ブライアン・デ・パルマ監督「キャリー」(★★)
2011-06-06 09:09:31 | 午前十時の映画祭
監督 ブライアン・デ・パルマ 出演 シシー・スペイセク
冒頭のシャワールームの描写がおかしいね。重要なシーンではあるんだけれど、長々とスクリーンに映し出すようなものじゃない。デ・パルマが趣味で撮っている。撮りたかったんだろうねえ。
技巧的には(?)、ダンスシーンのぐるぐるまわり、これも撮りたかったんだろうなあ。あまり効果的とはいえないけれど、分割画面も。
まあ、いいけれど、映画としてはおもしろいところが少ないね。超能力と、思春期の関係も安直だし。登場人物の体育教師、国語教師も紋切り型。全体が安直。
しかし、シシー・スペイセクが「女王」に選ばれるシーンだけはびっくりするなあ。「私はきれいなんだ」と思った瞬間、スペイセクの顔が本当に輝く。演技力だねえ。ときどき思うんだけど、役者は脚本を読んでいる(あたりまえだけれど)。ということは、観客は次に何が起きるか知らないからスペイセクが「美人」であってもいいのだけれど、スペイセクは騙されたことを知っている――それなのに、まるで騙されていることを知らない顔で喜びを表す。この集中力に驚くねえ。
スペイセクは、このあと主演女優賞を取るけれど、その片鱗だね。「ミッシング」の演技、あひるの漫画と比較しながら「目を見て」というところなんかが好きだなあ。ジャック・レモンの演技もよかったなあ。
あ、「キャリー」とずれてしまった。
一か所、記憶と違っていたのがドレスを縫うシーン。それでは胸が開きすぎるとかなんとか母親が注文をつけるが、キャリーは胸の見えるドレスに仕立てる。そのやりとりがちょっと違っていた。仕上がってから、文句を言っていた。初公開時も、こうだった?
(「午前十時の映画祭」青シリーズ17本目、2011年06月05日、天神東宝5 )