破棄された詩のための注釈05 | 詩はどこにあるか

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破棄された詩のための注釈05
             谷内修三2020年08月02日

 窓について書かれた九つの詩に出てくる「雨が降りつづいている、私の窓ガラスの上に」は、自分がいやになっていた、という意味である。ベッドのなかで、ありふれたことをしたあと、外を見ると雨が降っていた。
 その雨に、雨の日にバスを重ねた。
 乗っている人は、みな前を向いている。その整然と並んだ横顔。まるで、ことばをつかわずに、過去を思い出しているようだった。
 「私」は、これからバスに乗って、長い橋を渡って帰る「ことば」になる。