育児とはまったく関係ないけれど…


この時期になると思い出す、
東京でド営業をしていた頃の話。


今日は


詐欺師に
松田聖子の
ディナーショーに
連れて行かれた話


をしよう真顔キラキラ


↓このニュースをみてまた思い出したので…。
いちおう大手の冠をかぶってはいるものの
現実は本当に底辺の
ブラックベンチャー企業真顔キラキラ

自分でお客さんをとってナンボ、
売り上げは給料にそのまま反映!!という
今思えばよくあの環境で働いてたな…
と思えるような会社だった。


まあ、毎日、出勤後にすぐに会社を飛び出して
漫画喫茶6時間コースに逃げ込むのが
日課の新卒でしたけど…


新卒入社して
1ヶ月ほど研修をした後、
世間のこともろくに知らないまま
世に放たれ、ひたすら電話営業、
ひたすら訪問する日々。
※販売していたものは
今でもそこそこ知名度のある広告でした


電話営業するリストも
自分でテキトーに引っ張り出してきた
過去の見本などなどだった。


それで電話営業をしまくる中、
「ちょうど広告を使いたいと思っていた」
という新規見込み客のうちのひとりに
詐欺師:
佐々木のオヤジ(仮名)
年齢:35〜45の間くらい
がいた。


最初に上司を連れて一緒に商談をして、
ある程度の話がまとまったら
それ以降はわたし一人で打ち合わせに行くことになった。


佐々木のオヤジは
最初はものすごく気前よく
広告を出しまくってくれた。


携帯電話を何台も持っていたり、
名前を何個も使っていそうだったりして、
(毎回違う名前で電話に出ていた)
途中から、
ん?
…と思うこともあったけれど
とにかくたくさん広告を出してくれるので
会社として無下には出来ないというか…


当時、無知な私は
お客さんに対して
どこまで対応すれば良いのか
距離感がわからず
夕食に誘われれば上司と一緒に行ったりして
(「女の子連れてきて」とか言われてたなー。
 今思えば、
 ただ女の子と飲みたいだけだったんだろうなー。)
できるだけ
機嫌を損ねないようにしなければ…
とか気を遣って
言われるがまま対応していた。


その中のひとつに
「松田聖子の
ディナーショーに
一緒に行って欲しい」
というモノがあった。


聞けば、
私と同じ業種の営業さんと行くことになり
券をもらったが
二人だと気まずいので一緒に行ってほしい


…とのこと。


上司にも報告し、
「二人きりじゃないなら、大丈夫か。
お世話になっているし、
まあいいか…」と許可が出たので
行ってくることに。


場所は
新高輪プリンスホテル
飛天の間!
(ドラフト会議が行われるところ)


見るからにド派手な衣装をきた
お客さんで溢れる中、
営業スーツの場違いな私、
佐々木のオヤジ、
同業種らしい謎の女の人がひとり。


私達3人は
大きな円卓の一部に座り
聖子が登場するのを待った。


今思えばどうしても不思議なんだけど、
私は直前に佐々木から
その女性のことを


「実は彼女は元嫁で、
どうしても
ディナーショーに
行きたいと頼み込まれて
チケットを手配したんだ。
だから、面倒くさいから
彼女とは絶対に
喋らないで欲しいし、
素性も絶対に
聞かないで欲しい。」
と言われていた。


私は
なにか揉め事になるのも嫌なので
それを了承した。


なので賑やかな円卓に座っても
私は佐々木のオヤジの
つまらない、あたりさわりのない話に
相槌を打ってウケている振りをするだけ。
その女性は黙ってお酒を嗜んでいる。
…という謎の状態。


これはもう、
酒飲んで
モトを取るしかねえ。


ひとりそんな心境になり
ホテルのボーイさんに
「一番くっさい
イモ焼酎ください真顔キラキラ!!
とか言って
タダ酒を飲み続けていた…


そんな中!!


会場が突如、一気に煌びやかになり
聖子、登場!!キラキラ


それまで気づかなかったけど
明るくなったステージの前の方には
すんごいキレイなオカマさんや
芸能人、
お相撲さんまでが座っていた。


当時20代前半の私が
会場内で最年少だったんじゃないか?くらい
年齢層が高かった…。
もう、積年のファンみたいな人ばっかり。


そして
出てきたしょっぱなから
号泣している聖子。
(涙が流れているかは見えなかった)


「ありがとうゥゥッ!!」って
声をつまらせ号泣する
(※涙が流れているかは見えなかった)
キラッキラの美しい聖子!!


滝汗←私


え…
なにコレ
すごすぎる
松田聖子スゴイ
松田聖子すごすぎるすごすぎるすごすぎるよー!!



号泣しながら歌う聖子。
(※涙が流れてい 以下略)
「セ・イ・コ!!
「セ・イ・コ!!」と鳴り響く
図太い男の声。


当然、もう
「くっさいイモ焼酎持ってきてください」
なんて二度と言えるハズもなく…


美しい聖子の歌声に
聞き入った1時間半でした。


今思い出しても
あれは夢だったんじゃないか?
思えるくらい、
豪華絢爛な空間でした。



あとから調べると
あの日私がいたディナーショーは
↓この記事にある
松田聖子の恩人の社長がきた回だったようで
だからあんなにしょっぱなから
号泣していたのね…と思ったっけ。


松田聖子のディナーショーって
チケット争奪戦なんて聞いていたから
そんなすごい空間に
涙を流すほどのファンでもなんでもない私がアホな顔して居させてもらって申し訳ないな…なんて思いました。





で。


ディナーショーが終わって
ホテルのトイレに行った私。


偶然にも手洗い場で
佐々木のオヤジの元嫁と
隣り合わせになったのです。
 
向こうも気づいていた様子。

話しかけようか、
どうしようか…
迷っているうちに
元嫁さんはさっさと帰ってしまいました。


佐々木のオヤジからも丁重にお礼を言われ、
(いや、お礼を言うのは
タダでこんな場に連れてきてもらった私のほう)
帰路に着きました。


それからしばらくして、
年越しを迎え、
新年が始まり、
新年のざわつきも落ち着いた頃。


会社に1本の電話が入りました。
グループの事務の人からでした。


内容は
「◯◯会社(佐々木の会社)から
2回目以降の
広告料金の支払いが
一切おこなわれていない」
というものでした。


!?
驚いて上司とともに佐々木の会社を訪れると
そこはもぬけの空。


佐々木のオヤジは
グループ数社に同様の広告依頼を出していて
同じようにほとんどを支払いせず
ばっくれていました滝汗ガーン


私はというと
決裁時には必ず
複数の上司を同行させていたこと、
会社の信用情報から
本社自体が
広告掲載の許可を出していたことなどから
私個人へのお咎めは全くありませんでした。


手口があまりに秀逸だったため、
グループが内容を検証することになり
本社内密部の預かり事案となりました。


そしてある日、
「該当者っぽい人が見つかったのでその人が例の佐々木かどうか一緒に確認に来て欲しい」
と言われ
複数の同じような営業マンと弁護士ともに
佐々木の自宅と思われる場所に行ったところ


そこにいたのは

まっったく知らない
「佐々木さん」という名前の
普通のオジサンでした…


その人曰く、
「たしかにどこかで知り合った得体の知れない人に、一時期なにかの申し込み書類を書かされたことがある」とのことで。
(それもどうなの…ガーン

「いきなり高額な広告の請求書が届いたのでほったらかしにしていた」とのことで…
(それってどうなのガーンガーンガーン



結局私が呼ばれたのはその時だけで、
それ以降の話は知りません。
そのおじさんへの請求を解除して、
グループで損失を飲み込んだりしたのかな…
知らんけど…


佐々木のオヤジの目的はなんだったのか、
本名はなんだったのか、
なんで
松田聖子のディナーショーだったのか、
あの元嫁って結局なんだったのか滝汗


未だに謎のままです滝汗


あの時トイレで
あの元嫁に話しかけていたら
どうなっていたんだろう…


なんて


たまに思い出します。


東京って
渋谷って
キラキラしているけど
怖いモノと紙一重だな


若かったな、
今ならもうあんなの無理だな、
今自分がまともにこの場にいられて
よかったな…


松田聖子のディナーショーの話題になる12月になると思い出します。
きっともう二度と行くことはないあの空間…


20代の頃の、不思議な思い出話です。