はっきり示されました。

 

1998年以来、約70の研究論文で紹介され、さらに

その後もACE研究をもとにした論文が数多く発表されています。

また、ACE調査は、米国だけでなく、イギリス、サウジアラビア、

WHOによるルーマニアの調査など他国でも広がっています。

 

先月、タレントのオプラさんも、トラウマについて言及し話題になりました。

 

 

不幸な体験によるストレスやトラウマ、それらが脳と体に

与える深刻な影響に関する理解が、全米でさらに

急速に広がりつつあります。

 

ちなみに、日本では、チャイルド・マルトリートメント(不適切な養育)

によって傷つく子どもの脳について、福井大学子どものこころの発達

研究センター教授の友田明美先生(小児精神科医)が、脳への

ダメージを、高解像度のMRIを使用し、示しておられます。

 

先生がハーバード大学と行った共同研究では、子ども時代にDV

目撃して育った人は、脳の後頭葉にある「視覚野」の一部で、

単語の認知や夢を見ることに関係している「舌状回」という部分の容積が

正常な脳と比べ、平均しておよそ6%小さくなっているという結果でした。

 

驚くのは、その萎縮率。

 

身体的なDVを目撃した場合は約3%でしたが、言葉によるDVの場合、

20%も小さくなっていたのです。

身体的な暴力を目撃した場合よりも、罵倒や脅しなど、言葉における

暴力を見聞きした時の方が脳へのダメージが大きかったということです。

 

別の調査で、身体的虐待、精神的虐待と、トラウマ反応との関連を

調査したマサチューセッツの病院のマーチン・タイチャー氏の研究では、

トラウマ反応が最も重篤なのは、DV目撃と暴言による虐待の組み合わせ

だったそうです。

 

ことばにはいのちがやどる。

 

これは本当ですね。

私たちは毎日使う言葉に、注意しないといけないですね。

 

参考資料 「子どもの脳を傷つける親たち」友田明美著NHK出版