オンライン日本映画祭、3番目にみたのは「二十四の瞳」です。

 

「二十四の瞳」(1954)

 

 

第二次世界大戦の終結から7年後、1952年(昭和27年)、この戦争が女性教師と生徒たちにもたらした数多くの苦難と悲劇を描いた原作「二十四の瞳」が発表された。

 

映画は、この原作同様、1928年(昭和3年)から1946年(昭和21年)までの18年間を描いている。撮影は、原作発表の翌年1953年(昭和28年)春から1954年(昭和29年)春にかけて行われ、その年の9月に公開された。

よって、原作者、監督(兼脚本)、カメラマン、美術、そして主演女優をはじめ、子役を除き、スタッフ・キャスト全員が、第二次世界大戦の戦時下を生きた人々である。

 

言論の自由のない軍国主義を突き進んだ日本、そして、敗戦によりそこから解放された日本、2つの時代の日本を生き、その空気感の違いを身をもって知るスタッフ・キャストたちにより制作された映画である。(Wikipediaより引用)

 

 

 

監督:木下惠介
原作:壺井栄
大石久子先生/高峰秀子
久子の夫/天本英世
大吉(久子の子)/八代敏之
八津(久子の子)/木下尚寅
久子の母/夏川静江
分教場の男先生/笠智衆
校長先生/明石潮
小林先生/高橋豊子
よろずやの女将/清川虹子
岡田磯吉/田村高廣
竹下竹一/三浦礼
徳田吉次/戸井田康国
森岡正/大槻義一
相沢仁太/清水竜雄
香川マスノ/月丘夢路
西口ミサ子/篠原都代子
川本松江/井川邦子
山石早苗/小林トシ子
片桐コトエ/永井美子
松竹配給・1954年・日本映画・156分

 

 

感想

 

海外に住んでいると、日本の昔の名画をみる機会が時々あります。

私が大好きな三船敏郎さんの「七人の侍」もそうしてオーストラリアのテレビでみて知ったし。

 

でもこれまで「二十四の瞳」はみていなかったのです。

戦争の頃の話だということや、小学校が舞台だということだけ知っていたのだけど、子供が戦争で亡くなるような映画は大の苦手で、つらくてみる勇気がなかった。

「蛍の墓」とか「はだしのゲン」とか、もうみられません。

 

それから私が小学校〜高校まで通った東京の私立の一貫校が、平和や民主主義、自由と平等を重んじ、早くからインクルーシブ教育をしていたけれど、学校で毎年、反戦映画をたくさんみていたために、むしろもう苦しくて、みられなくなっちゃって。(今になって思うと、当時の学園長は赤旗によく寄稿していたし、先生たちがデモに参加していたのも覚えているから、日本共産党よりではなかったか、と考えます。)

 

でも今回はみなくちゃ、という覚悟でみました。

 

あぁ、昭和3年の小豆島の村の様子が素晴らしいです。

私の母は香川県出身だったので、私が小学生の頃は夏休みを香川で過ごした大切な思い出があります。

もちろんこれほど昔じゃないけれど、映画にでてくる石塀が懐かしいし、栗林公園や金毘羅さんだって行った。

小豆島にだって行ったような気がするんですよ。

 

まだまだ貧しく、西洋化も進んでいず、今からは想像もつかないような村の子供たちの暮らしにひきつけられました。

 

でも軍国主義の色が濃くなり、暮らしも苦しくなり、先生も言動に注意しないとアカだとみなされ連行されるような時代になり。

 

そしてあの可愛い子供たちの、そして人々の人生が戦争に翻弄される。

 

兵隊さんたちの戦場での姿をうつす映画もつらいですが、このような視点で描かれるともう感情移入しちゃって、泣ける、泣ける。

 

特に私は二十代から、オーストラリアの現地校で小学校の先生をしていて、今では大石先生のように教え子の子供も教えるようになったので、つい自分の身に置き換えて、泣けちゃいましたよ〜。

 

それから自分の父母の時代、祖父母の時代を思い浮かべ、あぁ、存命中にもっと話を聞きたかった、感謝の言葉を伝えたかったと、また思ってしまった。

 

素晴らしい愛の物語だと思います。

調べたら、その後何度もリメイクされたようだけど、私はオリジナルをみられて、本当によかったです。

 

子供たちがそれぞれの年代で顔が似ているのに驚きましたが、木下監督は似た顔の人たちをキャスティングしたそうですね。さすがです。

 

もうこんな戦争はやめてください。

お願いします、と心から思うから、こうして伝え続けるのは大切なことですね。

 

五つ星。