前シーズンの座席を更新して、定期会員も2年目となります。
隣人も昨シーズンとほぼ同じ方々です。


第1990回 定期公演 Cプログラム
2023年9月16日(土) 開演14:00
 指揮: ファビオ・ルイージ
 ・ワーグナー(フリーヘル編): 楽劇「ニーベルングの指環」-オーケストラル・アドベンチャー

キレと推進力があり明晰、特に"神々の黄昏"パートからは生き生きして熱量が高く、気迫が感じられます。
ドイツ的な重厚さとは異なり、色彩感と柔らかみのある伸び伸びした演奏。
ホルン8本(ワーグナーチューバ4本)を始めとして輝かしい金管陣、ハープ4本、金床など、大編成で壮観。
楽しい音楽会ですが、抜粋版だと「指環」好きとしては、編曲に物足りなさ感じてしまいます。
(好きなところ、入っていて欲しいところが、入っていない…とか…(^^;;)


第1993回 定期公演 Cプログラム
2023年10月21日(土) 開演14:00
 指揮: 高関健
 ・ニルセン: アラジン組曲 作品34 -「祝祭行進曲」「ヒンドゥーの踊り」「イスファハンの市場」「黒人の踊り」
 ・シベリウス: 交響曲 第2番 ニ長調 作品43

 

予定されていたヘルベルト・ブロムシュテットは体調不良により来日できずに降板。96歳の高齢なので仕方がありませんが、残念です。
代わって高関健さんによる指揮、明晰で緻密な折り目正しい演奏です。
ニルセンは、異国情緒漂い、生き生きとしたリズムで、打楽器が楽しい。
シベリウスは、さざ波のような弦楽合奏、悲痛な叫びと祈りの厳かな世界、スケルツォ、そして高揚感のある壮大な終楽章。
金管がよく鳴り、統率された上質の演奏ですが、全体的にはやや硬いのか重たいのか…そんな印象。



第1995回 定期公演 Cプログラム
2023年11月11日(土) 開演14:00
 指揮: ゲルゲイ・マダラシュ
 ピアノ: 阪田知樹*
 ・バルトーク: ハンガリーの風景
 ・リスト: ハンガリー幻想曲*

 (バルトーク: チーニ県の3つの民謡)
 ・コダーイ: 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」

幼少期よりハンガリー民謡やロマ音楽を学んだハンガリー出身のマダラシュによる、オール・ハンガリー・プログラム。
マダラシュは溌溂とした指揮姿、異国情緒と郷愁漂う、色彩豊かな楽しい音楽を堪能。
ハンガリーの風景、民族色豊か、親しみやすく濃厚な響き。
ハンガリー幻想曲、阪田さんのピアノは、クリアで煌びやかな響き、華麗なテクニックで、洗練された演奏。
ハーリ・ヤーノシュは、躍動感がありエネルギッシュ、多彩で爽快、魅力的な音楽。
弦楽器の安定感は勿論のこと、管楽器や様々な打楽器が大活躍、付点のリズムが効果的で、よく引き締まった演奏。
打弦楽器ツィンバロンを興味深く、見聴く。



第1998回 定期公演 Cプログラム
2023年12月2日(土) 開演14:00
 指揮: ファビオ・ルイージ
 ・フンパーディンク: 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲
 ・ベルリオーズ: 幻想交響曲 作品14

ルイージは優雅で情熱的な指揮姿、洗練されて明晰、ドラマチックな演奏です。
「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲は、明るく可愛らしく、色彩感に富んだ演奏。
冒頭のホルンのハーモニーが美しい。
幻想交響曲は、精緻で重厚、切れ味鋭く、躍動感あふれる演奏。
第1・2・3楽章は穏健、恋人を象徴する旋律、流麗なワルツ、情感込めたイングリッシュホルン、穏やかな木管楽器、美麗自在な弦楽器が印象的。
第4・5楽章、咆哮する金管楽器と畳み掛ける打楽器による狂気、分厚い弦楽器。
そして、トゥッティ、よくコントロールされながら、推進力・疾走感が見事です。


第2002回 定期公演 Cプログラム
2024年1月20日(土) 開演14:00
 指揮: トゥガン・ソヒエフ
 ・リャードフ: 交響詩「キキモラ」作品63
 ・プロコフィエフ(ソヒエフ編): バレエ組曲「ロメオとジュリエット」

ソヒエフの魔法の指先・手先・身体(そしておそらく表情)から紡ぎ出される音楽は、洗練されて魅力的なこと。
弦・管・打の各パートは充実、よく調和され、統制されています。
交響詩「キキモラ」、岩山の魔法使いのもとに棲む"人間嫌いな"邪神を描いた、ほの暗い妖しさ、陰翳に満ちた神秘的・幻想的な、ロシア民族色に溢れる音楽。
バレエ組曲「ロメオとジュリエット」、しなやかで推進力があり、色彩鮮やかで、情感たっぷり表情豊か。
透明感があり精密精妙、スケールが大きく、ロマンチックでドラマチックな演奏です。
特に、VnとVaのソロの美しく艶やかな「ジュリエットの墓の前のロメオ」、キレがあり圧巻の「タイボルトの死」が印象的。
ソヒエフ自身による抜粋・選曲順による演奏、物語の流れとは異なる、音楽(管弦楽)の特徴を考えた構成のようです。
-モンタギュー家とキャピュレット家/少女ジュリエット/修道士ロレンス/踊り/ロメオとジュリエットの別れ/朝の踊り/アンティル諸島から来た娘たちの踊り/朝の歌/ジュリエットの墓の前のロメオ/仮面/タイボルトの死-


第2005回 定期公演 Cプログラム
2024年2月10日(土) 開演14:00
 指揮: 大植英次
 ・ワーグナー: ジークフリートの牧歌
 ・R. シュトラウス: 交響詩「英雄の生涯」 作品40

大植英次さん指揮するオーケストラは、精緻で重厚なのですが、全体的にやや単調、音が遠く感じられて、惹き込まれない。
ジークフリートの牧歌は、爽やかさや煌めきが感じられず、淡泊でくすんだ印象。
交響詩「英雄の生涯」、大編成で充実した重厚な響きなのですが、淡々としているのか面白味がない。
コンマスの郷古さんのソロが美しく見事。
あまり感動できず、イマイチに感じられたのは私の体調によるのかもしれませんが…。
帰宅・夕食後、37度程度の発熱、就寝前は37.8度にまで上がり驚いていたら、翌朝から38度以上の発熱が続き(新型コロナ・インフルは陰性)、苦しめられることになります。(^^;;

小澤征爾さんが2/6に心不全のため88歳で逝去されたことが、この前日に報道されました。
心よりご冥福をお祈りいたします。



第2008回 定期公演 Cプログラム
2024年4月20日(土) 開演14:00
 指揮: クリストフ・エッシェンバッハ
 ・ブルックナー: 交響曲 第7番 ホ長調

やや大味なところもありますが、壮大なスケールで懐の深い、温かみのある演奏。
弦楽器、とりわけチェロとヴァイオリンの歌心たっぷりの響きが、深く柔らかく美しい。
ホルンとワーグナー・チューバは4本ずつ、左右に分かれて演奏。
悠然として哀愁に満ちた第1楽章、深く荘厳な第2楽章、トランペットが印象的なスケルツォ、快速テンポの第4楽章、高揚感があります。



第2011回 定期公演 Cプログラム
2024年5月18日(土) 開演14:00
 指揮: ファビオ・ルイージ
 ・メンデルスゾーン: 「夏の夜の夢」の音楽-「序曲」「夜想曲」「スケルツォ」「結婚行進曲」
 ・メンデルスゾーン: 交響曲 第5番 ニ短調 作品107「宗教改革」

精緻で緻密、そしてよく引き締まった推進力とキレのある演奏。
「夏の夜の夢」は、生き生きとして爽快感ある演奏。
交響曲 第5番「宗教改革」は、厳かで美しく情熱的、起伏に富む多彩な響きで、ダイナミックでロマンチック。
静謐感のある"ドレスデン・アーメン"が印象的な第1楽章、軽快なスケルツォ、哀愁漂う緩徐楽章、コラール主題("神はわがやぐら")の壮大で輝かしいフィナーレ。

開演前の室内楽は、打楽器奏者・竹島さんによる編曲「マ・メール・ロワ」。
打楽器1人と管楽器4人で、様々に持ち替えて多くの楽器を演奏、豊かな音色でファンタジー溢れて魅力的。
(クラリネット、小クラリネット、ファゴット、コントラファゴット、トランペット、フリューゲルホルン、トロンボーン、ユーフォニアム、打楽器)


第2014回 定期公演 Cプログラム
2024年6月15日(土) 開演14:00
 指揮: 沖澤のどか
 ピアノ: デニス・コジュヒン
 女声合唱: 東京混声合唱団
 ・イベール: 寄港地
 ・ラヴェル: 左手のためのピアノ協奏曲*
 (シューマン: トロイメライ)
 ・ドビュッシー: 夜想曲*

 

精緻で明晰、色彩鮮やかな近代フランス音楽プログラムです。
沖澤さんは小柄な身体ですが、しなやかで溌溂とした棒捌きにて、表情豊かです。
寄港地は、地中海の爽やかな風と鮮烈な光が感じられ、アラビア風の異国情緒あふれるオーボエ、心浮き立つ打楽器のリズムなど、情緒たっぷりで小気味よい。
左手のためのピアノ協奏曲は、見事な技巧で推進力のあるシャープなピアノ、情熱的で華やかなオーケストラ、"ジャズ"的要素満載、リズミカルでダイナミック。
アンコールのトロイメライは、情感たっぷり。
夜想曲は、"雲"は弱音に陰影があり精妙で印象的、"祭"は躍動感があり華やか、"シレーヌ"では女声合唱はステージ左手にて神秘的、抒情的で雄弁です。

 

 

 

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(一回券)

第2000回 定期公演 Aプログラム
2023年12月17日(日) 開演14:00
 指揮: ファビオ・ルイージ
 ソプラノ: ジャクリン・ワーグナー
 ソプラノ: ヴァレンティーナ・ファルカシュ
 ソプラノ: 三宅理恵
 アルト: オレシア・ペトロヴァ
 アルト: カトリオーナ・モリソン
 テノール: ミヒャエル・シャーデ
 バリトン: ルーク・ストリフ
 バス: ダーヴィッド・シュテフェンス
 合唱: 新国立劇場合唱団
 児童合唱: NHK東京児童合唱団
 ・マーラー: 交響曲 第8番 変ホ長調 「一千人の交響曲」(ファン投票選出曲)

ファビオ・ルイージは、颯爽とした情熱的な指揮姿。
オーケストラは、精緻で緻密、よく引き締まり、よく統制され、緊張感と推進力がある演奏です。
スケールが大きく表情豊か、立体感があり、荘厳壮麗、心に響き感動的。
渾然一体となった凄まじい音圧の総奏も、繊細に奏でる神秘的な弱音も、素晴らしい。
ただ、大編成のために、特に金管など、時折若干の傷は散見されたような…でも、見ない振り、聴かない振り…。
ソロ歌手は皆様、特に女声歌手陣は、高水準です。
合唱・児童合唱は、オーケストラと融合して、よく統制された見事なアンサンブルを披露。


第2001回 定期公演 Aプログラム
2024年1月14日(日) 開演14:00
 指揮: トゥガン・ソヒエフ
 ・ビゼー(シチェドリン編): バレエ音楽「カルメン組曲」
 ・ラヴェル: 組曲「マ・メール・ロワ」
 ・ラヴェル: バレエ音楽「ラ・ヴァルス」

ソヒエフ指揮ということで、単券を購入。
色彩豊かで表情豊か、洗練された演奏が素晴らしく、惹き込まれます。
「カルメン組曲」は、分厚い弦楽器と多様な打楽器による演奏、切れ味がよく豪華絢爛です。
「マ・メール・ロワ」は、お伽話を題材にした音楽、柔らかく精緻精妙、ニュアンスに富んでいます。
とりわけ、「妖精の園」は美しく絶品。
「ラ・ヴァルス」は、妖しさを漂わせつつ、鮮やかで粋、躍動感があります。
昨秋のウィーン・フィル、指揮者がソヒエフに変更になったのにチケットを取り損ねたのが無念でしたが、それを吹き飛ばす満足感です。


第2003回 定期公演 Bプログラム
2024年1月25日(木) 開演19:00
 指揮: トゥガン・ソヒエフ
 ヴァイオリン: 郷古 廉(N響ゲスト・コンサートマスター)
 ヴィオラ: 村上淳一郎(N響首席ヴィオラ奏者)
 ・モーツァルト: ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K. 364

 (ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K. 364)
 ・ベートーヴェン: 交響曲 第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

 

ソヒエフ指揮による独墺の古典派音楽、よく引き締まり端正、瑞々しく色彩豊かです。
モールァルトは、爽快で優雅、遊び心のある、美しく心地よい演奏。
美麗でクールなVnと柔らかく艶のあるVaのソロが対比しつつ、息の合った演奏。
ソヒエフとソリスト二人がとても楽しそう。
「エロイカ」は、キレと推進力があり、緻密で表情豊か、ニュアンスに富んでいます。
溌溂とした第一楽章、悲愴感漂う重厚な葬送行進曲、刻むリズムと高らかなホルンが印象的なスケルツォ、第四楽章では俊敏で煌めくよう、神聖な英雄像が奏でられています。
基本的にはオケ全体が見える位置で聴くのが好きなのですが、今回はRAで鑑賞。
ソヒエフの指揮振りや表情が見えるのが楽しい。
トゥールーズ・キャピトル国立管のコンミスである藤江扶紀さんが客演コンミス。

ソヒエフ祭、A・B・Cプロ全てを完走。
それぞれに味わい深く、ソヒエフ独特の色彩感・世界観があり、全て満足です。
いつか演奏会形式でよいので全幕オペラを日本で聴きたいものです。
フランス物 or ロシア物と思っていましたが、モーツァルトでもいいかも。