高市発言が原因で、中国が日本への旅行に「圧力」をかけた。そのため中国人観光客が減っている。(これは、たしかである。先日の日曜日、大濠公園を散歩したが、ひとが少ない。平日のような感じだった。)
このことに対して、高市支持派が「中国人観光客が減っても、困らない。静かになってよかった。大歓迎だ」と言っている。そして、そのことに追加して、こんなことも。
「中国人観光客は、中国の飛行機でやってくる。宿泊は中国人が経営するホテル。タクシーも中国人が経営している。買い物も中国人か経営する店でやっている。日本人の利益にはならない」
私は、どのホテルが中国人が経営していて、どのタクシーが中国人と関係があるのか、さらに中国人が買い物をする店がどこにあるのか知らないから、このことについては「反論」しない。事実かどうか、問わない。「事実」と仮定して、私は、こう考える。
中国人が中国系のホテルに泊まったときも、中国人は宿泊費を払う。そこには、たとえば東京ならば、東京都が課した「宿泊税」のようなものがある。さらにホテルは料金のなかから「消費税」を、さらには収益のなかから「法人税」を支払う。従業員は、やはり給料からさまざまな「税金」を支払う。その税金の類は、大きく言えば、全部、日本におさめられる。中国におさめるわけではない。
同じことは、タクシーでも、買い物でも起きている。中国人観光客が減れば、日本の「税収」が減るのである。日本全体(私の生活にも)影響するのである。このことを、高市支持派は見落としている。
だいたいだれが経営していようが、その経営者の「国籍」には関係なく、観光客が金を支払ったとき、そこに含まれる「消費税」は、中国におさめられるのではなく、日本におさめられるのである。日本の「税収」が減るのである。繰りかえすが、高市支持派はこういうことを見落としている。こういうことを無視して、「中国人観光客が減っても、なんの影響もない」と言っている。
それに、中国人が経営していない電車、地下鉄、バスに中国人が大勢載っているだろう。中国人が経営していない店で買い物や食事をしている中国人も大勢いるだろう。中国人観光客の全員の需要をまかなうことができるくらいに中国人がホテルや、タクシー、その他の店舗を経営しているとは、私には信じることができない。
さらに。
ホテルだけを見ても、ほかのことがわかる。そのホテルで働いているひとは、全員が中国人か。日本人は、ひとりもいないのか。もし、そのホテルが中国人観光客が激減したために倒産したとする。そのとき、そこで働いている日本人は仕事を失うのである。日本人は、影響を受けるのである。
10年ほど前、私は、「今後、日本人は中国に出稼ぎに行くことになるだろう」というようなことを書いたことがある。中国の経済はどんどん発展している。日本は停滞したままだ。日本では金が稼げない、仕事がないから、中国に「出稼ぎ」にいくしかない。若いひとは中国語を勉強しなければならない、と。
いま、私は、それ以上のことを感じている。
日本人が中国に「出稼ぎ」に行くのではなく、中国の企業が日本に進出してきて、日本人を雇うのだ。実際、中国系のホテル、タクシー、店舗で雇用されている日本人がいるのではないか。
実際に、私は、そういうひとを知っている。そのひとは、中国の会社から給料をもらい、税金も払っている。そのひとの税金は、中国におさめられるわけではなく、日本におさめられる。一人一人の納税額は少ないかもしれないが、それは「事実」なのである。
高市は(あるいは高市支持派は)、政治と金の問題をなかったことのようにしようと振る舞っているが、金の流れを、もっと直視しないといけない。