京都の割烹浜作の2階は、
さながら映画人たちのスタッフルームと化していたと、
NHKの番組「偉人たちの至高のレシピ~京都・板前割烹(かっぽう)の献立帖(ちょう)」ではいっていましたが、
映画人たちが好んで頼んだのが、裏メニューともいうべきトンカツだったそうです。
割烹でトンカツというのもピンときにくいのですが、
戦後、短い期間でしたが、社会党という政党があり、
混乱期ということもあって、政権(連合でしたが)を担ったことがありました。
社会党というくらいですから、
庶民目線を掲げた社会主義の政党です。
この時、
全国の高級料理店が一斉に停止させられたというのです。
江戸時代の奢侈禁止令みたいなものが、
昭和の御代になって発せられたのです。
イデオロギーで集まった人たちの集団は、
日本の食の伝統文化の多様性さえ否定してしまうという、
近視眼的ラディカリズムに囚われやすい欠点をDNAにもっているようです。
かといって、
共通項が金もうけだけという政治パーティーも、
勘弁してほしいものがあるのですが…
まあ、世の中、うまくいかないようにできてるもんです。
さて、
昭和の贅沢禁止令によって、
浜作は仕方なくトンカツをメニューに加えたそうです。
それでも当時は、トンカツは特別な日の御馳走だったそうですが、
これが評判になったといいます。
そして、
日本映画の黄金期を支えたスッタフたちの腹も支えたわけです。
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