嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(61) | 詩はどこにあるか

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月の出に泳ぐ女

一日のひろい布を縫うために
ぼくの心からぬけだした女が泳いでいる

 海を「一日のひろい布」と言い直し、「縫う」を「泳ぐ」という動詞で言い直す。二行の中で比喩が交錯して、世界を立体的にする。
 その間にはされまた「ぬけだした(ぬけだす)」という動詞の動きがおもしろい。
 「縫う」と「閉じこめる」につながる。
 ここには、だから「矛盾」があるのだが、矛盾があるために、イメージが固定化されない。いきいきと動く。




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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
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