ラスティン: ワシントンの「あの日」を作った男(2023)
1963年にアメリカで行われた人種差別撤廃デモ「ワシントン大行進」の主導者のひとりである活動家バイヤード・ラスティンを描いた社会派ヒューマンドラマ。
1963年8月28日、リンカーン大統領による「奴隷解放宣言」から100年を経ても根強く続く人種差別の撤廃を求め、20万人以上が参加したワシントン大行進。「私には夢がある」の歴史的演説を残したキング牧師や、アダム・クレイトン・パウエル・Jr.、エラ・ベイカーらとともに自由への行進を先導しながらも、長らくスポットの当たることがなかったラスティンを主人公に、公民権の歴史の流れを変えるべく尽力し、人種差別や同性愛への偏見に真っ向から立ち向かう姿を描き出す。(映画.com)
感想
今年はアカデミーノミネート作品でみられるものはできるだけみるつもりでしたが、本作は授賞式には間に合わず、後日、鑑賞。
コールマン・ドミンゴさんが主演男優賞にノミネートされていたことと、オバマ元大統領夫妻の製作会社による作品という前知識だけでみました。
1963年の人種差別撤廃を求めるデモ「ワシントン大行進」を主導したバイヤード・ラスティンの姿を描いた作品ですが、このデモのことはキング牧師が有名なスピーチを行ったということしか知りませんでした。
25万人もの人による平和的なデモの成功の影にラスティンさんのような立役者がいたのですね。
非武装によるデモの重要性を若きキング牧師に説いたラスティンさんですが、彼が社会主義に傾倒する同性愛者であったことから、同じ黒人主導者からも差別されたとは、驚きです。
同性愛が犯罪であった時代に彼の存在が運動のマイナスになるという危惧があったのでしょうが、差別に反対する同じ黒人でもこのような態度をとっていたとはびっくり。
「アメリカン・フィクション」や「バービー」もそうでしたが、今年の映画は今までとは一歩進んだ作品が多いように感じますね。
サウンドトラックは時代を表すジャジーな曲が多く、とてもよかったです。
個人的なことになりますが、私は幼稚園と大学以外は、自由と平等をモットーにする私立の一貫校にかよっていて、今、思えばとても社会主義的だったなぁと思うのですが、その時、学校で習ったWe shall overcomeがこの「ワシントン大行進」で歌われていたので、なるほどなぁと思ったのでした。(今でも歌えます!)
俳優さんでは、あのアカデミー賞の司会で、ウィル・スミスに殴られたクリス・ロックさんが、ラスティンに反対するNAACP(全米黒人地位向上協会)の会長役をやってました。髪の色が違うので別人のようです。
あとは「アメリカン・フィクション」で同じく主演男優賞にノミネートされたジェフリー・ライトさんが、こちらもクリスさんのような嫌な奴の役。
「アメリカン・フィクション」ですっかり好きになったので、これは悔しい
見応えのあるとても良い映画でした。
四つ星です。