ギフテッドの特徴と救われた家庭の分岐点とは
40代の母親から息子に関する相談を受けました。
「うちの子、普通じゃないんです。良い意味で。でも最近、学校に行けなくなってしまって、困っています。」
相談に来た母親は、そう言って言葉を詰まらせました。
成績は常にトップであり、読書量も大人顔負けのレベルです。
小学生の頃には、すでに高校レベルの知識を持っていた。
それでも、彼は中学2年で不登校になりました。
なぜ、天才はつまずいたのか。
聞くところによると、幼少期の様子は、3歳でひらがな・カタカナ習得し、小1で百科事典を読み漁る。
理科と歴史には異常な興味を持っていた。
担任からはこう言われていました。
「非常に優秀ですが、授業中に勝手に先の内容を話すことがあります。」
転機は小学校高学年のとき、授業が退屈と感じ始め、先生の説明に納得できないと反論し出す。
また、同級生との会話が成立しない等、問題行動が増えてきました。
母親は当時をこう振り返ります。
「正しいことを言っているのに、なぜか浮いてしまうんです。」
中学に入ると状況はさらに悪化します。
宿題を完全拒否し、教師と衝突した挙句、「学校に行く意味がない」と発言するなどして、調和が取れない状態になりました。
やがて、朝起きられない、部屋に閉じこもる、無気力状態となりました。
医療機関では、うつ病の初期症状と診断されました。
ここで初めて、「ギフテッド」という概念に辿り着きます。
母親はこう言いました。
「もっと早く知っていれば…」
息子の特性は、
知的能力:非常に高い
興味の偏り:極端
感受性:非常に強い
対人適応:苦手
これは、カジミェシュ・ダブロフスキが提唱した「過度激動(Overexcitability)」の典型例でした。
このままでは、息子の人生はどうなってしまうのだろうかと母親は心配していました。
転機は、母親のある決断でした。
それまでは、普通に学校へ行かせることを最優先して、無理に息子を登校させようとしていました。
そして、決断後、母親は息子が学校に行かない選択を認めることにしました。
そして、興味分野に集中させることと通信教育や個別学習を受けることで環境を変えることにしました。
その結果、変化は徐々に現れます。
息子は自分から学習を再開し始めました。
そして、オンラインで専門的な知識を深めることができ、同じ興味を持つ仲間と出会うこともできました。
そして高校進学後は、特定分野で全国レベルのコンテストで入賞するまでに至りました。
つまりは、母親の決断が吉と出た事例です。
一方で、別の相談者のケースもあります。
母親が息子に対して、無理な登校を継続させた結果、周囲から問題児扱いされてしまい、息子本人も自己肯定感が低下してしまいました。
その結果、息子は引きこもりを始めてしまい、それが長期化して、社会復帰が困難になってしまいました。
この母親は、息子の気持ちを尊重することが出来なかった失敗事例です。
同じギフテッドでありながら、なぜ、結果が分かれたのでしょうか。
決定的な違いは能力ではありません。
それは、環境と理解です。
結果を分けた3つの要素は以下の通りです。
1.特性理解
ギフテッドを「問題児」ではなく「特性」として捉えたかどうかです。
2.環境調整
ギフテッドを合わない場所に無理に適応させようとしなかったかということです。
3.自己肯定感の維持
ギフテッドは周囲との調和がとれず、浮いた存在として否定され続ければ、自信を無くしてしまいます。
以上の3つを理解し、適切な環境に身を置けば、輝くこともできるということです。
ギフテッドと情報処理速度が速く、なおかつ、感情処理も強いのです。
つまりは、「感じすぎ、考えすぎる脳」であるということです。
この特性が創造性になるか、あるいは、苦しみになるかは環境次第です。
ギフテッドの子供は、「放っておけば伸びる天才」ではありません。
むしろ、最も環境の影響を受けやすい存在です。
ですから、本人の特性をよく理解したうえで適切な環境を与えることが何よりも大切であるということです。
もし、あなたのお子さんに、極端な知的偏りや強いこだわり、学校への違和感がある場合、それは問題ではなく、才能のサインかもしれません。


