アカデミー賞

 

2020年までは毎年米国アカデミー賞を楽しみにみていましたが、それ以降、コロナやその他ポリティカルな理由で、がっかりしていた賞レース。

 

今年は日本作品が三作もノミネートされているのと、Netflix等の配信で多くの作品を事前にみることができたので、明日の授賞式の中継はしっかりみます!

運良く明日はアデレード・カップ・デイという南オーストラリア州の祭日なので、月曜だけど、再放送を待たずにオンタイムで見られる〜ラブラブ

 

国際長編映画賞ノミネートの「PERFECT DAYS」はこちらでは公開前なのでわからないけれど、内容的に「関心領域」が強そうな予感、、。

 

でも視覚効果賞の「ゴジラ-1.0」は受賞できるのではないかと応援しています。

 

長編アニメーション賞の「君たちはどう生きるか」は、一見さんにはわかりにくい作品だけど、アカデミーの海外会員が増えたことと多様性の動きもあって、受賞率高し、、。

対抗馬の「アクロス・ザ・スパイダーバース」はこれぞ最先端のアニメ映画か!ってぶっとぶほどよかったけど、三部作の真ん中で、すでに前作で受賞しているし、最終作での受賞も考えられるから、ここは宮崎監督への長年の敬意で、いけるのでは、と思っています。

 

ジャンルの違う映画で一作だけ最優秀作品を選ぶこと自体がもともと不可能といえますが、映画の祭典としてまた楽しめるようになったのは嬉しいです。

司会はジミー・キンメルさん。またマット・デイモンいじりが復活か!(笑)

 

 

 ニモーナ(2023)

 

 

解説

 

近未来的な発展を遂げた中世の王国を舞台に、女王殺しの濡れ衣を着せられた騎士と変身能力を持つ少女の友情と闘いを描いた長編アニメーション。

孤児出身でありながら騎士学校を主席で卒業したバリスターは、騎士任命式の最中に起こった女王殺しの犯人に仕立てあげられ、追われる身となってしまう。隠れ家に身を潜めて汚名をそそぐ機会をうかがう彼は、さまざまな生き物に自在に姿を変えることのできるいたずら好きの少女ニモーナと出会い、一緒に真犯人探しを始めるが……。

ニモーナ役でクロエ・グレース・モレッツ、バリスター役でリズ・アーメッドが声の出演。映画.comより引用

 

 

 

感想

 

Netflixでアカデミーノミネート作品を検索してでてきた「ニモーナ」。

でも絵が子供向きみたいだったので、パスしかけました。

だけど上映時間101分と短いし、ちょっとみて嫌だったらやめようと試したら、これがなんと良作だったのです!

 

子供向きと思った一番の理由は主人公ニモーナの顔だったのですが、原作のグラフィックノベルの絵とはずいぶん違います。

 

 

CGアニメって立体にする過程で、どれも似たような丸っこい顔になるのが好きではなくて。

 

ディズニーが21世紀フォックスを買収した時点で「ニモーナ」を製作していたアニメ部門が閉鎖され、翌年、別の独立したアニメ会社がプロジェクトを引き継ぎ、Netflixがオリジナルアニメとして配信した、という経緯があったそうですが、そういうことも何か影響したのかな。

 

私は例によって事前情報をいれずにみてますから、アーサー王の円卓の騎士みたいな中世ぶりが未来都市でくりひろげられるのが面白いと思ったし、なんといってもニモーナがスピーディーにいろいろな動物に変身するのに、素直に驚いて鑑賞決定。

動物になった時に、体の色が少しオレンジがまざったようなピンク色なのが好き。

 

女王殺しの濡れ衣を着せられた平民出身の騎士、バリスターは、声をあてているリズ・アーメッドと同じパキスタン系の造形。

そして白人金髪、貴族出身のチャンピオン騎士はバリスターの恋人。

ここですでにゲイカップル、人種の違い、身分の違いが提示されますが、それがメインテーマではなく、自然に描かれているのが新鮮です。

二人は手をつなぐし、最後の方ではキスもする。

これをファミリームービー、キッズムービーのカテゴリーにいれるのはどうかな、と思ったけれど、考えてみると小さい時から自然な状態としてこういう映像をみていたら、差別的な考えは生まれないのかも、と、感じさせます。

 

ニモーナがとてもいい子で優しい気持ちを持っているのに、暴れ回るのが大好きで、スピーディーに次から次へと変身をする姿はADHD(注意欠如・多動症)の子どもそのもの。

 

あとから調べたら原作者自身がADHDで、「ノンバイナリー」(性自認が男女という区別に当てはまらない)と自認しているのだそうです。

 

本作はおそらく作者の経験が投影された物語で、思いやりの心をもって生きることの大切さを自然に伝えてくれる、秀逸なアニメ映画だと思います。

 

説教くさくもなく、教育的でもなく、次になにがおこるのか夢中になって鑑賞できる良い作品です。クロエ・モレッツの声の演技もとてもよかったです。

星よっつ。