”キスすると そいつに風邪がうつる”
そう笑うあなたの その少し真剣な目に
俺は顔をそらした

どうせなら この思いも全て
あなたへ届くといいのに

今年の熱は長引きそう
だってあなたが隣で寝息を立て
俺はその髪を撫でているから

”熱は抗体がたたかっているから”
だけど こんなに体が熱く感じるのは
あなたを受け入れているから

内部で光が打って
感情が忙しく動くのを感じる
だけどそれは 扉を開くため

今年の熱は長引きそう
だってあなたの腕の中は
少し暖かすぎるから

今年の熱は長引きそう
だって俺はあなたにしがみついて
あなたは優しく髪に指を通すから

























つま先から 風にさらわれて


あなたのもとへ向かおう


優しくその頬を撫でて


きっとそれが 最後のくちづけになる


あなたは気づかず 誰かと笑いあうから


グラスに一粒 涙をたしたけど......






次はどこへ向かおう そう考えると

どこにも居場所がないことに気づいた

























こんな場所で立ち止まっている
足に絡みつく泥の靴が重い
太陽に照らされて見えるのは
きらきら光る夢のかけら
その奥に感じる あなたの存在

一歩踏み出すたびに
それは皮膚を鋭く引き裂いて
俺は あぶないから と
裸足で歩き回れない

目を凝らしても何も見えない
澄み切って晴れ渡っているけれど
まるで星を散りばめたみたい
輝くだけで何もない

体が震えだして うずくまる
身動きがとれないまま
まるで夢のようだ と
小さく笑った

























あなたを想うほど
細胞は熱く そして堪えきれずに
あなたを慕うほど
この瞳は潤み そして堪えきれずに

破裂した細胞の残骸(あと)に
いくつも涙が落ちたなら
そこには無数の花が咲き誇り

その香りに包まれて
俺は床に爪を立てるだろう
いっそ飲み込んでしまえばいい
確かに残るものは
そこに彫られたあなたの名前

あなたを想うほど
この脳は必死に 痛みを叫び
あなたを慕うほどに
心は手をのばす

鏡に映る自分の姿の
その先に苦痛を感じ
その奥に 俺は確認する
愛しい名前を

その痛みに包まれて
俺は壁に爪を立て しがみつき
まだ消えるわけにはいかないから
確かに残っている
あなたへの この想い

座り込む俺の周りが
こんなにも鮮やかだなんて
どうして今頃気づいたんだろう

その彩りに包まれて
瞼をそっと伏せたなら
まるで何もなかったかのように
だけど そして確かに残る
あなたと俺と
床の傷痕

























別れ際

しがみついた あなたの頬を

そっと舐めたの

それは

海の味がした

























太陽の日差しに目を覚まし
その寒さに背中を丸める
なにひとつ纏わずに眠るあなたを
微かな光が包み込んで
見渡せば 散らかる昨日の残骸

お湯の落ちる音
車の走る音
空調の音も鳥の声も
何も聞こえない
あなたの言った あの言葉以外

キスの熱とか
抱き締める強さ
あなたを受け入れる刺激も
たった一言 ”好きだ”
それだけで愛にかわる

温めた体をシーツでくるみ
あなたと俺 二つのカップ
コーヒーの香りに笑顔がこぼれる
一口喉をとおして
あなたに口づけをする

帰っていく靴音
隣の笑い声
スピーカーの曲も木のそよめきも
何も聞こえない
あなたの言う その言葉以外

キスの熱とか
抱き締める強さ
あなたを受け入れる刺激も
たった一言 ”好きだ”
それだけで愛にかわる

キスの熱
抱き締める強さ
あなたを受け入れる刺激
どれも たった一言
ねえ ”好きだ” それだけで
愛にかわるの

























あなたと一緒にいる夜

指先から 俺はピンク色に染まって

夜空を照らすの

それは星たちも怯えるほどに


ひとりぼっちの夜

風に身を任せて 俺はもろく崩れていく

足下を照らすの

それがあなたに続きますように

























あなたの後ろ姿を見て
生きていてよかったって思う
俺の右ななめ前
少し猫背のあなたを
愛おしく思う

不器用なあなたは
だから うまい言葉なんて聞いたことないけど
ちゃんと愛してるってわかるよ
車に乗ると 無言で手を差し出す
そんなあなたが大好きだよ

ずっと一緒になんて無理だから
最後に悔いが残らないよう
今日を精一杯生きなきゃ

























キラキラしたものにも
ドロドロしたものにも
なりきれない俺
口ではキラキラばっかり語って
思ってることはドロドロで
意外とそれに気付いてない
時々気付くんだ
早く抜け出さなくちゃ

誰かを一途に愛すること
本当に好きな人とのsex
お金じゃない
物じゃない
便利さじゃない

今までじゃない
前に踏み出すの
内部(なか)から輝けるように
俺はキラキラになりたいから

























完璧すぎる言い訳に
僕は太刀打ちできなくて
だけど知っているの
全ては揺らがない陽炎

うつむいたままの君に
言葉を与えてあげたけど
もうとめられないの
声を奪う術も知らない

乾風に眼はあてられたけど
まだ確かにその姿を映している
逃げられない 逃げられない
そんな丘の上に今
北風に心は引きずられ
けどかろうじて痛みを忘れずにいる
ぎりぎりなまま ぎりぎりなまま
そんな塔の上で今

妬きつくした回答は
何を動かし始めれば
昇華されていくの
空は温度を忘れたまま

晴れ出した視界を
また濁らせていく

乾風に手は引かれていっても
まだそのまま往くわけにはいかないから
待つだけでも 待つだけでも
そんな丘の上に今
北風に身体は飛ばされて
けど案外楽に逆流できるから
繰り返すだけ 繰り返すだけ
そんな塔の上で今

乾風に眼はあてられたけど
まだ確かにその姿を映している
逃げられない 逃げられない
そんな丘の上に今