日時: 2023年3月15日(水) 19:00~
場所: サントリーホール
ソプラノ: アンナ・ネトレプコ
テノール: ユーシフ・エイヴァゾフ
指揮: ミケランジェロ・マッツァ
演奏: 東京フィルハーモニー交響楽団


(第一部)
ガエターノ・ドニゼッティ:『ランメルモールのルチア』より「ルチア、許してくれ~吐息はそよ風に乗って」(アンナ・ネトレプコ、ユーシフ・エイヴァゾフ)
ジュゼッペ・ヴェルディ:『ナブッコ』より「序曲」
ジュゼッペ・ヴェルディ:『ナブッコ』より「致命的な文書よ~かつて私も喜びに心を開いた」(アンナ・ネトレプコ)
ジュゼッペ・ヴェルディ:『リゴレット』より「あの娘がさらわれた!~ほおの涙が」(ユーシフ・エイヴァゾフ)
ジュゼッペ・ヴェルディ:『アッティラ』より「前奏曲」
ジュゼッペ・ヴェルディ:『アイーダ』より「清きアイーダ」(ユーシフ・エイヴァゾフ)
ジュゼッペ・ヴェルディ:『運命の力』より「神よ、平和を与えたまえ」(アンナ・ネトレプコ)
ジュゼッペ・ヴェルディ:『アイーダ』より「運命の石が私の上で閉じられている~さようなら、大地、涙の谷よ」(アンナ・ネトレプコ、ユーシフ・エイヴァゾフ、池田香織)

(第二部)
ピョートル・チャイコフスキー:『スペードの女王』より「閉めなくていいわ~ああ、どうかお慈悲を!」(アンナ・ネトレプコ、ユーシフ・エイヴァゾフ、池田香織)
カミーユ・サン=サーンス:『サムソンとデリラ』より「バッカナール」
ジャコモ・プッチーニ:『トスカ』より「歌に生き、愛に生き」(アンナ・ネトレプコ)
ジャコモ・プッチーニ:『ラ・ボエーム』より「冷たき手を」(ユーシフ・エイヴァゾフ)
ジャコモ・プッチーニ:『蝶々夫人』より二重唱「かわいがってください」(アンナ・ネトレプコ、ユーシフ・エイヴァゾフ)

(アンコール)
エルネスト・デ・クルティス:忘れな草
エドゥアルド・ディ・カプア:オー・ソレ・ミオ


ロシア大統領(名前を書くのも嫌!!)との距離が近いとのことで、何かと非難の対象になっているアンナ・ネトレプコ。
ウクライナでの戦争が始まってから暫くは、欧米では活動停止状態でした。
その後、戦争不支持を表明、過去の言動についても釈明したことによって、欧州では少しずつオペラやコンサートなど活動の場が増えている様子です。
が、今回のコンサートに対してSNSでも多くの非難・抗議の書き込みがあり、会場前でも抗議活動が行われており、ブルーな気持で会場入り。
SNSでは、ネトレプコのみならず、共演者、主催者、観客(私だ!!)まで非難の対象になり、誤った情報も拡散されています。(^^;;(^^;;
その内容は、偏狭過ぎるのでは…と思うほど。(>_<)(>_<)

ロシアという国は少なからず文化芸術、スポーツを政治利用してきています。
トップの座に君臨するアーティストやアスリートは、ある程度の政治家との親交は仕方がない面もあるのでは…と推察されます。
戦争支持することは、勿論もっての外ですが。
またネトレプコは濃いキャラクターなので、そうでなくても賛否両論あり、非難されやすいのかな…。
過去にクリミア併合を支持したことは、確かにネトレプコの誤りで非難されてしかるべきでしょうが、欧米や日本を含めた先進諸国も強い態度を取らなかったことも事実。
抗議する側の気持ちも理解できますが、外的要因で、活動の場を制限され、非難罵倒されることには複雑な思いがあり、心が痛みます。


まぁ、それはともかく、チケットを購入したのだからコンサートは楽しみます!!


アンナ・ネトレプコは、深く豊潤な、艶のある美声。
弱音から強音まで自在にコントロールして、さすがは見事な歌唱力、まさに圧倒的なオーラを放つ"大輪の華"です!!
スケールが大きくドラマチックですが、情感たっぷり豊かな表現力に、繊細さも窺えるのは素晴らしい。
リサイタルでありながら、それぞれの役になりきる演技力も素晴らしく、魅了されます。

「神よ、平和を与えたまえ」(『運命の力』)には、昨今の世界情勢を鑑み、心に響きます。
「閉めなくていいわ~ああ、どうかお慈悲を!」(『スペードの女王』)、惹き付けられます。
(ロシア・オペラを歌うことも、批判されていたようですが…(^^;;)
「歌に生き、愛に生き」(『トスカ』)では、ネトレプコ自身のの現在の心境に近いものがあるのかな…と思いつつ、感傷的に聴き入ります。

ユーシフ・エイヴァゾフは、柔らかく伸びやかな明るい歌声。
まだ細かいパッセージでは不安定なところもありますが、
ネトレプコとの大舞台での共演を重ねて、一段と上達したように見受けられます。

アンコールの「忘れな草」、「オー・ソレ・ミオ」では、エイヴァゾフと共に、陽気に踊りながら歌うネトレプコ。
茶目っ気とサービス精神を感じて、観客としても嬉しく楽しい。

アムネリス(『アイーダ』)と伯爵夫人(『スペードの女王』)を演唱した池田香織さんが、アンコールではネトレプコと手を繋いで登場。
一緒に歌っていたのが、微笑ましく嬉しく思いました。

会場はほぼ満席で拍手喝采、スタンディングオベーション。
久しぶりのブラヴァー、ブラヴィーが飛んでいました。

ネトレプコのドレスは、前半は白地に大きな花柄(?)、後半は黒地に銀の柄模様。
色味はシンプルですが華やかです。

人種・国籍に関係なく、文化芸術やスポーツを楽しめる平和な世界になることを願ってやみません。



(追記)
この日の開演前に、ホール内の階段で、また左足首を捻挫!!げっそりげっそり
2015年春、剥離骨折・捻挫をした同じ部位です。
足を踏み外したのか、滑ったのか、一瞬のことで何が起こったのか分からない状態。あせあせ(飛び散る汗)あせあせ(飛び散る汗)
すぐに座席の背にしがみ付いたので、幸い転ぶには至らないののの、公演中もずっと痛みは感じたまま…。
エスカレータを使いながら、ゆっくりゆっくり帰宅。
翌日、病院で骨は無事、靱帯もまぁ大丈夫なことを確認して、まずは一安心。
それなりに腫れているので、2,3週間は無理をしないように…気を付けて生活するようにとのこと。
せっかくの楽しい楽しいコンサートでしたのに、またまたやらかしてしまい、少々落ち込んだのでした。がまん顔がまん顔