『相場師』福沢桃介(37)マッチド、オーダーズ
次に「マッチド、オーダーズ」の定義はこうです。「マッチド、
オーダーズとは両建の意味である。同一の人物が同一の株を、同時に
同値で売買することである。}
もちろん市場が「活況のうちにその値段をつけている」ことを
「演出」するためです。
当時においてもこうした行為は違法でした。桃介は書きます。
「若し、仲買が両建の事情を知って、同時に売買を場にかけたことが
知れると、其仲買は取引所から厳重なる制裁を受くることに成って
居るからである。」
桃介は相場師でしたが、こうした「操り手段」を活用するタイプの
相場師(いわゆる仕手)とは異なっていたように私には思えます。
あえて言うなら、「ティップ」についてはそれなりの活用を図ったの
かもしれませんが、「相場操縦」、「仮装売買」などの手段を活発に
使った、ということはなかったのではないか、と想像します。
「麦酒泡沫論」に典型的に示されているように、相場が自然に
作り出す「バブル」に注目し、機敏にバブルに乗って投機収益の
極大化を目指す、これが桃介のやり方の基本だったのだろうという
気がします。違法行為であっても自分の利益のためならあえて使う、
というメンタリティーは希薄だったように私には思えるのです。
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