日時: 4月19日(月)  18:30より
会場: 東京文化会館
指揮: リッカルド・ムーティ
演奏: 東京春祭オーケストラ
合唱: イタリア・オペラ・アカデミー合唱団

マクベス:ルカ・ミケレッティ
マクベス夫人:アナスタシア・バルトリ
バンコ:リッカルド・ザネッラート
マクダフ:芹澤佳通
マルコム:城宏憲
医者:畠山茂
侍女:北原瑠美
召使い・刺客:氷見健一郎
伝令・第一の亡霊:片山将司
第二の亡霊:金杉瞳子
第三の亡霊:吉田愼知子


久しぶりの生の音楽鑑賞に感動・感激・興奮!!!

御年79歳(今年80歳)のムーティ様の指揮姿は、凛々しく颯爽としています。
オーケストラはよく引き締まりよく統制され、緊張感たっぷり、ドラマチックで素晴らしい。
強弱・緩急自在で雄弁、緻密で分厚い、多彩な音楽作りです。
特に、最弱音の表現は巧みで見事、とてもレベルが高い。
メンバーは在京オケ首席や優秀な若手で構成され、若々しいエネルギーに満ち溢れています。
第一幕前奏曲や第三幕バレエ音楽では、音楽への感動と感激で、胸が熱くなり涙目になってきます。

アナスタシア・バルトリのマクベス夫人は、芯のあるクリアな声、充実した歌唱力・表現力です。
高音・強音がよく伸びよく響かせて、凄み・迫力たっぷり、存在感があります。
演奏会形式ながら、女王様然とした佇まいで、身振り手振りの限らせた中でも演技をしています。
まだお若いようで、これから楽しみな歌手です。

ルカ・ミケレッティのマクベスは深くハリのあるバリトン、陰影に富み心理描写が巧み、充実した歌唱力と表現力です。
驚きと戸惑い、野心、弱音と後悔、更なる欲望、不安と恐れ、脆さ、そして諦観、絶望など…、声色と表情から感じられます。
舞台俳優・演出家から歌手に転身して数年という経歴、これから楽しみです。

R側に座っていたため、マクベス夫妻お二人の表情をよく見られて嬉しい。

リッカルド・ザネッラートのバンコは、やや迫力に欠く印象ですが、風格があり手堅い歌唱です。

芹澤佳通さんのマクダフ、不安定な歌唱、ねっとりした歌い方で好みではない。
出番は少ないはずなのに、かなり楽譜に頼っているようで…(ーー;;
城宏憲のマルコムは、線が細い印象。

合唱は、実に表情豊かで、充実して素晴らしい。

この時期に、こんなに充実感・満足感のあるオペラを聴けて幸せです。(*^^*)

ムーティ様には勿論、ムーティ様ご一行の入国許可を得るのにご尽力された東京春祭事務局の方々に、
心から感謝申し上げます。



  

 

  

(写真は東京春祭公式Twitterより)


ムーティのイタリア・オペラ・アカデミー開催が決定して、TwitterのTLでは歓喜の嵐でしたが、予想していた以上に空席が多い。
それでも、観客の熱意・拍手は大きいものでした。

私がTwitterでフォローしている方々はとても活動的な方が多い。
一方、私はこのコロナ禍で自粛・自粛・自粛…、ものすごーく我慢しているつもりです。
今回は万難を排してでも…と、決死の思いで(!??)思い切って出掛けたのですが、
やはり世間ではもっともっと自粛・我慢している方々が多いのね…と思ったのでした。
(平時ならば、”大入り”になっていたでしょうに。)


******************************

<ムーティ語録>(東京春音楽祭公式 Twitter より)
音楽は人の心に愛という優しさや思いやりを宿らせる力を持っている。
そのよい例がオーケストラだ。
オーケストラは世界各地から集まった音楽家たちが、様々な楽器を共に演奏して、一つの音楽を作り上げる。
自分の楽器と自分の音だけを考えていては、良い演奏は生まれない。

音楽家というのは、演奏することを仕事とする単なる職業ではない。
人々に精神の糧をもたらす『使命』であると私は言いたい。

今後もストリーミングの技術は発展するだろうが、劇場で生の演奏に触れる経験は、決して失くしてはならないと思う。
木から根を取り去ってしまったら枯れてしまうのと同じことである。
演奏家にとっての根は観客なのである。