アルメ時代27 秋の女 | 詩はどこにあるか

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27 秋の女



夕暮れになると
「こころのかわりをしてくれそうなものが
静かにやってくる」
影が長くのびて
テーブルの上に胸の形が休み
頭は床の上に落ちる
「川を渡ってくる光の角度
ビルに隠れる風のしめり」
私は小学校の
チャイムの音の行方をながめる
女はサッシの窓をすべらせ
カーテンを引いてゆく
「でも頼りすぎてはいけない」
床に散った夕日の色が
粉のように集められ
隙間から吸い出されてゆく
「でも頼りすぎてはいけない
ある日突然気づいた
ガラスの中に半透明の私がいて
私を見つめ返していた」
逆光に透けていたシャツが消え
女はくらい顔になってふりかえる




(アルメ247 、1987年02月10日)