嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(77) | 詩はどこにあるか

詩はどこにあるか

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* (その人はどこへゆく)

冬の日が野をあまねく照らしているところを
その人の影が動き
ぼくの心のなかを水のように去つていく

 「その人」が繰り返され、「その人」を受け継いで「冬の野」が「ぼくの心」と言い直される。「現実」が「心象」になり、そのなかで「その人」が「水」という比喩になる。
 この「比喩」よりも、現実と心象、現実と比喩が交錯するということが、詩を成立させている。交錯をとおして、比喩は事実になる。




*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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