不適切な行動をとる人(子ども)を見た時
 
「ダメな人。だから罰を与えなくては」
と見るか
「傷ついている人。傷に配慮した有効な介入をしなければ」
と見るか
 
その見方で、だいぶ対応が変わります。
 
問題の減少と費用の削減に効果があるのは
どっちでしょう。
 
後者の立場をとることを、トラウマ・インフォームド・ケアと呼びます。
 
トラウマ・インフォームドとは、トラウマのような
大きなストレスが、その後の人の発達、行動、健康に
大きな影響を及ぼすということについて理解している
という意味です。
 
アメリカでは、1998年にACE研究(小児期逆境的体験研究)
が発表され、以来これまで20年の間に、実践と研究が
積み重ねられてきました。
 
そして後者の考え方が、教育、医療、犯罪防止の分野で、
形となって現れ出しています。
 
昨日もまた、一つ実例が紹介されたようです。
 
 
カリフォルニア州に行ったとき、州の教育省にお勤めの
数名の方と会う機会がありました。
その人たちは各学校に派遣され、ACE研究や
トラウマ・インフォームド・ケアを先生たちに
伝えていると言っていました。
 
急劇に状況が変わることにはならないかもしれませんが
現場で働く人たちの意識を変えていく、こうした地道な動きが、
静かに浸透し、社会の当たり前に近づいていくのだろうなと思います。
 
コミュニティー・レジリエンス・モデルを考案した
エレイン・ミラーカラス先生は
トラウマ・インフォームド・ケアを更に一歩進め
レジリエンス・インフォームド・ケアを伝えています。
 
ダメな人→回復力を持っている人
罰を与えなきゃ→生理学に戻づいた感情管理のスキルを知ってもらう支援を
 
焦点を当てることは、ダメな点より、うまくいっている点。
 
さあ、今日も身の回りから
トラウマ・インフォームド、レジリエンス・インフォームドに。
 
If children are afraid or scared, their survival brain kicks in and it maybe hard for them to concentrate.
 
The body keeps the score
Bessel Van Der Kolk M.D.より

不安や恐れを感じているとき、脳は理性や判断を
つかさどる大脳より、まず生命をリスクから守ろうとする
サバイバル脳の方が先に働き、優勢となります。
 
何かにおびえ、心から安心できていない時、
誰から、どんなに価値あることを教えられ、
促されたとしても、その子の意思とは関係なく、
そちらに100%の意識を向けることができないもの。
 
まず始めに与えられなければならないのは安心。
 
笑顔でいられる環境だということを
教えられた一文でした。
 
大人だって同じ、ですよね。
家で、職場で、私たちが最良・最高のパフォーマンスを
出すのに必要なのは安心感。
脅しや縛りや恐怖は逆効果かもしれません。
 
ただご褒美は曲者。
痛めつけられ過ぎた脳にはご褒美が効かないこともありますし、
ご褒美のあげ方によっては、長期的には逆効果に
なってしまうこともあるようですのでご注意を。
 
どうしたら、子どもたちに安心感を作りだせるのか。
苦悩の連鎖を止められるのか。
大人はどうしたらいいのか。
 
そんな問いを抱えて、探して、
Community Resiliency Modelに出会いました。
 
学びに行こうと思った決め手は、それが、いつでも、どこでも、
誰にでも、その人が持つ力を活用してできると、あったから。
 
今、研修を終えて、アメリカまで学びに行ってよかったと思います。
それが間違いがないと、自分で確かめられたので。
 
幼児から高齢者まで、国も、言語も、宗教も、学歴を問わず、
伝えあえる、助け合える実践スキル。
このスキルは、万能薬ではないし、人によっては
合わない人もいます。
使う時には細心の注意を払わないといけません。
 
でも少なくとも私は、これに救われ、恐らく多くの人に
役立つスキルではないかなと思えます。
 
Trauma Resource Institute
https://www.traumaresourceinstitute.com/home/
 
日本での研修について
https://trmcrmjapan.wixsite.com/home
 
11月には東京や大阪で講習会が行われることが決まりました。
早く福岡でもできるようになったらいいな。
 
カリフォルニア州のクレアモントでの
「コミュニティー・レジリエンシー・モデル:CRM」の
5日間のトレーナー研修が無事終わり、
仮免許をもらいました。
 
CRMは生理学や脳科学の知識に基づいた、
心のバランスをとるトレーニングです。
 
「大丈夫」と安心していられ、力を発揮しやすい心の
範囲を「レジリエンシー・ゾーン(大丈夫ゾーン)」
と呼び、CRMはこの範囲を鍛えて広げるものです。
 
この先も半年間、課題を提出し練習を積んで、
公認トレーナーになります。

例えば、もし木の根っこが傷ついていたら
すくすくと幹や葉を繁らすことができず
美味しい実をつけることができませんよね。
 
どんなにいい肥料をもらっても、十分にそれを
吸収することができません。
 
人で言えば、根っこの傷はトラウマや
心に受けた大きなストレス。
肥料は様々な教育活動、というところでしょうか。
 
子どもたちの未来に暗い影を落とす、貧困の連鎖、
虐待の連鎖、薬物・アルコール依存、病気や犯罪、
そして生きづらさ・・・
それらの背景に、周囲の大人の「見えない傷」が
関係していることを知り、生きる力を育てる
教育活動の中に、「根っこを守る力」を浸透させて
いかなければと思うようになりました。
 
目に見えないところについた傷は、心と身体に
影響を与え続けます。本人も気づかないところで。
 
傷が知らない内に治り、前よりもっと太く丈夫な
根っこになっていたりすることもありますが、
傷が傷のまま残り、理由が分からぬまま、
自分はなぜこうなのかと責めたり恥じたり、
受け入れることができなかったりして、
苦しむこともあります。
 
欲しいのは、自分や他の人の傷に気が付ける目、
傷をなるだけ作らないようにし合う知恵、
傷を癒やし(※)明日の力に転換させていくスキル。
 
これ、一人ではできません。
人といっしょに、コミュニティーの中で、
みんなで伸ばせる力です。
 
サポートしてくれた服部信子さん
(カリフォルニア州臨床心理士)には本当に
お世話になりました。
 
今はまだまだひよっこ仮免トレーナーですが、
経験を積んで、ちゃんと伝えられるようになりたいと思います。
 
研修についていくのは大変でした。
 
情けなくて、みんなのやさしさが嬉しくて、
涙が止まらなくて、
1時間、外でずっと泣いてた日もありました。
 
44名の同期のメンバーと先生たち。
 
下の写真は、同じグループで、いつも助けてくれた、
タウンリー(右)とローレン(中央)
タウンリーは子育てしながら、大学に入って
この春ソーシャルワーカーになったばかり。
今、精神保健福祉士を目指して勉強している私の先輩です。
 
 
「アメリカ来たなら、ピックアップトラックに乗って
カントリーミュージック聞け~」と、自分の車に乗せてくれた
トレーナーのエドウィンさん
貴重な学び、体験、出会いを得た5日間でした。
 
※深刻なトラウマやストレスについては、
医師の診断や治療につなげます。
 
8月6日~カリフォルニア州のクレアモントというところに
来ました。
 
トラウマ・リソース・インスティテュート(TRI)という
団体が主催する、コミュニティー・レジリエンシー・
モデル(CRM)の講師養成講座に参加しています。
 
日本と同じく、カリフォルニアも暑くて
日中は40度近い気温。
夜7時過ぎになって、ようやく外を散歩する気になります。
 
大分離れたところなのですが、
史上最悪になりそうな大きな山火事が、
今まだ州内で広がっていて
焚火のような臭いが時々します。
高い気温、そのせいもちょっとあるのかも
しれません。
 
今学んでいるCRMは、アメリカ、ウクライナ、
フィリピン、ルワンダなど、他の国々で実践され、
改良を重ねてきている実績があるのと、
生物学や脳科学など、生き物の自然な身体のはたらきに
根差して作られているので、無理しなくてもいい点が
いいなと思いました。
 
そして、半年ほど自分で使ってみて、
これは使えると、実感しました。
 
子どもたちの教育支援をする中で
ぶつかった壁
 
養育に不可欠な、安心感。
これを、不安定な環境でも
生み出せる力は何か。
 
ふってきた答えは、レジリエンスでした。
 
今回、自分以外の参加者は、全員ネイティブ。
100%理解することは無理で、講習前後の予習復習を含め、
四苦八苦しています。
 
修了して、いつか現場で使えるようになる日を思い描いて
頑張ります。
 

大切なことが書かれているなあと思う

記事を読みました。

 

 

(社説)わたしたちの現在地 深まる危機に目を凝らす

(朝日新聞デジタル)

 

人は関係性の中で生きる

心の生きもの。

 

心が蝕まれれば、体の健康も蝕まれます。

 

心の健康は、

受容されること、誠実、思いやり、愛で

育まれます。

様々な困難に見舞われたとしても

私たちの心は、それらがあれば

守られ、癒やされ、回復します。

 

権力があれば何でも許される世の中は

そんなわたしたちの大事な大事な心を

不安定にします。

 

力から自分の身を守ることの方が

人をありのまま受け入れることより

誠実にいるより

他者に思いやりをかけたり、かけられたり

愛情を示すことよりも

大事になってしまうからです。

 

権力があれば何でもまかり通る

 

そんな場面を、この数年で

私たちは何度見てきたでしょう。

この大人の姿を

子どもたちはどう見ているんでしょう。

 

「わたしたちの現在地」

この言葉を目にしたとき、わたしは

 

V字回復するスタート地点だ

 

と思いました。

 

ちっぽけな存在でも

いまここが、その場所なのだと思って

これからを生きていこう

 

そんな風に思わせてくれる文章でした。

 

同じように感じている人と

つながって、支え合っていけるといいなと

思います。

 

西日本新聞朝刊日曜日の「教育はいま」に

月に1回ライフスキル考というタイトルで

書かせてもらってます。
 

先日6本目が掲載されました。
 

Web版には出ていないので、紙面を画像で。
 

読みにくくてごめんなさい。

 

暑い日が続きますね。
豪雨災害後の、終わりの見えない酷暑。
 
私たちは助け合っていかねば
生き残れないのだと
自然に教えられているようです。

昨日昼、たまたま福岡市多の津の交差点で、
座り込んで電柱に寄りかかっている
老齢の男性を見ました。
 
その隣には、運転中の車を止め
冷たいお茶を運んで、
風を送って介抱している
女性の姿。
 
男性は、支えがなければ立つこともできない状態。
 
その後、自宅まで車で送り、
男性の自転車も運んであげた
心優しいその女性は
名乗ることもなく去っていかれました。
 
「天使みたい・・・」
とわたしが言うと
 
一緒にいたEさんがポツリ。
「…マリアですよ」
 
確かに。
とても美しいマリア様でした。
 
見て見ぬふりをしない
足を止める
 
私たちには、それができないことがあります。
「忙しい」が理由で。
 
足を止めれば、時間を失う。
予定していたことができなくなる。
それで失うものと
それをしても得られるもの
もしかしたら、遭遇したほんの短い一瞬に、
わたしたちはそれを秤にかけ
行動の選択をしているのかもしれません。
 
自分じゃなくても
誰かがやるだろう
という願いで気持ちを締めくくって。
 
正しさはさておき
 
私も、
アルコール依存から抜け、今人生再建のために
頑張っている途中のEさんも
その女性のおかげで
昨日はとてもすがすがしい
いい気持ちになっていました。
「足を止める人に出会えてよかった」と
こころが喜んでいます。
 
猛暑の中のできごと
でした。
 
福岡大学 精神医学教室の 斎藤陽子先生のお話を聞きました。
 
 
斉藤先生はPTSD治療の認定セラピストで、
専門に外来を受けてらっしゃる数少ないトラウマのプロ。
 
教えていただいたことと、感じたことを、書いてみました。
長いのですが、よかったらご覧ください。
感想・・・★
 
===
・発達障害とトラウマの影響は似ている。
 
発達障害とトラウマの影響による症状は似ていて、
特にトラウマの場合、その人(子ども)自身が周りに分からないよう
カモフラージュすることもあり、区別を難しくさせています。
 
成育歴、養育環境、養育の時の難しさなどを慎重に
見ていくことで、発達障害との区別ができます。
 
「もしやトラウマ?」という「トラウマレンズ」を通して症状を見
区別して診断できる医師は、まだ少数。
 
★「トラウマかな?」と感じる時には、トラウマについてよく理解した
医師を選んで相談することが大事なようです。
 

・逆境的環境で育った子どもの特徴
 
自分の感情を気づくこと、言葉にして表すこと、感情のコントロールが苦手です。
 
自分の感情をコントロールできず、予測もできず、急上昇したり
急降下をしたりして、無力感に襲われます。
そんな自分で自分の気持ちが分からない、伝えられない、制御できない
苦しさを味わっている子に、相手の気持ちを考えることは、難しすぎること。
 
なので、「相手の気持ちを考えてごらん」は禁句。
 
この子は大変な環境で育った、体験をしてきたんだなと思う子、
厄介な行動が目立つ子に対して、どう接したらいいんだろうと思ったとき、
「感情を育てること」を意識するといいそうです。
 
どんな気持ちでも(殺してやりたい!!というような反社会的なものでも!)
気持ちが気持ちである限り、害はありません。
感情にはとことん共感し代弁するのはOK。(でも行為には共感を示さない)
 
例:むかむかして、怒りで殺してやりたくなる!
→ そんなことがあったら本当に腹立つよね。怒って苦しくなるよね。
 
また、どんなひどい気持ちでも、時間が経てば必ず終わることを
気づかせてあげる。
 
もしかしたら、自分は誰にも理解されないと思っている、
自分の反応がおかしい、ダメだと思っている子。
 
その子の感情を代弁したり、共感したり、その反応はおかしくない
(自分を守るために体が自然にそうしているんだよ)と気付かせて
あげることがいいそうです。
 
★まずは、その子が安心して、自分の心の声、感情に気づくのを助けること
ジャッジせず、まずは受け止めること
ライフスキル教育の「お絵かき」のコーディネーター研修で
奥村先生が、まず受け止めることの重要性を言われていました。
あの極意が役立ちそうです。

・チャイルド・マルトリートメント
 
日々の生活で繰り返され、長期間に及ぶ、不適切な関わり。
虐待とは言い切れないようなものも含まれます。

こうした関わり方や扱いを受けると、ストレスホルモンである
コルチゾールが慢性的に放出されて、
脳の中の扁桃体(警報スイッチ)が暴走し、視覚、聴覚、
知的能力、語彙力などに影響します。
 
★フィリピンで仕事をしていた時、困難を抱えている子どもや
そのご家族と接するとき、なぜこうも、みんな会話が続かないのか、
語彙が出ないのか、一貫性、論理性に欠け、聞き取りが難しいのか、
その共通性を感じていました。
そしてそれを、子ども時代の栄養不足と片づけてしまうことが多々ありました。
 
置かれた環境や体験によって、自分の感情への気付きが弱くなり、
言語化できず、制御できない…すごく腑に落ちます。
 

・トラウマ反応
 
過酷な体験をしても、体験者の多くは、自然に回復します。
でも、災害では数%、性暴力では60%、PTSDに苦しむと言われています。
 
トラウマ反応となって残ってしまうかどうかは、
その「こと」が決めるのではなく、その人が自然に回復できたか
そうではなかったかの違い。
 
1年後の時点で軽減していない場合は、治療しない限り、
その苦しみはずっと続くのだそうです。
 
★実際は、苦しむことがあっても、病院まで行かないケースの方が
多いのでしょうね。上記の数値は一部かもしれません。
災害、目で見る、耳で聞く暴力、抑圧…人は(私自分を含め)
誰しも大なり小なり、自分の中だけで自然回復させられなかった
トラウマ反応を抱えているものかもしれません。
 

・成長後の問題行動とマルトリートメント、トラウマ
 
トラウマやマルトリートメント、つまり環境が、脳の機能低下を起こし、
これらに影響しています。
 
勉強できない、言葉にできない、いじめ、非行、不登校。
 
★決めつけはいけませんが、もしや背後にトラウマの影がないか、
トラウマレンズで見てみる大人が、周りに1人でも多くいると
その子の対応は変わるのかもしれません。
 
ACE研究では、勉強や行動だけでなく、
健康・病気との関係も指摘しています。
肥満、肺の疾患、鬱などなど。
 
 
・希望 - 脳の可塑性
 
安定した環境、安心できる大人の存在で、脳は回復を見せてくれます。
特に子どもの間の可塑性は目覚ましいもの。
 
★一人でも多く、信頼できる、安心できる、受け止めてくれる大人が、
増えるといいです。
 
そうなりたいです。
 
でも、その大人自身、自分で自分を安心、安定させていられる
大人でなくてはいけないんですよね。
セルフケア、とっても大事です。

 
・トラウマ・インフォームド・ケア(Trauma informed Care TIC)
 
トラウマや逆境的体験が及ぼす影響について、知識を持った人が
増えていくことが大切。
 
★専門医師でなくても、情報としてトラウマを知っている人が増えることで、
子どもを、大人になっても苦しみ続けている人を取り巻く環境が
少しづつ変わってくるでしょう。
「知ったら変わる」これは、他の様々なことで証明済みですよね。
 
・心をけがしたんじゃない?
 
「心をけがしたんじゃない?」
「あなたがダメなんじゃないよ」
「けがしているからうまくいかないだけ」
 
心の免疫力を高める、言葉がけ。心理教育。
 
★自分に起きたことを認知し、感情に気づき、その反応が
自然な反応であることを認める、それを何度でも繰り返し、定着させていく。
癒やしや回復には、安心して話せる人と一緒に、
自分自身で受け止める作業を繰り返し行うことが、効果的なようです。
 
 
・役立つ絵本(先生おすすめ!)
 
ねえ、話してみて
こわい目にあったアライグマくん
さよなら、ねずみちゃん
 
いずれも誠信書房
 
===
以上が、とっても有意義な2時間半の講座のごく一部と
その感想でした。
 
おしまいに・・・
 
子どもも大人も、自分の感情に気づくこと、
それが表現され、誰かに認められたという気持ちになると
「安心」しますよね。

でも、助けたい、力になりたいと思っても、自分の心が
安定していないと、かえって助けたい人の不安を高めてしまう
ことになるかもしれません。
不安や恐れがうつってしまったりすることは
支援や治療の現場ではよく見られること。
 
セルフケアが大事です。
 
自分で自分の心の声に耳をすませ、それを言葉にしてみること
そんな練習からやってみるといいかもしれません。
 
心の声を聴く、体の声を聴く、感覚から感情をコントロールする…
有効性をまた強く実感した夜でした。
 

今回の講座は、「子ども家庭応援(おせっかい)ワーカー養成講座2018」の
第7回目「トラウマケアとメンタルヘルス」の会でした。
全13回の講座の紹介文の冒頭には、こんなことが書いてあります。
 
「子どもの虐待が増加していく中で、地域にもっと子どもや家庭を応援する人が
必要だと考えるようになりました。困ったときに近くにいて支えてくれる、
面倒見のよいおじさんやおばさんが必要です。そのおじさんやおばさんが、
子ども家庭福祉や支援の専門的な知識やスキルをもっていると、より安全です。」
 
こんな気持ちがベースになっている学びの場。
 
40名定員の連続講座ですが、単発でも聴講可能(1回1000円)で、
私もそれで参加させてもらいました。
主催はワーカーズコープ九州沖縄事業部です。
 
素晴らしい、講座でした。
山口さん、日下さん、斉藤先生、ありがとうございました。
 
 
児童養護施設を出た後も、生きづらさを抱え、
社会の中で様々な問題に遭遇する若い人たち。
 
彼らを支える団体が全国各地にできているのですが、
今回、それをつなぐ輪、全国ネットワークが生まれ、
「えんじゅ」と名付けられ、活動が始まりました。
 
素晴らしい働きをされている人たちが
全国各地におられると知り、勇気づけられました。
 
基調講演は奥田知志先生。
胸に染みたことばを紹介します。
 
===
きずなということばの中には、傷(きず)が含まれている。
傷なくして、きずなは生まれない。
傷つきながら、きずなが深まる。
傷つくことを恐れてばかりいた結果、
今のような社会からの孤立の問題が
大きくなってしまっているのではないか。
===
 
家族は、ある、ないではない。
家族は、なるか、ならないか。
===
 
問題解決、PDCA、って何?
解決するがゴールじゃない、一緒に生きるがゴール
===
 
クロノス・・・時計の時間
カイロス・・・神さまが決めた時
===
 
今回は大学の用事で東京に行き、たまたま
タイミングがあったのでシンポジウムに行きました。
 
このタイミングで、こうした言葉に出会えるというのも、
「カイロス」だったのかもしれません。
 
会場では、福岡で先駆けて子ども食堂やユース支援の
活動をしていらした坪井恵子さんや、
10年以上ソルト支援をして下さっている久世さんとも、
お目にかかることができ、嬉しい偶然が重なりました。
 
福岡に戻る便の都合で、途中退席となってしまったのは
残念だったのですが、短い時間でも、行ってよかった催しでした。
 
傷つくことを恐れず
関わり、関わられ
一緒に生きていく
 
愛だな。
 
 
ホームページ: http://enjunet.org/
フェイスブック:https://www.facebook.com/enju2018/
 
 
子ども時代に不幸な体験をしたり
(Adverse Childhood Experience:ACE)
間違った扱いを受けたり
(Maltreatment)
育つのにふさわしい環境にいれないと
 
そのことは、脳や体に跡を残し
健康、行動、学習能力に影響し
その後の人生に影を落としていきます。
 
ストレスの多い環境や環境への反応の仕方が
DNAの転写に影響を与え
陰は、その当事者だけでなく
次の世代、またその次の世代へと
受け継がれます(Epigenetics)
 
極度の貧困、格差、差別、暴力…
個々の家庭の話だけで完結することではなく
学校や職場、地域、社会、国家による圧力
経済による暴力、抑圧…
様々なものがトラウマの種になっています。
 
ACEやエピジェネティクスを知る度
私には
フィリピンで出会った子どもたち
特にいなくなっていった子どもたちや
家族の姿が頭に浮かびます。
 
腑に落ちることばかりです。
 
私自身や家族のことでも、そうです。
 
だから、もっと知りたい、
知ってもらいたいという
気持ちになるのでしょう。
 
トラウマが作られる背景や
それが深く脳や体に刻まれるメカニズムを知り
次世代に引き継がせないようにするために
何ができるのか
いまここから。
 
興味というアンテナをたてていると
入ってきます、そうした情報が。
 
ECHO Parenting and Educationもその一つ。
 
環境を変えることは容易ではありませんが、
その環境にあって、傷を受けたとしても
お互いを癒やし、再生し、
不幸の連鎖ではなく、幸せの創造を
していこうとしている人がいます。
探せば、世界に。
 
科学を分かりやすい言葉にし
惜しげなくリソースを提供してくれる団体です。
よかったら、見てみてください。