こわれた大観覧車
ゴールドラッシュ以降ヨーロッパから多くの外洋船がメルボルンの海岸に押し寄せました。
それにともない船の修理ドックエリアが拡大しましたが、その後、港が別の地域にうつされ、広大な空きスペースが残りました。
そのエリアが今ビクトリア州政府が巨額な投資をして再開発中の「ドックランド」です。

プロジェクトの最終的な完成は2020年の予定ですが、高層ビルや、レストラン、カフェ、アウトレットショップなど、商業施設がかなりできあがっているというのではじめて行ってみました。
この日はあいにくの雨。
港はやっぱり青空が似合いますね。
高級な高層マンションやとても近代的なオフィスビル、公共エリアのアート作品にも力をいれているウォーターフロントシティ。
ものすごい規模なのに人の住む空間という匂いがしなくて、巨大な映画セットの中にいるようにも感じられます。
やっぱり街に活気がでるまでには10年、20年という歳月がかかるかも。
大好きなジャック・タチの映画「プレイタイム」を思いだしました。
ヤフー映画投稿の映画レビュー(2011年11月18日)
愛さずにはいられないタチの世界
1952年の「ぼくの伯父さんの休暇」1958年の「ぼくの伯父さん」とみてきて、私にとっては三作目になるジャック・タチ監督の長編映画がこの1967年の「プレイタイム」です。
一作目ではまったく予期していなかった映画スタイルに居眠りをしてしまったほどなのに、今ではジャック・タチ、そして彼の演じるユロ氏の大ファンになっている私。
まるで自分の伯父さんであるかのように、いとしさや愛情を感じます。
特にこの映画が興行的には大失敗で、タチは破産の憂き目にあったというのを聞いていただけに、もう見る前から、ただ伯父さんに幸せになってほしい、、なんて気持になっていたくらい。
よく映画評をみると「世界観」という言葉を気軽に使う人が多いけど、ジャック・タチほど自己の世界をこれほどまでに表現した監督もなかなかいないんじゃないかな。
いろんな監督の作品を見て、これは好きだけど、こっちはそれほどでも、、と思うことはあるけれど、ジャック・タチを知ってはじめて、存在そのものすべてが大好きと思える監督に出会いました。
近未来的な高層ビルの立ち並ぶパリの街の巨大なセットをまるごと作ってしまったタチ。
フランス映画史上最高額の製作費が投じられたというのも納得できます。
タチの美意識と世界観の集大成と感じられ、細部へのこだわりはとても一度見たくらいでは把握できません。
すべてにおいてスタイリッシュ。
そして音にとても敏感です。
言葉で表現するのではなく、パントマイムが基本になっているからこそ、身の回りにあふれる音に対して繊細になるのかもしれません。
「ぼくの伯父さん」では近代化と昔ながらの暮らしとの対比がとてもよかったのですが、この作品ではモダニズムに終始します。
当時の観客がもし「ぼくの伯父さん」のようなカラフルなノスタルジーを期待していたなら、そこが受け入れられなかった原因でもあるかな、とも想像しましたが、私はこの映画に近代化批判や風刺というより、暖かい視線で、都会の人々の暮らしぶりをユーモラスに語っているような、最後はまるで都会という遊園地で遊んでいるような楽しさを覚えました。
レストランのシーンなど、とても長くて、延々とコメディスケッチが続くので、タチのスタイルを知らずにいきなりこの映画を見ると、いったいこれは何?ってハテナマークが点滅するかも(笑)
普通のストーリーテリングだと思うと自爆します。
ジャック・タチのアートな世界。
これに一緒に参加するつもりで、宝探しのようにタチのこだわりを堪能しましょう。
知らないうちにタチの虜になっているかもしれませんよ。
星四つ
横浜や神戸のハーバーのように、港といえば、夜景。
それに観覧車もなくちゃ~、と思っていたら、ありました、観覧車。
が、支柱だけ!
2008年12月に南半球最大、世界でも3番目の大きさとなりものいりでオープンしたのに、ひと月後にクローズ。
14カ所もヒビがはいっているのが発見されたのです。
当初はあの史上最悪の山火事をひきおこした熱波が原因とされたのですが、実はデザインに問題があったそう。
高さ120メートル、40階のビルと同じ高さ、20人乗りのゴンドラが21台もついていたというこの大観覧車、補強工事では修復できず、一から作り直しとなりました。
2011年2月の今になってもまだ上の写真の状態なので、いつになったら再開するのやら。
この観覧車の建設には大阪の会社、サノヤス・ヒシノ明昌もかかわっているそうです。お台場やHEP5の観覧車を建設した会社。日本人としては落ち度はなかったと祈りたい。

はやく問題解決して、この綺麗な観覧車に乗れますように。
2011年2月5日