第2000回 定期公演 Aプログラム

日時: 2023年12月17日(日) 14:00~
場所: NHKホール
指揮: ファビオ・ルイージ

ソプラノ:ジャクリン・ワーグナー
ソプラノ:ァレンティーナ・ファルカシュ
ソプラノ:三宅理恵
アルト:オレシア・ペトロヴァ
アルト:カトリオーナ・モリソン
テノール:ミヒャエル・シャーデ
バリトン:ルーク・ストリフ
バス:ダーヴィッド・シュテフェンス
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団

(プログラム)
マーラー: 交響曲 第8番 変ホ長調 「一千人の交響曲」(ファン投票選出曲)


第1部:賛歌「来たれ、創造主である精霊よ」、第2部:「ファウスト」の終幕の場、2部で構成された交響曲。

拡張された舞台に、所狭しと並ぶオーケストラ、その後ろにソロ歌手、そしてその後ろに150名を超える合唱と児童合唱。
見るだけでテンションが上がる、壮観な大編成です。
第1部、第2部最後に登場する金管バンダは2階R側の中央通路。
コンサートマスターは篠崎史紀さん。

ファビオ・ルイージは、颯爽とした情熱的な指揮姿。
オーケストラは、精緻で緻密、よく引き締まり、よく統制され、緊張感と推進力がある演奏です。
スケールが大きく表情豊か、立体感があり、荘厳壮麗、心に響き感動的。
渾然一体となった凄まじい音圧の総奏も、繊細に奏でる神秘的な弱音も、素晴らしい。
ただ、大編成のために、特に金管など、時折若干の傷は散見されたような…でも、見ない振り、聴かない振り…。

第1部はラテン語の賛歌、「宇宙が鳴り響く」というに相応しい、壮大で迫力ある合唱です。
「父なる主に栄光あれ、/神に、そして御子に栄光あれ、/死してのち/蘇りし御子に、聖霊に栄光あれ、/世々に至るまで」
パイプオルガンとオーケストラの総奏をバックに、集中力と熱気に満ちた演奏です。

第2部では、ゲーテの「ファウスト」の最終場面の歌詞を引用して、ドラマチックでオペラ的。
自然、それを創造した神の偉大さを讃える歌、天使たちの歌、聖母マリアへの賛歌、聖母マリアへの贖罪を歌う、そして救済と祝福。
弦・フルート・ピッコロのpppから始まり、第1ソプラノ、第2ソプラノが加わり、全ソリスト、全合唱、パイプオルガンとオーケストラの総奏。
「神秘の合唱」の圧倒的なフィナーレ、高揚感があります。

ソロ歌手について、特に女声歌手陣は皆様、高レベルです。
「サマリア人の女」(第1アルト)ペトロヴァの深みのある美声、「罪深い女」(第1ソプラノ)ワーグナーの透明感のあるクリアな美声が印象的。
「栄光の聖母」(第3ソプラノ)を歌う三宅理恵さんは、パイプオルガン席で天上からのよう、清澄な美声で心に沁みます。
「贖罪の女」(グレートヒェン)(第2ソプラノ) ファルカシュ、「エジプトのマリア」(第2アルト) モリソン、ともに安定感があり充実。
男性陣、低音の「法悦の教父」(バリトン)のストリフと「瞑想の教父」(バス)のシュテフェンス、安定感があります。
「マリア崇拝の博士」(テノール)のシャーデは、くすんで乾いた声質で好みではなく、やや不安定なのが残念。
オーケストラの後ろ、合唱の前という配置ですが、皆様、よく声は響いています。
が、オーケストラの前で歌っていただいた方が、より存在が際立つのではないかとも感じます。

合唱は、オーケストラと融合して、よく統制された見事なアンサンブルを披露。
新国立劇場合唱団は、いつもながら見事です。
大編成にも思えたのですが、この音楽にしてはコンパクトな編成とのこと。
児童合唱は、全て暗譜、明朗でクリアで素晴らしい。


この作品を聴くのは二度目、前回は2016年9月のN響90周年記念特別演奏会、指揮はパーヴォ・ヤルヴィでした。
私自身未だマーラーへの苦手意識は拭えていないのですが、この作品は以前よりも馴染んだ状態で鑑賞できたこともあり、
音楽の素晴らしさをより感じられ、また演奏自体も良かったのではないかな…と思います。


素晴らしい演奏会でしたが、残念なことがひとつ。
"席位置は選べるが、隣人は選べない…"ということを、またしても実感したのです。(^^;;
座席は3階席狙いでしたが、チケット争奪戦に敗れ、やむなくランクアップして2階席後方でした。
今回の問題は、前列席の人。
背(座高)が高く、頭も大きい方、傾斜が緩いので普通に座るだけで、舞台が全く見えない状態。
これ自体は仕方がない、運が悪いと思うしかありません。(^^;;
自分自身の姿勢を崩して、頭・首や上体を斜めにして、見える位置を探すしかありません。
一部死角になっても、ルイージさんとソリスト歌手は見たいと思い、結構無理な態勢での鑑賞。
それにも拘らず、その前列席の人、頻繁に動いて私の視界を妨げるのです…私が逃げて別の視界を探すと、追うかのようにまたその視界を妨げる。(>_<)(>_<)(>_<)
耳と魂は感動したがっているのに、イラっとすることしばしば、目と頭は結構なストレスでした。(ーー;; (ーー;;
やむを得ず、私も身体や頭を動かすので、後列の方にも迷惑をかけているかもしれません。
ごめんなさい。<(_ _)>


******************************

1927年に新交響楽団(N響の前身)の予約演奏会として始まったN響定期公演が、記念すべき第2000回を迎えるにあたり、何を演奏するか…、
常任指揮者ルイージとN響は聴衆による投票に委ねることにしました。
 1. フランツ・シュミット:オラトリオ「7つの封印の書」
 2. シューマン:オラトリオ「楽園とぺリ」
 3. マーラー「交響曲第8番」
投票総数2523票の中から過半数の得票で選ばれたのは、3. マーラー「一千人の交響曲」でした。

私は投票しなかったのですが、密かに願っていた希望通りの結果となり、出陣することにしました。
永遠の素人のため、他の2曲は、まだ手を出せずに敬遠している領域の音楽です…(^^;;