第10回 まばらな仕上がりにがっかり(少なすぎる株数) | 他院での自毛植毛の失敗、経過など写真付きで解説

他院での自毛植毛の失敗、経過など写真付きで解説

自毛植毛の失敗で悩んでいる方 植毛のやり直しは任せてください
植毛はオーダーメイドでありその人に合った治療が必要です。
何より大事なことは、正しい知識と技術を持って治療することです。

ケース1はダイレクト法の術後ですが、大きな株を生え際の前列に植えつけたための違和感の他に、植えつけ密度の低さ、既存のヘアと移植毛のすき間 (植えていない空き地)がとても気になります。
要するにヘアラインの前しか植えつけていないわけです。

自毛植毛 まばらな仕上がり ケース1



ケース2はEクリニックのケースですが、不適切な生え際のデザインの他に、ケース1と同じ“失敗”が認められます。
ケース1、2とも植えつけられた株数をはっきりと説明されなかったようですが、明らかに植えつけ面積に必要な株数より実際の株が少なすぎます。株の定着率の問題というよりも植えつける株数の少なさが生んだ“まばらさ”といっていいでしょう。

自毛植毛 まばらな仕上がり ケース2



ケース3はCクリニックの術後ですが、生え際に帯状に500株を植えつけたとのことです。
ケース3はAGAの進行分類でクラスⅥですし、メガセッション(2500株以上)の適応になります。正面から見た生え際の改善だけを行ういわゆるfrontal forelock 形成でも最低1500株は必要なケースだと思います。

自毛植毛 まばらな仕上がり ケース3




ケース4は1000株を植えつけたとのことですが、植えつけを広げすぎています。男性の手のひらサイズ(100㎠)以上のこのような薄毛の面積に、1000株では10株/㎠以下、2000株でも20株/㎠以下の密度でしか植え付けられません。

自毛植毛 まばらな仕上がり ケース4



なぜこうなったのか?

1、 クリニックによって一度で植えつけられる最大株数は違います。メガセッションができないクリニックはどうしても少ない株数で広い範囲に植えつけようとしますし、施術を受ける方も薄毛全体への植えつけを希望しがちです。

2、 植えつけ密度(株数/㎠)×植えるべき広さ(㎠)=必要な株数ですが、基本知識の不十分な医師は何株必要かの理解が不十分なようです。全ての方が“前より少しましな状態”で満足するわけではありません。

3、 少ない株数の植毛はスタッフも少なくてすみ、施術時間も短くなります。小さなサイズの施術件数を多くこなした方が儲かるという理屈かもしれませんが生え際に少ない株数を植えつけて頭頂部にはHARG、メソテラピーなど植毛以外の方法( それらに有効性のエビデンスはありません )を勧めて治療費アップを目論むクリニックもあります。

4、 植毛の費用設定が受ける方の支払能力を超える場合には、支払限度額の株数で施術を行うクリニックがあります。この場合当然のことですが一回の施術で満足が得られず結局高くついてしまいます。




予防策は?

基本的にはクリニックと医師選びということになりますが、施術を受ける際に知っておくべきことは、

・FUTであろうとFUEであろうと、同じ状態には方法のいかんにかかわらず同じ株数が必要です。FUEだから株数が少なくてもすむということはありません。

・30株/㎠以下の植え付けの場合多くの方はその濃さにがっかりするといわれています。ご自身の植え付け部分の広さと必要な株数についてよく理解することが大切です。

・“予定よりも多くの株が採れたから生え際以外つむじにも植え付けておきました。”などと恩きせがましい言い方をされた事例を耳にしますが、そんなケースに限って生え際もたいした結果ではありません。植えつける範囲はあまり欲張らないことです。

・クリニックの見積もりが用意できる金額以上の場合には、できたら予約せずにその額が準備できるまで待つことです。少ない株数で妥協しても満足は得られにくいものです。結果的に高いものになります。
もちろん提示された見積もり自体が適切なのか確認もしっかりしてください。




改善策は?

結局追加の植毛による密度アップしかありません。
ほとんどの方が満足する濃さは40株/㎠以上の発毛といわれていますが、一度の施術でそれを約束できるクリニックは世界中に多くありません。 最近は一度の施術での“満足”も多くなりましたが、受ける方の結果に対する満足度は各人違います。一般的には植毛では2回目はあり得ると考えたほうがいいと思います。ただ1回目の結果の二倍の濃さになると満足できるか?が一応の目安でしょう。実際には何回施術を受けても結果がまばらなクリニックが多すぎます。