昨日十一月三日は「文化の日」でしたね。例年ですと、文化の日にクラスを設けることが多いのですが、今年は次のクラスの準備と勉強にあてさせていただきました。どっぷり日本文化に親しんだ一日となりました。


こちらの画像は、九月の末に開催しました会食倶楽部 の際に用意した「青海波青海波の刺子と、謡曲本。


「お月見」をテーマに開催したので、それに因んだ謡曲と、物語に出てくるモチーフとなるものを揃えて、しつらえました。こちらの二枚は、私が直前に急いで縫ったものになりますちくちく2


 

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会食倶楽部  は、食礼 咲が運営するテーブルマナークラス フレンチ、日本料理)を 受講くださった方がご参加になれる会員制のクラスです。
   

季節のことや、文化的なこと、社会人として身に着けておきたい教養を中心に、学んでいただいております。

   

受講者様は、お食事をしながら、講義に耳を傾け、感受性を豊に、感性を磨きにいらっしゃっています。


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前回の更新 は、当日床の間やテーブルにしつらえた様子を中心にご案内したのですが、今回はご用意いただいたお料理をご紹介したいと思います。


毎度、お世話になっている大志満高輪店 の調理長が、テーマにあわせてお献立を考えてくださいます。昨日ちょうど、今月の会食倶楽部の御献立が届き、今からワクワクしております。

【お献立】
先付 秋刀魚と六条麩の白和えさんま

前菜 鶏の松風、菊菜のひたし、鮎煎餅と銀杏、雲丹の養老豆腐、烏賊の此の腸かけ

吸物 萩ふかし えのき

造り 盛り合わせ

煮物 治部椀

焼物 かますの朴葉焼き

お食事 炊き込みご飯、味噌椀、香の物

お食後 加賀梨梨



先付 秋刀魚と六条麩の白和えさんま


暦の上ではしっかり秋の九月だけれども、まだ黄葉銀杏にも、紅葉もみじにも早く、表の木々に色づく気配が感じられない時期らしい器選びでした。


ひらりと一枚、菊の花びら菊、「もってのほか」が旬のお魚、秋刀魚にのせられ、栗が添えられているところに、秋の気配、実りが感じられますね。


白和えの生地が大変なめらかに、丁寧に裏ごしされていて、口当たりが良かったです。兎は、私が折りましたrabbit*





前菜 鶏の松風、菊菜のひたし、鮎煎餅と銀杏、雲丹の養老豆腐、烏賊の此の腸かけ


この日、自分でススキを用意して行こうか、どうしようかと考え、「きっとお料理に添えてくださるだろう!」と期待して出かけ、期待通りに前菜に添えられてきましたすすき


こちらのススキが添えられた食器も大変贅沢なもので、主にこの時期にしか登場しません。これが日本料理をいただく際のありがたさでもあり、醍醐味といってもいいでしょう。


また下に使われている平皿も「武蔵野」感が滲み出ていて、一層秋らしさを感じます。青楓青紅葉の器はやはりまだ表の木の様子は青いことから。でも、柚子の器ゆずも登場し、秋の「吹き寄せ」もある一皿。現実の様子が一皿に盛られていて、みごとです!


こちらの一皿、まだまだ「すごい!」を語りたいものがあるのですが、長くなるので、ここまでに。でも、繰り返し受講にいらしてくださっている受講者様方が、自ら積極的にその凄さを感じ取れるようになってきているので、非常に頼もしく感じております。



吸物 萩ふかし えのき


こちらの写真、ついついお手製の「萩のお箸」と当日用意いたしました萩のランチョンマットに焦点を置いてしまったのですが、大変ありがたいことに、「日月椀で」とお願いしたお椀を、わざわざ調理長が調達してくださいました。


もう少し口広タイプのものをお持ちでいらっしゃることを認識していた上で、お願いしたのですが、やはりこのタイプは理想的、典型といっていいでしょう。「お月見」だからこそ、皆さんにきちんと認識していただきたかったお椀です。




これまた蓋をあけてビックリ! 


お月様と兎が!


そしてえのきエノキ茸は、ススキの見立てです。


日本文化のこの「見立て」という感覚は、本当に素晴らしいものがありますね。調理長の感受性、センス、アウトプット力に、毎度毎度感動しております。



何よりも、クラスのために器をわざわざご用意くださることに、深く感謝しております。クラスが始まる前に「どうどう? 取り寄せたから!」と笑顔で見せにいらしてくださるご様子に、非常にクラスで行っていることに(クラスの指導目的に)共感してくださっていることを感じます。ありがたいことです。


丸い大根を薄く切って、お月様に見立てた様子、秋の季節ならば「月」として。これが小寒、大寒の頃、同じように提供された場合は、どのように表現するのか(見立てたのか)。そのようなことまでクラスではお伝えします。寒い時期に、また同じような盛り付けをご覧になった時、「あっ!」と感じ取ってくださったら嬉しいです。



そのように感受性豊かに感性を磨いて、少し知識を養ってくださると、日本料理をいただく際に、一層豊かな気持ちで味わえると思います。



長くなりましたので、お吸物以降のお料理は、また次の更新でご案内したいと思います。ご期待くださいませ。