5月13日、母の日カーネーション。今日は姉と一緒に両親を訪ねます。普段は母が夕食を用意してくれますが、ここ数年、母の日と父の日は、私と姉で二人の意向を聞き、食事の用意をするようにしています。


高齢で、体、特に脚力と腰が弱くなって、その日によって食欲も異なる父にとって、表での家族会食は少し億劫にもなっていますので、普段と変わらず、穏やかに自宅で過ごすことが、現在我が家の家族、誰にとってもピースフル。



さて、画像は猫の如来様。ふふふふふ。



とっても面白い企画が本日まで目黒雅叙園で開催されています。東京都指定有形文化財「百段階段」にて開催されている『猫都(にゃんと)の国宝展』、私も先日出かけてまいりました。



猫好きにはたまらない企画。

ジャンル、時代を超えた、猫の都の国宝アート222点(にゃんにゃんにゃん)


月に二、多いと三つほど美術館へ出かけますが、このようなユーモアに溢れた企画も大好きです。しかも、百段階段、目黒雅叙園の前身、目黒雅叙園3号館(東京都指定有形文化財)も鑑賞しながらですから、なかなか贅沢です。


今回は、撮影しても良い作品も多く、ついつい夢中になってしまいました。


因みに、この踊っている猫たち、奥にいる国芳風の猫が売店で販売されており、先に出かけた姉から「母の日のプレゼントになるかしら・・・・・」と連絡が入りました汗


「なりません!怒り


一応事前に確認してくれるのでいいのですが、姉はストップをかけないと、時々猫のことでは暴走してしまうので、困ったものです。


「二人とも(両親)終活に入っているから(身辺整理)、もう手元に残るものは渡さないって決めたよね」「だからお食事を用意することにしたよね」と毎度毎度伝えないと、スコーンと抜けて、ついつい猫に関連する(姉にとって)洒落たものを買ってしまいそうになります。


多分姉は、自分自身が欲しいのだと思います。でも、かつて私は母にリヤドロ の置物を幾つも渡してきているので、その中に、このダンシングキャットは、私もテイストは大好きだけれども、ちょっと困る・・・・・。



百段階段。実際には九十九段。階段には番号がふってあります。


九十九段の理由は縁起担ぎ!

●奇数は陽数で、縁起が良いという説

九は奇数の中でも一番大きい数字。その数字を重ねることに、一層縁起の良さがあるということ。

●「未完の美学。完璧な数字より、発展性のある数字に」という説






アーティストも非常にバラエティに富んでいて、どの作品も個性に溢れ、ユーモアのセンスも抜群。


中でも私にとって秀逸だったのは、猫絵師・目羅健嗣先生の作品。


光琳の『燕花子図屏風』や『紅白梅図屏風』、鈴木其一の『朝顔図屏風』には上手く猫を描きいれ、伊藤若冲の『群鶏図』にも猫を差し込んでしまうという、センス。


元にしている画さえも完璧に描くことができる才能の高さがあるからこそ、一層感心するものがあり、もう恐れ入っちゃいますね!



こちらが先日出かけた根津美術館所蔵の国宝、『燕花子図屏風』。


目羅先生が描くと、尾形光琳ではなく、作者は尾形猫琳の『燕子花三毛猫図』となる。


一つひとつが面白い。







ホテル目黒雅叙園の前身、目黒雅叙園3号館は、木造建造物、七つの部屋があり、九十九段の階段がそれぞれの部屋を繋いでいます。


それぞれの部屋にコンセプトがあり、大変見ごたえがありますが、これだけの部屋で、かつては華やかな宴会が行われていたというのもすごいものですね。どのような方々がご利用になっていたものなのか、気になる、気になる。


華やかすぎて、お部屋によってはちょっと食傷気味にもなるのですが・・・・・・汗 長時間の滞在、私にはちょっとエネルギーが強いです。



こちらのお部屋は、五節供の様子が描かれていました。奥の屏風は、目羅先生(尾形猫琳)による『紅白梅黒猫図』。お部屋に負けていませんね!


 

こちらが、本家本元、MOA美術館所蔵、尾形光琳『紅白梅図屏風』。この流水の部分を猫で描いちゃうとは、一般人にはない発想。


このような美術展って、元の画を理解しているか否かで、感じる面白みはまた全く異なるものです。人生を豊に生きるために、多くの方と共感できるように、本物を観る、その習慣を持つって大切なことだと私は思います。最終的には、その人の素養に関わること。


これはですね、「生で観る」という表現とはまた異なって、「本物を観る」という習慣。これに慣れ親しんでいるか否かで、色々なことの見極めもかわり、豊かさも膨らみます。



七つのお部屋の内一部屋は、鏑木清方が手掛けたお部屋、「清方の間」と呼ばれています。


いいですねー。清方大好き。沢山の美人画に囲まれて、大満足です。『娘道成寺』好きな演目。


これは大変贅沢です。


思わず、係の方に「修繕や修復作業は定期的にされているのですか?」と伺ってしまいました。七つのお部屋、それぞれ大変手が込んでいますが、当然劣化もしていきます。



「なにぶん都の文化財となりましたもので・・・・・」とのこと。それは、予算管理が都になるわけですから、雅叙園側ではタッチできない部分になったということですね。文化財の維持って、とってもとっても大切なことですから、頑張っていただきたい。

障子や窓の組子の造りも大変凝っています。もうこのような手の込んだもの、お手間も費用もかかってできないものですね・・・・・・。


好きだった都内のある料亭、それはそれは手の込んだ造りで素晴らしかったけれども、そちらも閉められたしなー。


飲食店も大変多様になって、増え、見せ方(魅せ方)上手さんも多いだけに、難しさは色々あるだろうとは思います。


経済力がおありになる方々には、このような伝統技術力が発揮された良さのあるところ(価値の高いところ)をバンバンご利用になっていただきたい。それが継続的な運営に繋がりますからね。


扇がモチーフ、素敵!扇子


今回展示はされていなかったけれども、ツボにはまってしまって買い求めたポストカード。


ドガの『踊り子』と、高橋由一の『鮭』がこれまた目羅先生が描くと、高橋猫一『鮭、食べ放題』鮭となる! 


もう大爆笑!


このユーモアのセンスを理解してくれそうな人にお送りしたいと思います。


気の張らない、いい美術展でした。