嵯峨信之『小詩無辺』(1994)を読む(45) | 詩はどこにあるか

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水の思想

大きな瀧でも骨格がない
生まれるとすぐから落下がはじまるからだ

 この二行からは「上昇」が生きるということであり、それを支えるのが「骨格」ということになる。この「骨格」は「思想」と言い換えられそうだが、それでは水には「思想」がないことになる。
 嵯峨は、言い直す。

しかし 水には思想がある
七色の論理でつづられる一つの無形の思想が

 瀧のまわりにできる「虹」を「思想」と呼んでいる。飛沫のなかで姿を現わす輝かしく美しいもの。光と呼応する存在。
 しかし、私は、この詩を好きになれない。「思想」が美しくなければならない理由などない。「七色」である必要はない。






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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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