『相場師』福沢桃介(44)米放資界における婦人の勢力
過去において、女性は男性と同じ「人類」とはみなされておらず、
どんな分野でも女性は偏見と差別にさらされていた、らしい
のですが、『米国放資界(アメリカの株式投資の世界)における婦人
の勢力』と題する部分は「欧米活歴史」の中でも異色の面白さです。
桃介はこんな風に書きます。
「単に相場の勝負を目的にウォール街へ出入する婦人の数も、
今日では決して少なくはない。されど、大多数の仲買連中は、心から
婦人客を歓迎せぬ。蓋し婦人客ほど諦めの悪いものはないからである。
目の前にチラつく大儲けを嗅ぎつけ、矢も楯もたまらずウンと
深入りをして見ても、さて一朝ことの狂いを生じて、元も子も
消え去る場合が来ると、お座の醒める尾篭の振る舞いを演ずるのが
婦人のもち前である。
自然大きな仲買店では、成るべく投機一点張りの婦人客を避ける
ことを工夫する。損失を蒙ると前後の見境なく泣きわめき、いかに
宥(なだ)めても容易に聞き入れないのが婦人客の常態である。」
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