今回は性別適合手術をしてきたので、その流れについて解説する。
結論から先に伝えると
費用:手術費用115万円 宿代6万円 交通費6万円まで病院が負担する
場所:KAZUKIプライベートクリニック松江院 島根県松江市朝日町484-13
松江院のご案内|KAZUKIプライベートクリニック【公式】 (kazuki-pc.com)
期間:約2週間
所感:やってよかった。
目的:今後女性として生きていくため。
最近、性別変更の条件に「性別適合手術」が違憲なのではという人がいるが、私は手術せず性別変更できるようにしてほしいとは一切思っていない。
手術は絶対に必要なことだと思っている。
さらに言うと戸籍上性別を女性に変更できたとしても、女性環境に受け入れられるか。
そうはならない。
あくまで「元男」と見られるため、デリケートなスペースに入ってきてほしくないのではないか。
見た目、声、戸籍。
どれも女性にしたところで私が最終的に行き着く先は「女性」ではなく、「女性になりたいと思っている元男」なのだと。
ただそれでも私はこの道を選択した。
後悔はしていないし、偏見と差別がはびこるこの社会で思うようにいかないことは多々あると思う。
時には心無い言葉も言われることだろう。
それでも「私自身は誠実でありたい」というスローガンを背負って生きようと思う。
性別適合手術の流れ
まず病院に予約の電話、もしくはメールをする。
コンタクトが取れると病院のほうから手術の3か月前に事前検査(血液検査心電図)のデータを送ってほしいと言われるので送る。
性別適合手術にも何通りかのプランがあり、自分でプランを決めてその料金を2か月前までに振込等で支払いをする。
今回私が選択したプランは、「割れ目形成+尿路変更+膣無し」を選択。
一括だけではなく70%以上の頭金を支払い、残りを医療ローンで払うことが可能。
私は9月28日に振り込みをした。
すると予約完了のメールが届き、ホルモン治療1か月前から禁止と伝えられる。
2日前の11月4日朝から食事が3食ウィダーインゼリーのみになる。
前日、陰部を剃毛した状態で病院へ。
カウンセリングと下剤「マグコロール」を飲み、さらには浣腸をして徹底的におなかの中を空っぽにする。
浣腸してから3分間は我慢してくださいと言われたのに、1分30秒しか持たなかったので看護師さんと一緒に笑った。
その日の夜から絶飲絶食となる。
空腹よりも一晩中下痢をする方がなかなかしんどい。
手術当日11月6日。
朝起きてまだ下剤が効いているのか、何度か排泄してから病院に向かう。
メイクは出来ないのですっぴんで向かう。
病院についたら病院服に着替える。
腸の動きを止める薬を飲む。
この薬が今まで口にしてきた物の中で2番目のまずさ。
ちなみに一番はパクチー。
そのまま手術室へ。
心電図を取り付けてもらないながら左腕に点滴の針をさされ、おしりに化膿止めの注射を打たれ、右肩にも何かの注射を全部同時にされた。
操り人形のように体を動かされ腕しびれないですか?と3方向から同時に言われたのが面白かった。
そして先生が入ってきてこれから全身麻酔入りますよと言われた瞬間、呼吸ができなくなって一瞬で意識が消えた。
※全身麻酔が聞いている間は呼吸が完全に止まるため、手術中は人工呼吸器を用いて生命を維持するそう。
今回の手術の時間は5時間。
次に意識が戻ったのがその日の夜。
病室に移されてM字開脚で寝ていた。
麻酔の影響なのか頭の稼働率が10%ほどで、体の感覚がほとんどなく声も出せない状態で心電図の電子音だけが聞こえていた。
意識が戻った私に気が付いた看護師さんが何か言ってたが、「寒いです」と言おうとしてすぐに意識が途絶えた。
次に起きたのが11月7日の3時。
看護師さんが来て水飲みますか?とボトルで水を飲ませてくれた。
だんだんと手術が終わったことや体の状態を理解できるくらいには頭が覚醒し、今寝ているベッドはエアーマットだから体位交換をしなくても大丈夫だというのを勝手に納得したのを覚えている。
それから9時ごろに看護師さんがまた来て「別の病室に移動しましょう」とベッドを起こしてもらったが、体が全然いうことを聞かず起き上がるのがやっと。
点滴スタンドにつかまらせてもらい、全力で歩いているつもりでもふらふら千鳥足。
※ちなみにあの台は「イルリガードル台」という名称らしい。
なんとか病室を移動し、横になっていると少しずつ体の感覚が戻ってきた。
同時に痛みも襲ってきたが、この痛みは睾丸摘出手術の後の痛みと同等でなんとか耐えられるレベル。
この時からウィダー再開となり、数日間はウィダー+水分で生活することに。
16時ごろ着替えをしてから退院となる。
退院といっても近くに2週間ホテルをとってあるので部屋がそちらになるだけ。
痛みに耐えながらホテルに移動し、体力も気力もないので部屋につくや否やすぐ寝た。と思われる(どうやって帰ったか記憶がない)
そして本当につらいのはここから。
張るタイプの強い痛み止めと飲む痛み止めを使っても絶え間なく襲ってくる痛みと、手術後の高熱。
空腹による飢えで常に目が回り辛かった。
術後早く良くなるためにまともな食事をするべきと思うのだが、傷口に便が付着すると感染症を引き起こすので食べ物が食べられず。
その中で尿カテーテルにたまったおしっこをトイレに捨てに行くのですら困難な作業だった。
このカテーテルは皮膚に糸で固定されており、テンションがかかると痛みを感じる。
患部はガーゼで覆われており、見ることは出来なかった。
基本的には一日中寝ているが、長い間痛みにさらされていつの間にか気を失い、強い痛みが襲ってくると目が覚めてそのループを繰り返すことに。
3日間はほぼ寝れなかった。
一日に一度、ガーゼ交換してもらいに通院する。
このような肩下げバックを持っていくと外見がいい感じになる。
ホースも折りたたんで中に入れるのがポイント。
ホテルと病院が徒歩5分圏内なので助かった。
痛みと高熱があるのでそれ以上は歩けない。
この 通院⇒帰る⇒ホテルで寝る サイクルが3日ぐらい続く。
手術から4日後11月11日。
体調はあまり変わりないが、この日からやわらかい食事が開始に。
傷口が順調に良くなってきているとのことでリハビリが始まり、少しずつ歩くように言われる。
近くにイオンがあるので行ってみること。
イオンのフードコートに到着。
はなまるのうどんを注文することに。
1週間ぶりの食事はたまらなかった。
胃が小さくなっているため、ちっちゃいうどんでおなか一杯になった。
この日から腸の働きを止める薬が中止になり、代わりに下痢止めの薬が始まる。
便をしても良いと言われたが、個人的にガーゼをあまり汚したくないので食べる量はかなり少なくした。
ついでに座る時用にクッションを買ってきた。
穴が開いていると傷口に圧がかからないのでこれがこの先必須になる。
この日からシャワーも可能に。
シャワー後、傷口の洗浄⇒軟膏を塗り⇒化膿止めのシートを張ってガーゼとテープで止める
のを自分で行う。
ここで初めて患部を見た。
見た目は女性器になっているが、傷口からは出血しておりかなり腫れあがっている。
※性別変更のためには「移行する性別の性器に近似する外観を備えていること」と言う条件あるが、腫れが引く3か月後から認められるためすぐ性別変更できるわけではないので注意。
感想は特にうれしいとかは無く、痛いという感情で支配される。
そこからも毎日通院して11月14日、いよいよ熱が下がる。
熱がないだけで睡眠の質がぐっと上がった。
とはいっても食事もあまりせず、いつものように過ごした。
11月15日、起きて感じたのはのどの調子。
あまり良くなく、免疫力低下のために風邪をひく。
食事も何もできなくなり寝ているだけ。
何度か嘔吐をした。
とても苦しかった。
久しぶりに便意を感じてトイレに籠っていたが、なかなか出なくて踏ん張るとゲロが出てくるという地獄絵図。
便は少しだけ出すことができた。
お尻を拭くときは傷口に付かないように前から後ろに一拭きだけ。
それを何度も繰り返さなければならないのが大変だった。
11月16日、気分は優れなかったが嘔吐することはなくなり100%中の30%ぐらい体調が回復した。
この日は通院して、帰宅してからのセルフケアをレクチャーしてもらった。
思えばこの日と次の日で通院は終わりになる。
その日その日を生きることが精一杯で何も考えられない、周囲に目を配る余裕がない自分に気づいた。
ホテルに戻り、なんとなく嫌な予感がして尿カテーテルを見ると血尿が大量に出ていた。
病院に電話すると動けばそうなることもあるのでそれは大丈夫ですと言われた。
最初は正直焦ったが、大丈夫ですと言われたら安心してすぐに眠ることができた。
次回⇒性別適合手術をしてきたので体験談語る(後編)
通院最終日~カテーテルを取るまで