暴力行為による社会的・法的リスクとは
報道で、暴力行為によって、逮捕され、職を辞することになった有名人がいました。
家庭内暴力のようですが、報道によるとたった1回の親子げんかで逮捕に至ったような話になっています。
しかし、逮捕に至ったということは、1回だけでなく、何回もトラブルがあったのでしょう。
さらには泥酔していて手が付けられない状態であったため、逮捕されたという報道も出ています。
いずれにしても、「ほんの数秒」の暴力行為によって、人生が変わってしまったというのは、紛れもない事実です。
暴力事件というと、暴力団や不良同士の争いを想像する人もいます。
しかし実際に暴力行為をするのは、会社員・公務員・経営者・スポーツ選手・芸能人・主婦・高齢者等のごく普通の人が加害者になるケースが少なくありません。
暴力行為は、一瞬の感情によって発生します。
そして、その数秒間の行動によって、逮捕・失業・離婚・損害賠償・前科・社会的信用の喪失という重大な結果を招くことがあります。
そういう意味では、暴力行為は自分自身の身を滅ぼす愚かな行為であると言えます。
今回は、暴力行為が起こりやすい場所や動機や自分自身が暴力行為を受けた時の対応について解説します。
1.暴力行為が発生しやすい場所
1)居酒屋・飲食店
最も典型的な場所です。
原因として、酒による判断力低下、他人との口論、ナンパトラブル、店員へのクレームなどがあります。
特に飲酒状態では感情のコントロールが難しくなり、「胸ぐらを掴む」「突き飛ばす」程度のつもりでも暴行罪が成立する可能性があります。
お酒を飲むときは、特に気を付けましょう。
2)交通事故・あおり運転
交通トラブルは非常に危険です。
例えば、追突事故・車線変更・クラクション・割り込みなどをきっかけに口論となり、殴る・蹴る・車から引きずり出すといった行為に発展することがあります。
近年ではドライブレコーダーが普及しているため、証拠も残りやすくなっています。
3)電車・駅構内
電車に乗る時や駅構内でも暴力行為が多いです。
満員電車や酔客同士のトラブル、順番待ち、肩がぶつかったなどが原因です。
「先に暴言を吐かれた」というケースもありますが、暴言に対して暴力で返せば、加害者となる可能性があります。
4)家庭内
実は最も多いのが家庭内暴力です。
夫婦喧嘩・親子喧嘩・介護疲れ・子どもの反抗などが原因となります。
昔は「家庭内の問題」として処理されることもありましたが、現在は警察が積極的に介入する傾向にあります。
2.暴力行為が起きる主な理由
1)相手の挑発
「馬鹿にされた」「挑発された」「睨まれた」という理由です。
しかし法律上は、「相手が挑発した」ことと「暴力を振るった」ことは別問題です。
2)暴言
「死ね」「役立たず」などの暴言によって激高するケースがあります。
しかし暴言に対して殴れば、刑事責任を負う可能性があります。
3)詐欺や金銭トラブル
「お金を返さない」「騙された」「売掛金の未払い」などです。
どれほど腹が立っても、自力救済は原則認められません。
法的手続で解決すべき問題です。
3.相手をケガさせた場合
1)刑事責任
軽傷であっても傷害罪となる可能性があります。
例えば、顔を殴った、鼻血が出た、打撲を負わせたなどです。
警察に通報されれば、事情聴取・逮捕・書類送検となる可能性があります。
2)民事責任
被害者から、治療費・通院交通費・慰謝料などを請求されることがあります。
3)社会的制裁
会社員であれば、懲戒処分・退職勧告・解雇のリスクがあります。
特に公務員や士業、教員、スポーツ選手などは社会的信用が重視されます。
4.相手に後遺障害を負わせた場合
例えば、失明・歯の欠損・顔面の変形・麻痺などです。
1)刑事責任
極めて重い傷害事件として扱われます。
実刑判決となる可能性も高まります。
2)損害賠償額も高額化
後遺障害が残れば、数百万円あるいは数千万円規模の賠償になる場合があります。
特に被害者が若い場合は、将来の収入減少(逸失利益)まで請求されることがあります。
3)人生への影響
会社を退職・離婚・住宅ローン審査への影響・社会的信用の失墜など深刻な結果を招くことがあります。
5.相手を死亡させた場合
最も重大なケースです。
1)刑事責任
状況によって、傷害致死・殺人などが問題になります。
「殺すつもりはなかった」というケースでも傷害致死罪が成立することがあります。
2)民事責任
遺族から、葬儀費用・慰謝料・逸失利益などを請求されます。
賠償額は非常に高額になることがあります。
3)社会的制裁
ほぼ確実に、失業・報道・家族への影響・地域社会での信用失墜などが発生します。
一度失った信用を取り戻すのは容易ではありません。
6.自分が暴力を受けた場合の対応
ここからは、自分自身が暴力行為を受けた被害者として、するべきことについて解説します。
1)まず安全確保
最優先は逃げることです。
暴行を受けたからといって反撃してしまうと、双方が加害者として扱われることがあります。
2)110番通報
暴力行為が発生したら、ためらわず通報して、警察官に現場に来てもらうことが重要です。
警察の臨場記録は重要な証拠になります。
3)病院を受診する
例えケガが軽くても受診しましょう。
診断書は極めて重要な証拠です。
4)証拠を保存する
写真撮影・録音・防犯カメラ映像・LINEやメールなどを保存します。
5)被害届・告訴の検討
被害内容によっては、被害届や告訴を検討します。
6)弁護士への相談
後遺症や高額賠償が問題となる場合は、弁護士への相談が有効です。
示談交渉や損害賠償請求を依頼できます。
以上です。
暴力行為の多くは、「カッとなった」「つい手が出た」という一瞬の感情から始まります。
しかし結果として、逮捕・前科・失業・賠償金・家庭崩壊・社会的信用の喪失につながることがあります。
相手に非があるように見える場面でも、暴力ではなく警察・弁護士・裁判所などの法的手段によって解決することが、結果として自分自身と家族を守ることにつながるのです。
暴力行為は実は自分自身を傷つけ、破滅する行為に他ならないのですから、手を出したら、負けです。
暴力行為を受けないように気を付けて、行動することを心がけましょう。


