先週、「エンパイア・オブ・ライト」(2022)を劇場鑑賞しました。

もう終わりかけているうえ、他の方のレビューがあまりかんばしくないようなので、配信まで待とうかな、とも思いましたが、予告をみると映画の舞台であるアールデコ建築のエンパイア劇場が、うちの近所の映画館、「カプリシアター」にとてもよく似ているので、この劇場で見るにふさわしい作品!と思って、すべりこみで鑑賞♪

 

 

あらすじ・ストーリー 1980年代初頭の海沿いの町の映画館で、ヒラリーは辛い過去を抱えて働いていた。不況と社会不安が蔓延する中、夢を諦めて映画館で働くと決断したスティーヴンがやって来る。優しい同僚たちに見守られ、前向きなスティーヴンにヒラリーは希望を見いだすが……

解説 第95回アカデミー賞撮影賞にノミネートしているヒューマンドラマ。1980年代の閑静なイギリス南岸のリゾート地の映画館で働く、辛い過去を持つ女性と夢を諦めた青年を描く。監督は、『アメリカン・ビューティー』を手がけた巨匠サム・メンデス。出演はオリヴィア・コールマン、マイケル・ウォード、コリン・ファース、トビー・ジョーンズら。(引用元)

 

 

 

映画愛の映画なのかと思いましたが、テーマとなるのは双極性障害(躁うつ病)に苦しむ中年女性とサッチャー政権下、失業率が高かった80年代イギリスの黒人差別。

映画館はこの物語の舞台として、そして映画は光を照らし苦しみを癒す存在として使われています。

実際に何が起こったのかはわからないけれど、オリビア・コールマン演じる主人公はサム・メンデス監督のお母さんがモデルなのだそうです。

この映画もスピルバーグの「フェイブルマンズ」のように自伝的な要素のある作品なのですが、このような作品ができるのも、コロナ禍の映画界で映画人にも自分の内面とむきあう時間が増えたからだったのかと想像します。

 

映画好きとしては、映画館で働く人々の話と美しい劇場をみるだけでも素晴らしいと思っていたのですが、だんだんとオリビア・コールマンの演技に惹きつけられていきました。

私は「女王陛下のお気に入り」のコミカルなオリビア・コールマンが好きになれなくて、苦手な女優さんだと決めつけていましたが、今回の彼女の演技には脱帽です。

病いに苦しむ姿。そしてそんな彼女と心をかよわせる黒人の青年。

この青年、マイケル・ウォードくんは本当に素敵なイケメンで、これならこんなに年の離れたオバサンでもひかれてしまうのも納得(笑)

コリン・ファースはひどい役柄だというのを聞いていたので驚かなかったけれど、それでも舞台で挨拶するシーンはかっこいいんだな。

 

大作とか大感動映画ではないけれど、本を読むような味わいのある作品だと思いました。スピルバーグ監督のもそんな面があったけれど、それはどちらも自分の個人的な思い出で、過去と静かに向き合う映画であったからなのかな。

 

私は好きな映画です。四つ星。

 

そしてそう思うのは、やはり同じような雰囲気の映画館でみたせいもあったかも。

 

映画のエンパイア劇場の写真はこちら。

 

 

 

そしてうちの近所のカプリシアターの写真はこちら。

すごく似ているでしょう?

舞台真ん中には床からせりあがってくるシアターオルガン(劇場用のパイプオルガン)があるんです。

 

舞台の両端にはパイプがみえます。南半球で2番目に大きいのだとか。

映画の始まる15分前にはこのオルガンの生演奏があります。

演奏が終わってオルガンが床に沈んでいく時に演奏者が後ろに向かって手をふってくれるので、私はいつも大きな拍手をして感謝の気持ちを表します。

 

 

カプリシアターのサイトのこのページの下の方にたくさん写真があります。

よければみてね♪

カプリ・シアター

 

1941年開業のカプリシアター。当時の座席数は1472もあったそうです。

現在は歴史的建造物としてヘリテージリストに登録され、シアター・オルガン・ソサエティーが所有。ボランティアによって運営されていて、収益は建物の維持と保存に使われるというから、チケットを購入するのも良いことをしている気持ちになりますよ♪ そしてここのアイスクリームが本当に美味しい!ホームメイドです。

 

他に行きつけの映画館もあるのですが、映画によって劇場を使い分けています。

コロナ以降、映画館に行くことすら少なくなったけれど、こういう体験をすると、また何か見に行きたくなっちゃうなぁ。