自民党憲法改正草案を読む/番外348(情報の読み方)
2020年05月06日の読売新聞(西部版・14版)の1面の見出し。
「特定警戒」休業要請正続/13都道府県 都は協力金追加
という見出しの一方で、
山口や長崎 きょうまで/休業要請 17県が終了方針
という見出し。「緊急事態宣言」は31日まで延長されるのに、17県は「休業要請」をしない。この17県というのは、「特定警戒」自治体以外の34県のちょうど半分だ。この数の多さに驚く。
なぜ、こんなことが起きるのか。
休業要請をすれば「補助金(協力金?)」を要求される。それにこたえる財源がない、ということなのだろう。
しかし、これは県の責任なのか。国が責任をもって休業補償をしないことが問題なのだ。税金の「再配分」で乗り切るしかないのに、国が知らん顔をする。
病気になって死ぬのも、収入がなくなって死ぬのも、個人の責任。国は税金を徴収し、安倍が満足する政策をすすめればそれでいい、という考えなのだろう。
国が、責任を持って休業補償をすれば、こんなことは起きないだろう。
休業要請をしないということは、休業する業種がなくなるということ、簡単に言い直すと、どの店も開くということ。人の動きが活発になる。人と人が触れる。感染の危険が高まる。そして、死んでいく人が増える。(26面には、「子どもの感染急増/10歳未満240人 4月以降判明9割」という不気味な記事が載っている。)
感染者が増え、死ぬ人も増える。このとき、それは、だれの責任なのか。
安倍は、休業要請をしなかった知事の責任であり、店を開いた人の責任であり、「不要不急の用事(買い物)」なのに街へ出掛けた人の責任というに違いない。
「だって、ぼくちゃん、緊急事態宣言の延長をする、と言ったんだもん」
言って、それから何をしたか。官僚の書いた原稿をプロンプターをつかって読み上げただけだ。しかも、読み違えている。実質的には何もしていない。
いったい、これから先、どうなっていくのだろうか。
*
1面には、また、
大阪 解除へ独自3基準
という記事が書かれている。それによると、
①感染経路が不明な感染者が10人未満
②検査件数に対する感染者の割合を示す「陽性率」が7%未満
③重症者の病床使用率が60%未満
の3条件を「7日間連続」で満たせば、段階的に要請を解除するという。
私はきのう、コロナウィルスの感染状況を把握するためには、①感染者数②感染率③感染経路の特定、この三つが必要だと書いた。大阪の「解除基準」はそれに「病院の状況」を付け加えたものだ。
大阪の基準の③は、私には医療現場のことがわからないので判断のしようがないが、①は、そんなに数が多くていいのか、と思う。
感染経路が分かっていれば、感染者が1日100人、極端に言えば1000人という状況でもいいのか。感染者総数の「目標値」がない。さらに「経路不明の感染者」の「割合目標」がない。つまり、感染者が「9人」だと仮定して、その9人とも「経路不明」でも大丈夫なのか。①②を合わせて考えると、130人検査して、9人が陽性だとわかる。陽性率は7%未満。しかし、その9人とも感染経路が不明の時は安全な状態に近づいているといえるのか。
130人といえば、小さな小学校の児童の数くらいである。(私が通っていた小学校は、山の中にあった。私が小学生だったときの児童総数が最大時で130人もいなかった。)これは、簡単に考えてクラスに1人から2人の感染不明の児童がいるということである。
具体的に考えると、怖くない?
もちろん、判明した陽性者のすべてが感染経路がわからないということはほとんとありえない状況だろう。いま書いた小学校を例にとれば、きっと「学校内の集団感染(クラスター)」と定義されて、どこから感染したかわからなくても「感染経路不明」からは除外されるかもしれない。
でも、どんなクラスターも、「発生源」の「感染経路」をつきとめるのはなかなかむずかしい。クラスターが発生したあと、その「感染経路」の集団が「クラスター」と呼ばれるだけだろう。
2面には、ニューヨークの「経済再開」に関する7基準が載っている。感染者1人が何人に感染させるかという数字が「1・1」以下の条件をつけた上で、
①入院患者数が14日連続で減少
②死者数が14日連続で減少
③1日の新規入院患者が10万人あたり2人未満
「陽性率」は条件にしていない。入院患者と総人口の割合を問題にしている。「医療現場」から現実をとらえる、ということだろう。
④地域内での空き病床30%以上
⑤集中治療室のベッドの空き30%以上
という具合につづく。
医療現場から遠い私には、これらの「基準」をどうとらえていいのか見当がつかないが、わかることがひとつある。
大阪にしろニューヨークにしろ、市民に「目標数値」を明確に示していることだ。しかも、その「目標値」は「ひとつ」ではない。複数だ。条件がさまざまにからみあってくるから、「ひとつ」達成すればいいというものではない。
安倍は、
1日あたりの新規感染者数は全国で100人を下回る水準を目指す
と「ひとつ」しか目標数値をあげなかった。ほんとうはいくつもあげたのかもしれないが、きのうの読売新聞には、きょうの大阪、ニューヨークのような整理された記事はなかった。
「休業要請」を中止した知事は、中止するにあたっての「基準」をどう設定したのか。またひとの往来が簡単ないま、隣県との調整などをどうおこなったのか。そういうことが、よくわからない。
新聞では個別の「基準」を明示しにくいのかもしれない。しかし、これは、また、国が(安倍が)、きちんと「基準」を示していないということに原因があるとも言える。
「基準」が明確にされないままでは、「なりゆきまかせ」にとしか思えない。
不安が募るばかりだ。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
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