破棄された詩のための注釈15 | 詩はどこにあるか

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破棄された詩のための注釈15
             谷内修三2020年08月28日

 鏡には前に覗いた人の顔が残っている。別の生き方ができたはずなのに、記憶にとらわれてしまった兄は精神科病院に入った。雪が降った。夜になっても止まず、静けさが音になって積もっていった。
 「そんなはずはない」ということばは二度書かれて、二度消された。しかし、消したあとも、断固として残っていた。