新型コロナウイルスのパンデミックから始まった2020年代は
ロックダウン、人がいない都市部、フェイクニュースの拡散に加え
何より命の危険など、大きな混乱から始まりました。
さらには、ロシアはウクライナに侵攻し、ガザ地区とイスラエルとの戦闘も重なっています。
政治面でも不安は増すばかりです。
過激で人々の分断を煽るような政党が、自由や平等を掲げてきたはずの国々ですら支持を集めています。
その中でも、最も注目されるのはアメリカです。
世界一の軍事大国であり、政治・経済的にも最も影響力を持つアメリカは、トランプ政権のもとで、大きく揺れ動いています。
アメリカ国内でも大規模なデモが行われるほど強く非難される一方で、根強い支持者を持つトランプ政権は、どのように世界とかかわっているのか?
今回は、あまりニュースを見ない人にも理解しやすいようにしつつ、大きな視野で国際情勢を振り返っていきます。
①世界大戦後の世界
20世紀前半は、2度の世界大戦が勃発した時期でした。
戦車や毒ガス、戦闘機や軍艦、そして核兵器が使われ、多くの国を巻き込んだ世界大戦では、膨大な人数の民間人が犠牲になりました。
その一方で、世界大戦後の現代、世界はまとまろうと努力してきたようにも見えます。
国連が改めて組織され、戦争の防止だけでなく、世界的な協力を目指してきました。
また、イギリスから日本まで、植民地支配が公然と行われてきたことへの反発から、世界各地で植民地が独立していきました。
途上国支援もされ、国際的な危機である気候変動への対策も推し進められるなど、世界はまとまろうとしてきたのです。
同時に、世界の国々で工業化がさらに進み、飛躍的に経済成長した国々も多くあります。
もちろん、実際には、世界はすばらしいばかりではありませんでした。
たとえば、貧富の差は驚くほど大きくなっています。
オックスファムによると、世界で最も貧しい人から中間の人々までのすべての富を合わせても、たった12人の最も豊かな億万長者の富よりも少ないとのことでした(Extreme inequality and poverty | Oxfam)
つまり、中間以下のおよそ40億人全員よりも、トップ12人のほうが経済的に豊かなのです。
他にも、平和を目指したとはいえ、戦争はあちこちで起き続けてきたことも考えると、平穏な世界には程遠いと言えます。
とはいえ、少なくとも、自由や人権を重んじることが良しとされ、他国を力で占領することが当然のことだと考えられなくなったとは言えそうでした。
②力での支配
しかし、力づくで他国を支配しようとすることはなくなったわけではありません。
むしろ、朝鮮戦争やイラクによるクウェート侵攻など、領土関係の戦争はいくつもありました。
ソ連のアフガニスタン侵攻、イスラエルが領土を拡大した中東戦争、アメリカがアフガニスタンやイラクへ軍事介入したことなどは、昨今の情勢とのつながりが見えます。
そして、ロシアがウクライナへ大規模に軍事侵攻して世界に衝撃を与えてから4年が経ちました。
太平洋戦争を超える期間であることを考えると、その長さがイメージできます。
これは大国が力ずくで他国を支配しようとする事例であり、大きなタブーを平然と破ったように見えます。
世界中から非難があがり、ロシアへの経済制裁からウクライナへの軍事支援までが行われ、フィンランドとスウェーデンはNATOへ加盟しました。
ところが、ロシアの侵攻を非難していた国の1つであるはずのアメリカは、非常に不穏な状況です。
1月にはベネズエラのマドゥロ大統領を拘束し、力ずくで政権を倒しました。
そして、その直後ともいえる2月末には、イスラエルと共にイランへの大規模な軍事攻撃を行い、反アメリカ・イスラエルの立場であった最高指導者・ハメネイ師が殺害されました。
ベネズエラのように政権を倒すことが簡単だと思ったかもしれませんが、実際には行き詰まりを見せています。
アメリカは「各施設の解体やホルムズ海峡の開放」などを要求するも、拒否されている一方で、イランは「攻撃の禁止、戦争の再開を防ぐ仕組み、ホルムズ海峡でのイランの主権の保証」などを要求しています。
どちらもなかなか受け入れられなさそうな要求に見えます。
さらには、アメリカは地上部隊を派遣し、上陸作戦が行われる可能性もあり、停戦が見えない状況です。
③世界と分離するアメリカ
そもそも、トランプ政権は国際的な協力に反発してきました。
現代は、世界で取り組まなければ解決できない大きな課題が山積みな中、最も影響力があるアメリカが非協力的であることは極めて危険です。
特に大きな課題として挙げられるのは気候変動でしょう。
これは、温度の変化そのものからの被害に加えて、難民の増加や食料・生態系への影響まで、極めて深刻な問題であるだけでなく、どれほど強力であっても1か国では解決できない問題です。
ところが、トランプは、温暖化を「最大の詐欺」「でっち上げ」と主張し続けてきました。
実はトランプは、2009年、オバマ大統領の温暖化政策への支持を表明していました(Trump signed pro-climate action letter in 2009 - republicEn)。
すると、考えが変わったのか、単に選挙などのためのパフォーマンスなのか、目先の経済を優先することを目的として言葉を選んでいるのか、よくわかりません。
いずれにせよ、1月には、気候変動への国際的なルールであるパリ協定から再び離脱してしまいました。
世界で最大の大国であるアメリカが、世界的な協力に欠け、さらには軍事力を用いて自らの望みを押し通そうとすることは、強く懸念されます。
これは、軍事力での領土拡大を図るロシア、そして台湾を武力を用いてでも自国に組み込もうとする中国が問題視されている現在において、最悪のメッセージでもあるのです。
【筆者の詳細について】
―加藤将馬:著者、講演家、幸福学&ビッグヒストリー研究家
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