「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」(2023) ·
物語の舞台は、1970年代のマサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校。生真面目で皮肉屋で学生や同僚からも嫌われている教師ポールは、クリスマス休暇に家に帰れない学生たちの監督役を務めることに。そんなポールと、母親が再婚したために休暇の間も寄宿舎に居残ることになった学生アンガス、寄宿舎の食堂の料理長として学生たちの面倒を見る一方で、自分の息子をベトナム戦争で亡くしたメアリーという、それぞれ立場も異なり、一見すると共通点のない3人が、2週間のクリスマス休暇を疑似家族のように過ごすことになる。
ポール・ジアマッティが教師ポール役を務め、メアリー役を「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」「ラスティン ワシントンの『あの日』を作った男」のダバイン・ジョイ・ランドルフ、アンガス役を新人のドミニク・セッサが担当。脚本はテレビシリーズ「23号室の小悪魔」「ママと恋に落ちるまで」などに携わってきたデビッド・ヘミングソン。第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、ダバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞した。(映画.com)
レビュー
Netflixで、8月24日に鑑賞しました。みてから三週間たっていますが、良い映画だったなぁという気持ちが続いています。
娯楽映画も好きですが、こういった良質の小説を読むような作品も大好きです。
ポール・ジアマッティが素晴らしいのは予想していましたが、ロケ地となった高校の演劇部からオーディションで選ばれた、ドミニク・セッサ君もとても良かったです。
まさに等身大のリアリティを感じさせる演技で、物語に信憑性がありました。
1970年のボストン近郊にあるキリスト教の全寮制男子校の雰囲気も、非常にていねいに描かれていて、その時代や場所にいるかのような感覚を味わえました。
対立していた二人が、互いの心の傷に触れあい、やっと心を通わせた瞬間に起こるつらい出来事。そしてその後の別れ。悲しいけれど、ここからはじまる未来を信じたくなるような、良いエンディングでした。
アカデミー賞は助演女優が受賞しましたが、ジアマッティの演技は圧巻でした。
この年、オッペンハイマーのキリアン・マーフィーが主演男優賞を受賞したのは誰もが納得の結果でしたが、こういった良質の小品がもっと評価される場があるといいなと思いました。
クリスマスにみたい映画です。
星四つ半。
追記:
タイトルやロゴ、質感など、まるで本当に70年代に作られた映画みたいな映像だったのが面白かったです。
はじめの歌の練習のシーンから心が掴まれました。