十連休のゴールデンウィークがあけ、また通常モードに戻すのには、なかなかエネルギーが求められますね。
今週、六日立夏の翌日は、七十二候の「蛙始鳴」でした。そして明日十一日はそれに引き続き「蚯蚓出」、更に二十二日は「蚕起食桑」と、生物が蠢く時期になったのだなと、暦から実感するものがあります。
さて、ゴールデンウィーク中のことなど、少し更新しておきたいと思います。
ゴールデンウィークは、毎年、ご希望される受講生の方々と根津美術館へ出かけ、この期間恒例の『燕子花図屏風』展をご案内しています。
展示が毎年恒例とはいえども、企画は毎年異なり、どの年もとても充実したコンセプトで開催してくださいます。
毎年楽しみにしてくださる受講者様もいらっしゃって、ご一緒して、良いひと時を共有できることが、これまた恒例となっていて、そのような時間をお互い過ごせることに大変ありがたい思いでおります。
習慣にしてくださることが、嬉しい。
豊かな時間、豊かな過ごし方を、暮らしの中に取り入れてもらいたいです。
美術館へご一緒いただく皆さまには、ゴールデンウィーク直前に開催した会食倶楽部にて、『燕子花図屏風』に因んだ学びを深めていただきました。
今回のテーマは「本歌取り」。
少し難しさを感じる響きはあるけれども、そこを楽しく、興味深く、そしてユーモアも交えながらお伝えするのが、私の役目。そこが講師の腕の見せどころ。
因みに、美術館へご一緒した生徒さんのお一人が、館内で借りられるイヤホンガイドより、私の解説の方が楽しかったと伺い、とても恐縮するものがありますが、「誰から」、「どのような解説を受けるか」によって、楽しさも興味深さも一層変わるものはあるでしょう。
ご案内してくださる方がいらっしゃる場合は、ぜひぜひ積極的についてまわられるといいと思います。
そして個人的には、館内で借りられるイヤホンガイドは、
昨今特に! 昔に比べて! ヒジョ~に良く、大変お勉強になるだけでなく、聴き心地もよく、エンターテイメント性に溢れているなと感心しています。お薦めです
食礼 咲
が運営する会食倶楽部
は、テーブルマナークラス(フレンチ・日本料理)を受講くださった方を対象に、定期的に開催しています。
会食を通して、季節のお料理や盛り付けに親しんでいただきながら、教養を深めることを目的としたクラスとなっています。
こちらの紙の折敷は、私がクラスのテーマを考えて、用意いたしました。かきつばたの切り出しはなかなか労力が求められ、8時間ほど集中して取り組みました。
【先付】
蛤と筍の白和え
時期として、ちょうど晩春、初夏を感じられる時期。選ばれた食材と、器遣い、そしてこのあとに続くほかのお料理が、どのように変化していくのかを、「春」と「夏」を意識しながら眺めると、調理人のプロのアウトプットの素晴らしさに更に感動するものがあります。
新じゅん菜
ひすい真蒸
稚鮎と杭牛蒡
天豆の養老豆腐
飯蛸とうるいの酒盗かけ
前菜には、お酒が欲しくなります・・・・・・。こちらのクラスは、ご希望の方にお酒を召し上がっていただいています。
前菜は特に日本酒に合う嗜好品が盛られていますからね~、一緒にいただいて一層美味しく。
稚鮎が出てくる時期になりました。7月は再受講の方を対象としたテーブルマナークラスを開催いたします。毎年恒例の鮎の塩焼き。その時、もう少し鮎についてお話ししたいと思います。
前菜のこの一品に、春の桜のモチーフが入り、そして夏らしい要素の器が使われています。ただ「美味しい!」だけでなく、春ならば●●、夏ならば●●といったことまで把握していると、日本料理をいただくとき、更に豊に愛でることができます。
日本酒用に、ご用意いただいた切子のグラスが美しい。紙の折敷のかきつばたと色味も合いますね・・・・・・。
こちらは「吸物」です。ご用意いただいたお椀がこれまたいい。
前のお料理に桜がところどころに用いられ、稚鮎には桜の花びらも舞っていました。現実の世界で桜が散った後に続く光景が、このお椀からも感じ取ることができます。いかがでしょう?
時期によって用いられる食器が見事に移り変わります。
ほんの一時、一瞬しか使えないものの多さ!
そのタイミングを逃さず味わいに出かけたいと私は思うのですが、やはりいただく側も、様々なことに関して、敏感に感じ取れてこそです。
だからこそ、豊にインプットしていただきたいなという思いで、いらしてくださっている受講生の皆様に様々なことをお伝えしています。
学びにいらしてくださっている方々は、相当季節の感じ取り方が、鍛えられていると思いますよ! これからも季節を楽しみながら感受性豊かに、感性を磨くことに、励んでくださいね。
こちらのお料理を含め、これ以降のお料理のご案内は、また「その二」にて、いたしますね。