日時: 2022年4月17日(日) 15:00より
場所: 東京文化会館
指揮: ピエール・ジョルジョ・モランディ
演奏: 読売日本交響楽団

トゥーランドット: リカルダ・メルベート
カラフ: ステファノ・ラ・コッラ
リュー: セレーネ・ザネッティ
ティムール: シム・インスン
皇帝アルトゥム: 市川和彦
ピン: 萩原潤
パン: 児玉和弘
ポン: 糸賀修平
役人: 井出壮志朗
合唱: 東京オペラシンガーズ
児童合唱: 東京少年少女合唱隊


ピエール・ジョルジョ・モランディ指揮するオーケストラは、ドラマチックで熱量が高い、スケールの大きな演奏です。
色彩鮮やかで表情豊か、重厚で壮麗、緊迫感と抒情性たっぷり、充実しています。
”リューの死”、葬送の場面での繊細な演奏は感動的。
プッチーニ自身が作曲したのは”リューの死”まで、そこで一拍おいてフィナーレへ。
指揮者の作曲家プッチーニへの敬意が感じられます。

歌手は皆様ハイレベル、暗譜で表情豊かに演技しながら、見事な歌唱を披露しています。

ステファノ・ラ・コッラのカラフは、声量があり力強く伸びやか、明るい美声で情熱的な見事な歌唱力・表現力です。
「誰も寝てはならぬ」は素晴らしく、指揮者は一旦音楽を止め、会場は万雷の拍手。

リカルダ・メルベートのトゥーランドットは、凛とした誇り高いお姫様、超絶高音での歌唱は圧巻です。
今まで聴いたワーグナー作品では、(時にヒステリックな!?)硬めの歌声という印象がありましたが、カラフの愛に動揺する件など、柔らかみが感じられ感情表現が巧みです。

セレーネ・ザネッティのリューは、深く艶と潤いのある美声、情感たっぷりの見事な歌唱と表現に魅了され、目が潤みます。
哀愁を漂わせつつ、芯の強い、健気で可憐な女性の風情です。
第1幕「お聞き下さい、王子様」、第3幕の「氷に包まれた姫君も」は感動的。

シム・インスンのティムールは、落ちぶれてはいるものの格調高い王の佇まい、充実した歌唱です。

日本人歌手も充実した歌唱で脇を締めています。
ピン・パン・ポンは萩原潤さん・児玉和弘さん・糸賀修平さん、3人のアンサンブルは絶妙で充実しています。
市川和彦さんの皇帝アルトゥムは、高齢の皇帝の威厳を立派に表現しています。
井出壮志朗さんの役人は、手堅い歌唱です。

合唱は壮大、様々なニュアンスを見事に表現、いつもながら充実しています。
児童合唱は可愛らしいこと。


演奏会形式ですが、白・青・橙・紫・緑・黄などの色調の巧みな照明で、物語場面に合わせて、その雰囲気がよく表現されています。
第1幕と第3幕では、右サイドに月が出現。
(この日、ピンクムーン(四月の満月)でしたが生憎の曇り空、舞台でお月見です。)
このトンデモナイ変な物語には、ヘタな演出を付けるよりも、音楽と歌に集中できる演奏会形式が良い。
これならば幕切れの大団円も許せます。(笑)
私はリュー推しなので…。(^^ゞ

2019年の新国立劇場と東京文化会館による共同制作、アレックス・オリエによる演出もインパクトのある良いものでしたが…。


東京春祭プッチーニ・シリーズは、Vol.3ですが、コロナ禍により実現したのは今年が初めて。
読売日本交響楽団によるこのシリーズは是非続けて頂きたいです。
一昨年、昨年のリベンジもよろしくお願いします。



  

 

  

 

(写真は東京春祭公式Twitterより)


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右耳の手術後の経過は順調とのこと。
外耳道の詰め物は外れ、右耳も完全ではないものの少しずつ聞こえるようになってきました。
が、まだしばらく(3ヶ月程度)は耳の違和感(詰まった感)は続き、術後ケアー(毎日2回の点耳薬と一週間に1度の通院)も続きます。

音楽鑑賞という行為もだいぶ楽になり、楽しみも倍増。
まずは一安心です。