黒い松林が吸いこんでいる
その色は
もう真冬の色をおもわせるような秋の色をなしている
「もう真冬の」の一行は、奇妙なことばの運動である。ことばと意味が矛盾している。しかし、その矛盾の中に「事実」がある。
「秋」のなかに「冬」がある。「秋」は「冬」の準備をしている。「秋」のなかに「冬」が始まっている。だからこそ、「秋」なのだ。
「時間の先取り」は予感か,インスピレーションか。
詩である。
嵯峨の詩のなかで、私がもっとも好きな一行である。
住吉海岸という注がある。嵯峨が見た「事実の色」なのだ。
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詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
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