葛根廟事件の真相に迫る! PART.8 | 湘南逍遥

葛根廟事件の真相に迫る! PART.8

ユニコ舎刊の『境界』シリーズの著者の一人、大島満吉氏先の取材時音声をYouTubeチャンネル「境界 大東亜戦争の記憶」で順次公開。先の大戦で満州国において実際に起こったソ連軍による凄惨な日本人民間人殺害事件「葛根廟事件」の全容を大島氏が語る。

[PART.8概要]満州の首都・新京で暮らし始めた大島家だったが、両親が病に倒れてしまう。兄(宏生)と満吉さんは、一家の飢えを凌ぐため、コークス拾いや元軍用犬協会で使わなくなった数珠などを拾ったり盗んだりしては売り捌いていた。ある日、物を貰うために立ち寄った家のおじさんから、ちゃんと働くようにと諭され、おじさんから商売に必要なものを用意してもらう。兄と満吉さんは、お饅頭やタバコ、飴玉などを売り歩くようになる。時には大人に騙されて商品だけを持っていかれるという苦い経験もした。
そんな生活を1年も経過した頃、ようやく日本への引き揚げの話が現実のものとなる。1946(昭和21)年10月1日、引揚船で博多港へ到着した大島一家は、そこから故郷の群馬県利根郡長治村(現・みなかみ町)を目指す。10月4日、長治村の実家に到着した大島家。畑に出ていた祖母も慌てて家に戻り、父(肇)と対面。祖母と父は感極まり、しばらく抱き合って泣いていた。
やがて祖母は庭の柿の木についた、たった一つの実もぎとって、家族に振る舞った。その味が忘れられない満吉さんは今でも柿を大事にしている。