自民党憲法改正草案を読む/番外329(情報の読み方)
2020年03月30日の読売新聞(西部版・14版)の3面(13S版)。
五輪延期 負担駆け引き/会場や人件費増大 数千億円?
という見出しがでかでかと出ている。
この時期に、まだ五輪のことを言う。しかも、問題にしているのは「金」だ。
延期などするから金がかかるのだ。やめてしまえば、もう金はかからない。投資した金が無駄になるというのかもしれないが、つくった施設はつかえるだろう。整備した道路は役に立つだろう。選手村だって分譲住宅として売れるだろう。無駄ではなく、ちゃんと「利益」を生み出している。どうして、その「利益」を計算してみないのか。「利益」があるなら、もう充分ではないか。
延期すれば、延期期間に金がかかるのは当然のことである。延期しておいて、延期に金がかかる、というのでは話にならない。これから「駆け引き」するのではなく、最初にだれが負担するか決めてから「延期」するかどうか決めないといけない。手順が逆だ。
だいたい「いつ」開催できるのか。
新型コロナは「1年」で終息するのか。
その問題が先だろう。
延期すれば金がかかる。
これは五輪だけではない。新型コロナ対策もそうだ。
クルーズ船が入港したとき、きちんと全員を検査し、その過程で検査体制を確立しておけば、いまごろあわてなくてすんだのだ。世界に対しても新型コロナの危険性を周知させることができ、いまのような混乱を招かなかったかもしれない。
やれることはすぐにやる、やめるとなったらすぐにやめる。
クルーズ船のとき、すぐに全員検査をし、隔離のための病院を建設し、感染者を隔離し、人工呼吸器もそろえ、治療に対応していたら、新型コロナはそこで終わっていたかもしれない。試行錯誤がつづいたにしろ、何が必要かもその段階でわかり、知識として共有できたはずだ。
それをしないで、いまごろになって、
人工呼吸器 増産要請へ/政府 重症者急増に備え(1面の見出し)
というようなことをやっている。
なぜいままで「増産要請」を「延期」していたのか。
クルーズ船のとき、すでに「検査を多くすれば医療崩壊が起きるかもしれない」と言われていた。そのとき「医療崩壊」が起きないように、隔離病棟を増やす、病床を増やす、人工呼吸器を増産するということをしておけばよかったのである。クルーズ船以外にも、韓国で集団感染が起きたとき、イタリア、イランで集団感染が発覚したとき、さらにはそれが拡大しEU全体にひろがり、アメリカにもひろがり、とつづいた。
「準備する/準備に着手する」機会はいくらでもあった。それをなぜ、いままで「延期」していたのか。
これがさっぱりわからない。
どんな病気でも、初期に発見し、治療を開始し、重症化しないようにするのが基本だろう。なぜ「治療開始延期策」をとりつづけたのか。「延期」すればするほど、治療開始を遅らせれば遅らせるほど、治療がむずかしくなり、金がかかるようになる。こんなことは、だれにでも予想がつくことだろう。医療の場合、延期は、そのツケがどっと、突然やってくる。
なんでも「延期」がいちばんむずかしいのだ。そして、「延期」には五輪と同じように金がかかる。しかし、医療の場合、その「金」の動きが五輪ほど明確にはみえない。むしろ、医療開始がはじまるまでは出費がないから「節約」できていると錯覚してしまう。ここに問題がある。
隔離病棟を造る(隔離ベッドを用意する)、人工呼吸器を用意する。そういう「準備」を「延期」期間にすると、それは「余分な出費」に見えるかもしれないが、実際に拡大が現実になったとき、すぐにつかえるという効果がある。病気が拡大しなかったら無駄になる、と考えるのかもしれないが、そういう無駄は必要な無駄だ。隔離病棟は一般病棟に転用できるし、人工呼吸器が日本で浮遊でも、他の国に提供することができる。
人工呼吸器 増産要請へ/政府 重症者急増に備え
に対して腹を立てる必要はないが、
五輪延期 負担駆け引き/会場や人件費増大 数千億円?
とあわせて読むと、腹が立ってくるのである。五輪を中止してしまえば、その「数千億円」を、新型コロナ対策に回せるのではないか。安倍が「ぼくちゃんがいちばん偉い」といいたいがための五輪なんかやめて、コロナ対策に金をつぎ込むときだろう。五輪を中止して(返上して)、そのために予定していた予算を全部新型コロナ対策に回すと安倍が言えば、それこそ「あべちゃん偉い、国民の命をいちばんに考えるひとこそ首相と呼べる」と評価されるだろう。
私は安倍はまったく評価しないが、それでも、そういうことは言っておきたい。
安倍が評価されようが評価されまいが、そんなことは人間の命、国民の命にとってはどうでもいい。人間が生き残ることがいちばん大切なのだ。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
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