邦題が「禁じられた情事の森」なんで、びっくり。
原題はReflections in a Golden Eyeなんですが、これはカルト的な意味で見て損はない映画、、、かな?(笑)
 

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心理劇ですので、「森はすべてを見ていた。そのみだらな秘め事の数々をー。」と日本の広報さんが盛り上げているような映像はありません。ただ一見、大外れの大駄作にみえるのですが、実は面白いのかも、、とあとから考えちゃうあたり、みる価値あり(笑)

ゲイ映画の草分けかも、です。そういう意味でカルトクラシックだね。

 

レビュー

 

コレはゲイのカルトクラシックかも!(ネタバレあり)

 

この邦題!
「禁じられた情事の森」って人に言いづらいですけど、原題はReflections in a Golden Eyeです。

2009年〜2010年とマーロン・ブランドにはまって、かなりたくさん彼の作品を見たのですが、昨日テレビで放映されるまでこの作品の存在すらしりませんでした。
けっこう英語圏の批評家から評価が高くついてたので、ワクワクしてみたんですが、ちょっとかなり変(笑)

黛敏郎さんの不穏な音楽とともに、へんな緊張感が続き、大げさで見てて不快になるゲイのフィリピン人がでてきて、マーロンがいつものマーロン節で役柄にのりうつった、内面を表現する演技をやってくれちゃうし、むむむむ〜と思っていたら、さ、最後が、カメラが右にふられ左にふられ、そのたびに人がふえて、最大の悲劇のクライマックスで本当は笑うとこじゃないのに爆笑しちゃいましたよ。

ひやぁ〜なんだこれ〜。だから今まで話題にされなかった?
なんて思ったら、いやいや、マニアには話題にされてるんですよね。
だってこれ、昨今人気のゲイものなんです。
だけど上映されたの、1967年ですよ。早い!
さらに原作本が書かれたのは1941年!すごく早い!

作者はカーソン・マッカラーズっていうから男性の名前かと思ったら女流作家。
興味をもってウィキペディアで調べてみたら、その生涯のきびしいこと、、。
結婚したけど夫婦ふたりともゲイで、離婚。また同じ二人で再婚。彼女鬱に。彼から心中の提案→彼女逃げる→彼1人自殺。彼女、生涯にわたり病気で苦しむ。左半身麻痺。50歳で死亡。
ううむ。そういう苦難の人生あっての創作活動だったんですね。
と思ったらだんだん映画に対する考え方もかわってきた、、、。

マーロンの役ははじめはモンゴメリー•クリフトに決まっていたけれど、この映画の撮影に入る前に亡くなったので、監督が代役探して苦労したうえのマーロンのキャスティングだったんですよね。モンゴメリー•クリフトはゲイだし、きっとはまり役だったと思う。マーロンは自分に向いているか確信できなくて一度は断ったけれど、結局ひきうけたそう。
それでもやはりマーロンはマーロンらしさをだして、その役に乗り移ろうとがんばってるのがよくわかるんです。
鏡の前で1人しゃべるシーンとか、馬から落ちたあとの感極まったあの表情、そしてリーダーシップについて語っている時のあのスピーチ。
初期の映画のマーロンクローズアップではっとされられたマーロン節を彷彿とさせましたよ。

逆に彼の奔放で自由な妻役のエリザベス・テイラーは、もうはまり役もはまり役。本人、地でやってるんじゃないかと思うほど、ぴったりで、今までみた中でこんなに彼女がいいと思ったのは初めて。

で、物語は「情事の森」っていうか(笑)、森の中の陸軍基地が舞台で、将校マーロンと妻エリザベスのカップルがいて、マーロンが妻にあまり性的に興味をもてないようだから、妻は隣の将校と浮気していて、それから彼らの馬の世話をしている若い軍人がいて、この軍人がある時、全裸で馬にのっているのをみたことから、マーロンは自分の中の「ゲイ」を認識していく。でもこの若い軍人が変質的で、夜な夜なエリザベスの寝室に忍び込んで、彼女の寝姿を見ながらランジェリーの匂いを嗅いでいる(苦笑)それを隣の将校の妻は自分の旦那が夜這いしているものと誤解する、、といったあんばいの心理劇です。

そう、心理劇なので、邦題で想像するようなエロな映像はないんですが、とにかくこの監督のおちゃめな演出(?笑)と不思議なカメラワークと黛さんの音楽とアクタースタジオ出身のメソッドアクティングのマーロンの演技で、なんとも表現しがたい映画にしあがっています。考えれば考える程、こんなに変なのに、もしかしたら非常に意味のある面白い作品なのかと思えてくる(笑)

ゲイのカルトクラシックになっているのは間違いないです。
星みっつにしておきますが、見たのはよかったと思います。
そしてこの5年後にマーロンはあの「ラストタンゴ・イン・パリ」に出演だよ!



星は2つ、と思ったけど、いろいろ考えているうちに3つ。でも星に関係なく終わってから、あ~だこ~だと盛り上がれますヒヨコ