喜劇王チャップリンは日本でも大人気で、
来日が決まりましたが、100年も前ですから、船旅です。
神戸港に着き、初めて日本の土を踏みました。
京都見学を経て東京へ向かうスケジュールで、
そこに、板前割烹浜作も入っていたとのことです。
数ある割烹の中で、なぜ浜作が選ばれたのか。
NHKの番組「偉人たちの至高のレシピ~京都・板前割烹(かっぽう)の献立帖(ちょう)」では触れられていませんが、
映画関係の客も多かったのですから、容易に想像はつきます。
食のエンターテインメントを目指す割烹浜作の初代主人は、
世界の喜劇王チャップリンを驚かせようと、
ある特訓をして、来店の日を迎えたといいます。
現在の三代目主人が、その時出された料理”うずらの鍬(くわ)焼き”を作って見せてくれました。
ウズラの肉は、骨があった方がおいしいのだそうです。
食べやすいように、包丁の背で骨を叩き潰しますが、
肉だけ叩いていると切れてしまう、
そこで当たるようで当たらない叩き方、”うずらの骨たたき”という方法を用います。
まな板の手前、反対側、肉、手前、反対側、肉と何度も叩きます。
それを目にもとまらぬ速さで繰り返します。
叩くといい音が出るようにと、
布巾を下に敷き、まな板を浮かせています。
利き手だけなら、コツをつかむとできるのだそうですが、
初代は、チャップリンを喜ばせるため、両手でやったといいます。
両手を同じように動かすために、
太鼓を習って、特訓したのだそうです。
初期のチャップリンの代表作に、「黄金狂時代」がありますが、
その中に、ロールパン・ダンスがあります。
棒の先にロールパンをさし、2本脚に見立ててダンスさせるのですが、
このシーンを、NHKは番組内で見せています。
初代も、このシーンを意識して、
チャップリンの目の前で、”うずらの骨たたき”を披露したのでしょう。
チャップリンは?
というと、
大喜びで、ブラヴォーの拍手。
戦後、2度目に来日した時も、
スケジュールには、
しっかりと浜作が組み入れられていたそうです。
三代目のおじいちゃんが、チャップリンを喜ばせたことは、
死ぬまで自慢の種だったといいます。
当然といえば、当然ですが。
見て楽しい、食べておいしい食のエンターテインメント浜作の、
面目躍如たるエピソードです。
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