嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(89) | 詩はどこにあるか

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* (この狭い部屋は何だろう)

ぼくはここであまりに大きな希望をもつて時をすごした

 「時をすごした」とわざわざ「時」ということばをつかったのはなぜだろう。この「時」は瞬間ではなく、一定の期間(大きさ)をもった「時」である。
 しかし、その「一定の期間」は、こう描写されるのだ。

虹が出ていて
蝶が舞つたりする

 これは「瞬間」に通じる。そしてこの「限定」は「狭い」と呼応している。「狭い」「大きい」「瞬間」が交錯する。それを「青春(希望)」と呼ぶ。




*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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