嵯峨信之『OB抒情歌』(1988)(23) | 詩はどこにあるか

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* (静けさについて語ろう)

汐のみちている河口の方を考えよう
そこはすでに一つの静けさだ

 「河口」ではなく「河口の方」と嵯峨は書いている。「方」ということばは、その存在までへの「距離」を感じさせる。「ここ」と「ここではない遠く」が結ばれる。それはしっかりした結び目ではなく、あいまいさを含んだつながりだ。
 「すでに」ということばも、とてもおもしろい。嵯峨が「静けさ」と呼ばなくても「静けさ」として存在している。そういうことを語る「すでに」である。




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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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