破棄された詩のための注釈19 | 詩はどこにあるか

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破棄された詩のための注釈19
                        谷内修三2020年09月07日

 ひとつのありふれたコップにすぎないが、価値を与えることができるかもしれないという意識が襲ってきた。価値を意味と言い換え、重みと言い換えてみた。重みは重要性ということばといっしょにやってきた。どちらの方が陰影が大きいか、あるいは暴力的な輝きを持つことができるか。暴力的な輝きとは破壊的な美のことだろうか。新しい名前、いままで存在しなかった比喩のことかもしれない。こうしたことは精神を集中して戦ってみるだけのことがらである。

 もちろん一個のコップのままでもいいのだが、コップ以上のことばが、いつか誰かによって書かれてしまうことを思うと我慢できないのだと言った。「私ではないものの豊かさに欲望し、嫉妬してしまう」とつけくわえた。