業界紙「醸界タイムズ」に三益酒店が取り上げられました
記事の内容は下記の通りです(醸界タイムズ2011.1.7より抜粋)
東京都内ながら昭和の雰囲気を感じさせる、どこか懐かしい桐ヶ丘商店街。ここで長年酒屋を営んでいるのが三益酒店(北区桐ヶ丘1丁目9-1-7、東海林孝生社長)だ。
以前は商店街にも酒屋さんが数件あったそうだが、コンビニエンスストアに変わったり、廃業した店もあり、界隈で酒屋は三益酒店だけとなってしまった。
同店は店主の孝生さんを中心に家族4人で経営をしている和酒の専門店。
以前は酒だけではなく、何でも取り扱うスーパーマーケットのような店だったが、約20数年前に本格的な和酒専門店を目指し始める。
きっかけは新潟のある蔵元との出会い。
店主の孝生さんがたまたま旅行先で飲んだ酒に衝撃を受け、是非店に置きたいと掛け合った。しかし、蔵元の返事は思いもよらないものだった。
「初めて取り引きを持ちかけた時は断られました。当時は取り引きを断る蔵元があるなんて思いもしなかった」と、孝生さんは当時を振り返る。
取り引きを断られたことをきっかけに地酒の魅力にのめりこみ全国の蔵元をまわり、今では多数の有名銘柄を取り揃える店へと成長した。
店内には所狭しと商品が陳列され、各蔵元の前掛けも多数ディスプレイ。
その中でも一際目を引くのが“酒と食べものの相性を意識する時になりました”という横断幕だ。
「現在は香りが華やかな吟醸酒などの冷酒が主流となっているが、料理に合う、燗酒にしても美味しい酒を提案してきたい。燗酒は身体にも優しい」(孝生さん)と、古来から伝わる日本酒、日本文化の伝統を守り、それをお客さんにも伝えていく。
現在では店売りだけではなく、ネット通販にも力を入れており、店の売り上げに寄与している。娘の美保さん、由美さんを中心に通販サイトを運営し、遠方の人からの注文も増えているそうだ。
「ネット通販を嫌がる人もいるとは思いますが、良い部分も非常に多いと感じています」と美保さんは語る。
注文を受け、品物を発送するときに手紙を添えたり、おすすめの酒のリストを同封するなど、あくまでも人と人との関係を重視してネットでの通販を行っている。
「もちろん店頭での接客も大事ですし、大好きです!ただ、ネットだと顔が見えないと思われがちですが、私たちの写真をホームページに掲載すればお客さんにはどういう人が売っているのかわかって頂けます。そこで繋がっていく関係もあると思います」(美保さん・由美さん)と、
細やかな気遣いでお客さんに安心してもらえる取り引きを心がけている。
取り引きのある蔵元の酒は全て飲むことを心がけているという美保さんと由美さん。そうすることで接客の際、自分の感想を織り交ぜることでお客さんに勧めやすくなる。ほかにも、銘柄を説明するときに「忘年会で提供したらすぐに無くなってしまうくらい好評ですよ」などの臨場感溢れる説明もしている。
また、週末には赤羽駅近くのスペースを借りて、姉妹で「ホットBAR」というネーミングのお店も行っている。お客さんの反応が直接見れる場として、勉強になるという。毎週、新商品を楽しみに訪れる人も多い。
酒は日本の気候風土と直結するもの。日本文化と一体となって酒は造られている。「酒と農業は切っても切れない関係。自然を思う気持ちが大切で、飲み手と造り手が一緒になって環境を作っていかなくてはいけない。酒を通して人の幸せに寄与し、日本の文化、伝統を守り次世代に繋げていきたい。店の周りにも以前は数件の酒屋があったが、うちを除いてすべて無くなってしまった。
今、店があるのも「お酒のおかげだ」と孝生さんは話す。
今後も、酒の文化、伝統を消費者に伝え人と人との繋がりを大切にしながら、家族一丸となって商売を続けていく。
~醸界タイムス 1月7日(金)より~