みなさん、こんにちは。
 

世界の大きな問いを発信しているカトウです。

 

今回は、「現代社会の矛盾」について説明していきます。

今回の記事を読むと、「現代社会の便利さの裏にはどれほどの犠牲があるのか」と考えさせられると思います。

 

 

「豊かな」現代社会

多くの日本人にとって、現代社会は大きなメリットがたくさんあります。

教育を受けられて文字が読めるだけでなく、仕事や住む場所を自由に選べる権利があるし、政府批判をしても捕まりません(たとえ的外れな批判ですら)。

 

さらには、多くの医療費が3割負担で済みます。また、いろんな種類のレストランを楽しめるし、何億ものコストがかかって作られた名作映画を格安の料金でいくつも自宅で見られます。

 

しかし、実はそんな豊かさの裏には、信じられないほどの犠牲があるのです。

そして、さらにはそうした恩恵が多くの犠牲の上にあることに、ほとんどの人は気づいていないのです。

 

 

見えない犠牲

ここで1つ質問をします。
一見すると簡単な質問です。

 

「遠くに移動できる便利さのためには、
 何百万人の人命を犠牲にしても構わないか?」

 

これには、当然、「いいえ」と答えるでしょう。
そもそも「質問の意味が分からない」と思うはずでしょうし、「そんな不当な搾取は考えられない」と普通なら思うでしょう。

 

しかし、これを聞いたらどう思うでしょうか?

 

「現代では、多くの人が車を所有し、頻繁に車で移動するし、そうでない人も、食べ物、家具、建築材料など、あらゆるものの恩恵が得られるのは、そうした移動手段のおかげである。しかしその一方、世界では、交通事故により約120万人が毎年亡くなっている()」

 

つまり、誰もが人命を何よりも大切だと考えるのに対して、現代社会では「移動の便利さ」と「数多くの人の命」では前者を優先している現状があるのです。

 

 

 

現代社会の矛盾

さらに悲しいことに、こうした「現代社会の矛盾」は、他にもいくつもあるのです。

 

「たとえ人を苦しめる嘘や、健康被害や差別、殺人さえも招くフェイクニュースだとしても、言論の自由のためなら許されるべきか?」

 

この問いについても、「いいえ」だと当然答えるはずです。

 

しかし、現実には、多くのフェイクニュースがSNSで拡散されています。

しかも、その被害は甚大であり、誤情報による健康被害、ヘイトクライム(差別的な動機の犯罪)、さらには、少数民族の虐殺にまでつながってしまっているのです()。

 

質の悪い情報、差別的な発言、意見の違う人への罵詈雑言であふれるSNSは、本当に「表現の自由」「情報の民主化」といった綺麗でなんとなくかっこよさそうな言葉で形容できるのでしょうか?

 

それでは次はどうでしょうか?

 

「食べ物がなくて痩せ細り今日を生き抜くことも難しい何億人もの人々を救うことにコストをかける代わりに、子供から老人までの手足や命を奪う銃、戦車、ミサイルを開発することにコストをかけるべきか?」

 

これはトレードオフですらないので、答えるのはより簡単そうです。
むしろ、人を傷つけないうえに、飢餓で苦しむ人を救えるのなら、それを選ばない選択肢はあるのだろうかと思うでしょう。

 

しかし、この問いについてもこれまでと同じことが言えます。

 

2024年には世界で2.7兆ドルが軍事費に費やされました()。
日本のGDPが4兆ドルほどであることを考えると、膨大な金額であることがわかります()。

 

一方、現在、世界では、7億人近くが飢餓に瀕しています)。


最近の研究によれば、2030年までに飢餓を終わらせるには930億ドルが必要となる計算です()。

 

これは大きな金額ではありますが、さきほどの軍事費と比べると少ないようにすら見えます。

飢餓を終わらせるのに、すべての軍事費を費やす必要があるどころか、たった29分の1を費やせばいいわけです。

 

あるいは、2025年のロシアの軍事費が1450億ドルであることを考えると()、それだけでも飢餓を終わらせる費用には十分なのです。

世界には、貧困を終わらせられるほどの資源や手段がないのではありません。
終わらせるほどの関心がないのです。

 

そして、最後に…

 

「豊かな国の人たちが快適に暮らせるためには、貧しい国の人たちが劣悪な環境下かつ安い賃金で酷使される人生を送ることも問題はないのか?」

 

 

先ほどの例は、自分事としては考えにくいかもしれません(もっとも、私たちの税金も防衛費に使われていますが)。


しかし、こちらには厳しい現実を突きつけられます。

 

というのも、私たちの着ている衣服から、電子機器に必要な材料まで、私たちが比較的安価に手に入れられるものは、安い賃金かつ劣悪な環境下で働かされている多くの労働者の犠牲のうえに成り立っているからです。

 

では、それは許されるのでしょうか?
当然、許されることではないでしょう。


しかし、私たちは、そうした電子機器を買わないとか、高価なもののみを買うことがどれほど現実的でしょうか?


もっといえば、それらが売れ無くなれば、それはそれで、搾取されている人たちの境遇がより良くなる保証はないのです。

 

 

最後に

今回は、現代社会における矛盾を考えてきました。

一見すると、”普通の人”なら、これらの問いはすべては議論の余地がないほどありえないと答えるし、加担することなど考えられないと主張するはずです。

 

しかし、”普通の人”なら、車などの交通手段を頻繁に使うか少なくとも間接的に必要とするし、SNSでフェイクニュースを(たいていは嘘だと気づかずに)シェアするし、軍事費につながる税金は払う一方で極貧層への寄付はせず、遠くの国で酷使される人たちがいることも知らないまま安い服や食材を買っているのです。

 

これらの問題に向き合うことは簡単ではありません。
そして、最近では、「世界は史上最もすばらしい」「世界は良くなっている」という主張の本が大きく注目を集める傾向にあります。


それは一部では事実であるものの、事実誤認(とくに歴史的な観点)もあり、何より、それらが示すほど現代社会は綺麗なものではありません。

 

こうした現状にどう向き合えばいいのか。


恵まれた国ほど、そうした問いを真剣に考えなければならないように思うのです。

 

 

【筆者の詳細について】

―加藤将馬:著者、講演家、幸福学&ビッグヒストリー研究家
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 そして、最大のテーマは「そんな日本は、いかにして幸せな社会になることができるのか」というものです。ある著名な論文では、「アメリカや日本は短期間で何倍も経済成長したのにも関わらず、幸福度は上がらなかった」という衝撃的な研究結果が公開されました。国連による「世界幸福度報告」では、「北欧の国々は幸福度が一貫して高い」「中南米諸国は、経済力に対して幸福度が高い」といった考察がまとめられたことがあります。果たして、これらは本当なのでしょうか。そして、本当ならば、果たして日本は、いかにして幸せな国になることができるのでしょうか。

 

 

 

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