ケイト・ウィンスレット主演のオーストラリア映画「The Dressmaker ザ・ドレスメーカー」をみました。

 

 

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あらすじはこんなかんじ。

1951年、ティリーは病んだ母親の面倒をみるために、オーストラリアの小さな生まれ故郷の町にかえってくる。彼女には10歳の時、男の子を殺したという疑いをかけられて、町をおわれた過去があった。パリで有名なファッションデザイナーから仕立屋としてのトレーニングをうけたティリーは、自分のデザインするオートクチュールのファッションで、垢抜けない地元の人々を次々と大変身させていくが、その過程で、昔、彼女を無実の罪にきせた人々に復讐を果たしていくのだった、、。

 

 

 

 

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さて、ひさびさ期待できそうなオーストラリア映画。
なんといってもキャストが豪華です。
主役は押しも押されぬ大スター、演技派のケイト・ウィンスレット
彼女の母親役はやはり大スター、オーストラリア女優のジュディ・デイヴィス
ケイトの相手役、この映画で唯一非のうちどころのない「いい人」テッドは、高身長、好体格、ハンサムなリアム・ヘムズワース。彼もオーストラリア人で、あのかっこいいクリス・ヘムズワースの弟です。
そして女装癖のある警官役に、やはりオーストラリアの大スターのヒューゴ・ウィーヴィング
その他のキャストも国際的な知名度は落ちるかもしれないけれど、オーストラリアのテレビ、映画界ではおなじみの面々ばかりです。

 

 

 

 

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スタッフに関しては、監督は1991年にまだ若かったヒューゴやラッセル・クロウを起用して「Proof 証拠」という素晴らしい作品を撮ったジョスリン・ムアハウス。
脚本はジョスリンと彼女のご主人で映画監督のP・J・ホーガンの二人がつとめていますが、P・J・ホーガン監督もまだ無名だったトニ・コレット主演で「ミュリエルの結婚」という最高な映画を1994年に撮っています。

本当に90年代は低予算でもとてもクリエイティブでオリジナルでアートなオーストラリア映画がたくさん作られて、そこからハリウッドに進出する大スターやスタッフが次々と生まれていったものでした。
The Castle「ザ・キャッスル」からエリック・バナが。バズ・ラーマン監督デビュー作は、ダンシング・ヒーロー」。ヒューゴ・ウィーヴィングやガイ・ピアース出演の「プリシラ」、、。

つまり今回この監督、脚本、キャストをみる限り、あの頃のオーストラリア映画界を彷彿させる、誰にとっても良作の映画に違いないと思えたのですが。

むむむ、、。がんばりすぎちゃったんでしょうか。バランスが悪いです。それにとても嫌なかんじの話。ベースは舞台劇じみた大げさ演技とカメラワークのダークコメディで、それにハーレクインロマンスの要素が加わり、さらにマカロニ・ウエスタンであり、シリアスなドラマでもある。それをデビッド・リンチとタランティーノのテイストに味付けしたというか。

先日はじめて苦手だと思っていたタランティーノ監督の「キル・ビル」をみて、こんなごちゃまぜ要素がたくさんまじっている復讐劇が大成功しているすごさに感嘆したばかりですが、そうです、普通は成功しません。この映画がその最たる失敗例(苦笑)

キャストがよかっただけに、監督の演出と脚本のひどさにショックをうけました。

それにしてもこんな映画でも光るジュディ・デイヴィスの演技!彼女はすごいな~。

ケイト・ウィンスレットも演技はもちろんよかったのですが、なんといっても役柄より実年齢が10歳は上なのが私には気になってしまいました。同年代だったはずのかつての友達よりも、その母親の世代により年齢が近くみえる、、、。25歳のリアム・ヘムズワースとのロマンチックなシーンでも、どうしても目尻のシワとか、それぞれ父親の違う三人の子供がいる母である実生活のケイトの堂々とした貫禄や、熟女体型が気になってしまうのですが~。

主人公製作のクチュールドレスも期待していたのですが、オーストラリアのアウトバックの町に似合わないので全然映えない。もちろんそこが面白いのだろうけれど、もう少しやっぱり素敵、、と思わせて欲しかった。
ライバルの仕立屋も登場しますが、彼女のドレスが主人公のドレスよりそれほど劣っているようにはみえなかったな。

 

 

 

 

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それから最終的に、一番悪いのはおまえか!とわかる諸悪の根源の人物がいるのですが、まわりの登場人物がみんな個性が強くヘンすぎて、この人の影は超薄い、、それでまぁ当然の報いもうけるのですが、その頃には復讐劇も食傷気味で、もうそこまでしなくてもいいでしょう、なんて思ってしまいます。

あと個人的にいやーな気持になったのは、リアム・ヘムズワースの最後のエピソード。こういうのってあんまりでしょう。不必要、無意味に悲劇をもってきて、意図的にもりあげないで。もちろんこれはベストセラーの原作本にあるエピソードなのですが、演出のせいか脚本のせいか、とにかく不快感強かったです。

と、そんな映画でしたが、劇場では年配のおばさんたちが何度も声をあげて笑ってたりもして、そういう人の品性を疑うとまで思ってしまった、、、。
こういう人たちはきっと長年これら有名どころの役者さんたちをみてきて、最初からポジティブな気持で、コメディだと思って鑑賞してたんだと推察しますが。

でもこんな復讐コメディは私は好きじゃないです。
そういえば日本語でこの映画を紹介しているサイトにラブコメとも書いていましたが、断じてこれはラブコメではない!

日本での劇場公開はきっとないだろうと想像するので、もっとネタバレしても大丈夫な気もしますが、もしかしたら変すぎるゆえにいつかはカルト映画になるかもしれないし、映画祭やDVDで見られるかもしれないので、このへんで。

 
追記(2020年6月27日)「復讐のドレスコード」という邦題で2015年にWOWOWで放映。2019年に「リベンジャー 復讐のドレス」という邦題になってDVDソフト化されたそうです。

 

 

 

 



星評価は豪華キャストにめんじて、三つです。甘いかな~。