1月28日(日)に「哀れなるものたち」を鑑賞。
夏休み最後の日だったので、今、行かないと今度いつ映画館に行けるかわからない!と滑り込みました。
夏休み様のおかげで1月は6本も映画館でみられて至福だったなぁ
今はまた週末返上で仕事をするクレイジーな毎日が戻ってきたので、鑑賞後1週間ぶりにやっとレビューがかけます!
「哀れなるものたち」2023
あらすじ
若い女性ベラ(エマ・ストーン)は自ら命を絶つが、天才外科医ゴッドウィン・バクスター(ウィレム・デフォー)によって胎児の脳を移植され、奇跡的に生き返る。「世界を自分の目で見たい」という思いに突き動かされた彼女は、放蕩(ほうとう)者の弁護士ダンカン(マーク・ラファロ)に誘われて大陸横断の旅に出る。大人の体でありながら、新生児の目線で物事を見つめるベラは、貪欲に多くのことを学んでいく中で平等や自由を知り、時代の偏見から解放され成長していく。(引用先)
感想
実は全世界で大ヒットしたヨルゴス・ランティモス監督の『女王陛下のお気に入り』が苦手でした。
この監督の他の作品はみていないけれど、この映画も同じようだったらどうしよう、と一抹の不安は確かにあった。
でもエマ・ストーンもマーク・ラファロもウィレム・デフォーも好きだし、予告はちょっと奇妙だけど、ビクトリアンな時代と映像に目を惹かれたし、フランケンシュタインやドラキュラのような、切ないゴシックストーリーは好きだし、ベネチア国際映画祭で金獅子賞、ゴールデングローブの「ミュージカル・コメディ部門」の作品賞と主演女優賞受賞と聞けば、見ないわけにはいかない話題作ではないですか。
というわけでワクワク〜で映画館へ。
オーストラリアのレーティングはMA15+(15歳以上推奨)で、日本よりゆるいです。でもどの劇場でも座席数が少ない部屋での上映で、お客さんも少なかったな〜。
やっぱり人を選ぶ作品ですからね。
はじまったらそりやぁ、ワクワクしましたよ♪
だって私の好きなビクトリア朝の英国で、白黒魚眼レンズも良い〜。
衣装も調度品もお屋敷も、美術がなんといっても素敵だ〜。
と思っていたところに、グロい映像が!
うっ、内臓系は苦手。
フリーダ・カーロのように眉毛が濃いエマ・ストーン。
すごい体、張ってる。ここまでやるから主演女優賞か。
赤ちゃんの脳に大人の女性の体ですごいスピードで成長し、まっすぐな心で吸収し、体験し、学んでいく主人公ベラを演じるのは、まさに彼女ならではの適役です。
マーク・ラファロさんは彼らしくない役を、自分の殻をやぶってものすごくがんばった感があって、その居心地悪さも、この役自身の壊れっぷりにぴったりなんだと思う。
ウィレムさんの役、、お父さんの実験台になった子供時代を経て、天才外科医となったくだりは、ちょっと語られただけだけど、悲哀を感じる〜〜。
なんだかすごい話なんだな。
なんと恐ろしい、と思ったけどウィレムさん(の役)が良い人でよかった。
助手さんの存在も救いよ。
ヨーロッパの船旅にでかける頃にはこれが色彩溢れるファンタジー世界のヨーロッパであるとわかるのだけど、本当にこの映画美術には感嘆ですよ。
なんだかどのシーンもどのシーンも、物語の展開も、いったいどうなっちゃうの、こんなのみたことない、と固唾を飲んでみていました。
これはアングロサクソンにはできない。(笑)
とてもヨーロッパの監督らしい作品です。
好きだったのはね〜、場面が変わる時の白黒のタイトルシーン。
ああいう映像好きだな。
と、ほっとするのもつかのま、次々と襲いかかる性的シーンやグロな映像たち。
いろんな動物が縫い合わされて合体とか、やっぱり生理的にだめなのよ〜。
あの最後のシーンとかもね。
自由な精神で自立していくベラの物語をこのように描くのはやっぱりすごい。
見終わって最初にいったのは、「こんな映画見たことないね〜」で、見て本当によかったと思ったけれど、作品として好きかというと違うかも。
一番好きなのは映像美。
ジャンルとしては大人のダークなファンタジー、寓話でしょうか。
それって好きなジャンルだけど、体切ったり、内臓とか、体の合成とか、生理的に拒否感があるビジュアルは無理。
性的シーンもここまで多くなくていい
と、とてもつまらない、保守的な人みたいなことを書いてしまいましたが、昔からジャン・ピエール・ジュネの「デリカテッセン」とかテリー・ギリアム「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」とか苦手なのよ。
本で読むならビジュアルがないから大丈夫か。
でもこの映画の一番好きなのはビジュアルだし。うーん。
というような私の戯言は関係なしに、お好きな方はラッキー♪で、楽しんでくださいませ。もう一度見る機会があったら、はじめの拒否反応がなくなって、映画の本質を楽しめるかも。
万人向けではないですが、映画のユニークさを認めて星四つ。